蜂の毒針
蜂になりたい。
好きな人にこそ毒針を刺したい。愛のある毒針を、愛ゆえのしびれる毒針を。
もっと好きになって欲しいから願いを込めて刺すの。もっとちゃんとして欲しいから刺すの。
あなたの性格を捻じ曲げたいの。
時にはわたし色に染まれ、とまで思う。
ぜんぶぜんぶ好きだから。
あなたのことが好きだから。
痛いのはいやってあなたは泣いたね。
じゃあ痛くない針であなたを刺そう。少しくらいは痛いかもしれないけれど、それくらいはがまんしてね。
さぁいくよ?
怖がらないで、わたしだって怖いのよ。わたしの毒針であなたが消えてしまわないか。あなたが逃げてしまわないか。
でもね、越えなくちゃいけない気がするの。あなたもわたしも。わたしがあなたを刺す運命があるように、あなたにも運命はある。運命は変えられない。どんなにいやなことでもやらなくちゃいけないことがある。
ならいっそのこと、楽しんでみればいいんじゃないかしら。
ね、怖がらないで。わたしも怖いけど、がんばるから。あなたのそばにいるから。
泣かないで、今あなたを抱きしめてあげられないから。
口酸っぱく毒針を刺すことしかできないんだから。
痛くて怖くて辛いことがあっても、いつかその痛みは癒される。
だから、お願い。
がんばって、