表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/12

おはようございます

 重たい身体を無理やりおこして、倒れこむように彼の首元に手を回した。おはようって言うと、太陽はおはようと返してぎゅーと抱きしめた。私をすっぽり包み込む大きな体は、まだお布団の温かさが残っててあったかかった。すきだよと呟く彼の表情は見えない。うんと素気ない短い返事をして服の裾をきゅっと掴んだ。すがりつくような態度にうれしく思ったのか、彼はちいさく息を漏らしながら笑う。それから頭に手を添え、頭の形をなぞるように撫でた。私は貴方を温めるためより一層肌を重ねる。とくんとくん、彼の生きてる音が聞こえて、私はほっと息をつく。心音というものは大人になった今でも安心するらしい。

 静寂を壊す彼の声。私を引き離すとおもむろにカーテンに手を伸ばし、サッと勢いよくそれを開けると、ぺかっと笑う。

「いい天気だよ、おいで」

 朝日に照らされる彼は一層可愛くてずるい。おいでとかずるい。そう思って殴ってやろうかと思ったけれど大人しく膝をつきながら近寄る。確かに空は綺麗な青をしていた。

「ほんとだ、きれい」

 彼の存在は不思議なもので、隣にいるだけでぽかぽかあたたかい。それはきっと陽だまりのような愛情で彼ができているからだと思う。静かに太陽を見つめてみた。彼は私の視線に気づかない。彼の首にまた手を回して、そっと柔らかい頬を引き寄せ軽いキスをした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ