おはようございます
重たい身体を無理やりおこして、倒れこむように彼の首元に手を回した。おはようって言うと、太陽はおはようと返してぎゅーと抱きしめた。私をすっぽり包み込む大きな体は、まだお布団の温かさが残っててあったかかった。すきだよと呟く彼の表情は見えない。うんと素気ない短い返事をして服の裾をきゅっと掴んだ。すがりつくような態度にうれしく思ったのか、彼はちいさく息を漏らしながら笑う。それから頭に手を添え、頭の形をなぞるように撫でた。私は貴方を温めるためより一層肌を重ねる。とくんとくん、彼の生きてる音が聞こえて、私はほっと息をつく。心音というものは大人になった今でも安心するらしい。
静寂を壊す彼の声。私を引き離すとおもむろにカーテンに手を伸ばし、サッと勢いよくそれを開けると、ぺかっと笑う。
「いい天気だよ、おいで」
朝日に照らされる彼は一層可愛くてずるい。おいでとかずるい。そう思って殴ってやろうかと思ったけれど大人しく膝をつきながら近寄る。確かに空は綺麗な青をしていた。
「ほんとだ、きれい」
彼の存在は不思議なもので、隣にいるだけでぽかぽかあたたかい。それはきっと陽だまりのような愛情で彼ができているからだと思う。静かに太陽を見つめてみた。彼は私の視線に気づかない。彼の首にまた手を回して、そっと柔らかい頬を引き寄せ軽いキスをした。