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壊れた仮面

 

 ルージュは上手く聞き取れなかったようだ。

「はい?今何と?」

 何か、メアリーが、巨乳やら、貧乳と言った単語を発したような気がした。


「ええ、だから、巨乳派と貧乳派のた「!!ちょ、メアリー、ちょっと落ち着こうか。ちょっと冷静に、メアリー様、本当にヤめて」…もう口から出た言葉は戻らないよ」


 急いでメアリーを止めようと言葉を被せる、(あき)

 秋の方が落ち着けと言いたい。


 青褪める勇者(あき)

 呆れてる聖王女(メアリー)


 巨乳派が、魔王(リーヴァイ)だとして、貧乳派は勇者(あき)…?!


「俺、貧乳派じゃないよ。大体、貧乳って、言い方が…?!、違っ。ただ、ちっぱいの魅力を…!って何か、違う。」


 何が違うのかよくわからない。

 ただ、メアリーと二人で、じとっとした冷ややかな眼差しで、秋を見てしまうのは止められない。


「うわぁ、その蔑んだ眼…何だか二人似てるわ」

 秋が冷や汗を掻いている。


 まさかの展開だった。


(いや、秋の事好きだけど、好きだけど、ちょっとね。)

 メアリーの胸を見る。

(うん、同じくらいの控えめさだわ)

 それにしても何故、胸。着眼点は胸なのか。


「本当に大事なのは、性格だよ、性格」

 秋は一人、焦っている。


「ハイハイ、セーカク、セーカク」

 メアリーが流す。そして更に爆弾を落としていく。


「あの時の勇者対魔王の戦いで、勇者のイメージが崩れたわ。魔王も魔王だったけど」

 呆れた口調で流していくが。


「リーヴァイが何て?」

 常に、真面目な印象しかないのだが。


「サシで話をするとか、言ってたので、私達は隠れて話を聞いてたんだけど。胸がなくても、貴女なら、イケるみたいな?」

 微妙な事を聞いてしまった。

 嬉しいんだか、嬉しくないんだか。


「あー、メアリー様、何か男に対して夢が砕けたような、残念感です」

「だよね」

「デスヨネ。メアリ〜、それは言っちゃ駄目だと、あれ程言ったのに〜」

 ルージュのコメントに対して、メアリーが同意して、秋が声色を変え嘆く。


 まぁ、好きな男性の好みの体型(タイプ)なら、そこは喜ばしいことなんだろうけど。


 メアリーも秋の好みの体型(タイプ)ってことかと、余計な事まで、気がついて、どんよりした。

 比較しても意味はないとは思いつつも、秋もメアリーも人族だし、勇者と聖王女、これ程釣り合うものもないだろう。


「秋が言ってた。巨乳派に比べて、ちっぱい(・・・・)派ってのは少なく、おそらく、男性全体を見て、1割いたら、良い方なんじゃないかと、オッパイ談議。そして、可愛い女の子が、巨乳派に傷つけられ、小さな胸を痛めてるのは許せないと。巨乳派(それ)なのに、結界の中に囲って仕舞い込むのは卑怯だとか、許せる事じゃないとか、それに対して、魔王も、揉めば大きくお(そだ)ちになるとか、なんだとか」


 それを聞くまでは、メアリーも勇者(へんたい)が猫を被ってたのを、気がつかなかったらしい。


「いやいやいや、メアリーさんや、そんな事話してたっけ?うろ覚えじゃないかい?というか話を盛ってるだろ。作ってるって言って」

 秋が嘆く。


「結局、魔王戦って、そんな戦いだったんだ?」

 無視してメアリーと話す。

「そう。舌戦のヒートアップからの、剣や魔法を交えての、ど突き合いですわね。魔王は結界を貴女のいた場所に張ってたままだから、すぐに魔力不足に陥りましたわ」


 何処からか魂が抜けそうである。

 あまりに阿呆な事で、魔族の皆さん、人族の皆さんが知ったら、トンデモナイ。決して、発表する事は出来ないだろう。


「あ〜、俺のクールなイメージが、ルージュの中で崩れてる〜」

 クールなイメージはとくに無かった気がするが、勇者のイメージが壊れたのは、確かだった。


勇者(へんたい)の下心も、野望も早目に潰した方が、傷は浅くて済みますわ」

 メアリーは、秋の仮面をぶっ壊しに来たようだった。

「これだから、解呪を王宮魔道士(ちがうやつ)に頼んだってのに。あの王宮魔道士(うらぎりもの)め」


 もはや、どう反応していいのやらである。


「これで勇者に幻滅した?普通に暮らす分なら、私でも住処を提供、保証人も出来るわよ。よく考えてみなさい。魔王も、勇者も、貴女の為だと、言いながら、結局のところ、貴女を他の人から、遠ざけて、自分の事を好きになるように仕向けてるんだから」


「仕向けてるって、何かまだ他にもあるんですか?」

何かまだありそうな口調に、引っ掛かりを覚える。


 秋はメアリーの口を手で塞ごうとするが、逸早く、メアリーがそれを躱す。

「西の森に近付かないように噂があったのは、アレは、勇者(あき)が根回しして、流したのよ。自分以外の人が、貴女に興味を持たれないように」


 顔が強張り、頰が引き攣ったのは、言うまでもない。

 噂のせいでルージュは苦悩した事を思い出す。


 勇者(あき)が、まさかの腹黒勇者だったとは。

 

次回の更新は2017年9月11日15時を予定です。


サブタイトル、後から変更多いです。

既にご存知でしょうが、題名センス、ZEROです。

例えば、今回のサブタイトルは、

改変前『巨乳派 vs 貧乳派』でしたが、内容ネタバレタイトルは、マズいだろうと変更したんです。

次作は普通に、数字でサブタイトル『14』とかにしといた方が無難ですかね?

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