短期留学2
「ええ?!女性がお金の話をしたらはしたない?!」
「はい、我が国では女性は領地経営や家の予算などに関わることははしたないことと言われております」
「意味がわからないわ…家政は夫人の仕事ですよね?」
留学先のリロイ王国にきて2週間。
ここの学院は、やたら学生ノリの強い男女混合グループと真面目系学生に別れた不思議空間である。
学生ノリの方は、家を継がない庶子の男子か、持参金を出せるか怪しい嫁がない女子らしい。
いやいやいや?そっちの方が普通は資格取得の為に真面目に勉強しないか?
貴族意識がとても薄いのだと思う。
真面目系の方は、嫡男とその婚約者か側近候補らしい。
珍しく、幼少期からガチガチに固められている政略結婚である。
嫡男がドボンしたら、全員の将来が変わるからちょっとはっちゃけるとか無理!
ただ、結婚してから愛人を囲って伴侶を困らせる馬鹿が増えているらしい。
私のご学友に選ばれた公爵令嬢は、とても頭が良い。
両親の不仲の理由や、貴族社会の乱れについての推察を話してくれた。
結果、各家の馬鹿みたいな凋落が判明した。
それは、数代前のある公爵家の当主が愛人を囲う為の資金を得る為に夫人をお金に関するあらゆることから排除したことから始まった。
それに上位貴族の同類が同調して、女性がお金を気にするのははしたないという風潮を作り上げた。
その風潮が次代まで続いた結果が、各家の夫人の散財とそれに悩んだ夫の不仲である。
夫婦間の不仲が続けば、双方が癒しを求めて愛人を囲い、更なる散財へと繋がった。
後はもう、馬鹿が代々の貯えを使い潰していき、現在はどこも没落寸前らしい。
「識別眼が養われていないので、最近は夫人狙いの詐欺もどんどん増えているみたいですの…」
「まあ、それはそうなりますわぁ…」
「予算も教えられていないので、夫に責められる夫人としては理不尽に感じますし、夫としてはガラクタに散財してる夫人は忌々しいでしょうし…本当に、迷惑な風潮ですわ」
「本当、無能な権力者って有害ですわねぇ…」
お金の知識がない夫人と知識がある夫との会話がそもそもズレてるから解決できていないのだろうな。
為政者側の貴族夫人が搾取対象になりつつある国…このままだと長くないだろうな〜。
『ハァ〜…その公爵令嬢だけでは次世代の改革は無理だよな〜』
宰相閣下に通信魔導具で報告中。
事前の説明では、留学先の淑女教育について調査して欲しいって話だったけど、たぶん学院の教育課程からお金に関することは故意に排除されている。
過去の権力者たちのやらかしだろう。
『事前調査で国力はかなり低下気味だったが、国の失策じゃなくて、好色家共の愚行ってのがな…。王家はなにやってたんだか。単なる男尊女卑思考じゃなかったんだな』
「ちょっと調べたらここの王家は代々、側妃も愛妾もいる好色家なので反論は無理そうですね。まあ、王族は個別に財務管理官がついてるので、貴族家程の被害はないみたいです」
『うーん、これが王権強化を狙っての貴族弱体化だったら素晴らしい策謀なんだけど…絶対違うよね〜?』
策謀だとしても、貴族夫人を宝石とガラスの区別がつかないレベルに知能を下げるのはやり過ぎだと思います。
アッシュフォードの学園では原石とカットした宝石の展示室があるし、試験は、真贋判定の実地試験である。
宝石以外にも絵画や陶器、ファッションや料理の盛り付け等も試験がある。
関連教育では、暗器についてや毒の判定方法なんかもある。
用意されてる物からお茶会やガーデンパーティーの最適な準備を選んだり、アクセサリータイプの暗器をつけてる使用人役の先生を捕まえたり、料理の毒入りソースやスープを見分けたりする本格的な試験です。
「審美眼を持たない貴族を増やして犯罪を助長してるんですから、王権強化よりも国家転覆の方が合ってませんか」
『だよな〜。大使とちょっと話してみるわ』
一つ目の国からハズレ臭がヤバい。
あと3ヵ国もあるのか…トホホ。




