表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
贄の王  作者: どんより堂
5/22

5 事故

 検問を抜けて少しして、時間を見る。午前一時を過ぎていた。

 今日は八月八日だ。社長選考合宿の一日が終わった。参加者はもう、眠っている頃だろう。

 私は光月陽一を殺すために、六人村近くの合宿所に向かっていた。助手席には彩花の赤い携帯電話が、サイドボードの中には本間順平のくれた銃がある。

まだ少し手は震えている。

 まっすぐで平坦な道が続く。周囲には田んぼがあるはずだが、暗くてよく見えない。規則正しく退屈に並んだ外灯が催眠術のように眠気を誘う。

 ガムを噛み、大声で歌いながら目を必死で開けていると、ふいに左右の風景が変わった。

 白い壁。これは、住宅の壁、住宅地だ。

 心臓が止まりそうになるほど、緊張してきた。再び、手が汗ばみ、ハンドルが滑りそうになる。

 六人村だ。

 とうとう六人村に入った。

 目的の場所は、村を通り抜けた先にある小高い山の上である。

 もう少しだ。あとほんの少しで、私の戦いが始まる。何も考えられなくなってきた。どうすればいい? どうすればいい? 深呼吸だ。深呼吸をして気持ちを落ち着けなければ。

 と、矢先。

 何かが割れる音がした。

 視界が奪われる。

 フロントガラスが割れたようだ。

 破片が私に降りかかる。

 とっさに死の恐怖を覚えた。

 ハンドルを左右のどちらかに切ったような気がする。

 意識が消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ