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その男には気をつけろ(ファティマの予言編)

『道真公…』


カモメは道真の前に立ちはだかり、

話し掛ける。


『貴方ほどの方が

何故に、…


魔道に堕ちられた』


『カモメ…

お前も知っておろう。』



『ええ…

詩歌に造詣が深く

都に並ぶ者無し…

とまで賞され。


宇多天皇の寵愛を受けて…

花を愛し…

月と語らう事が無情の喜びであった

貴方が…


あれほどに美しい魂の持ち主が…』



『全ては…

藤原時平の讒言により…

水泡と消えたのじゃ。

左遷とは聞こえは良いが

所領は没収…


その日その日の

食べ物にも困る始末。

見かねた大宰府の

百姓が差し入れてくれる食べ物で

糊口を凌ぐのだ。


痩せ細ろえて行く

妻や子供が不憫で。』



『しかし…貴方は

その中でも

月の出る夜は欠かさず。

天拝山に上り

月と語らっていたではありませんか?』


『そうだ…私と語らってくれるのは、

月と花達位のものだった。


何時の日か

都に呼び戻される事を夢見て、



しかし…


その願い叶わず。

まるで流人の様に

雨さえも

凌げぬ、あばら家で

私は息を引き取ったのだ…

あの苦しみの中でさえ…時平に対しての怨みが占めておった。』


『本来…貴殿方の信仰する仏教では…


魂は輪廻転生を繰り返します。


本来

貴方の魂は何処かの誰かに転生しています。

仏教では幽霊などと言うものは…

入り込む余地すら



無いのです。』



ですから…貴方のの貴方は何故に

ここに居るのか?


それは…

死の間際の苦しみの中でさえ


怨念に支配されて

その…怨念が一人歩き、し始めたからです。


それを怨霊と言います。


正しく今の貴方はおんりょうです。


怨霊である以上

貴方に魂はありません。



今の貴方を鎮めるには…


ある方の記憶を

実体化させるしかありませんが


それは…

少し難しい様です。

そこで貴方に

健気なほどの思いを寄せる。



精霊を呼び出しています。


振り向いてご覧なさい。』







其処には羽衣を纏い優しい目で

道真を見つめる少女が居た。





『道真公…

おいたわしや…』



『お主は誰じゃ?


ん、


この爽やかな薫りは…



飛梅か?…

お主は飛梅なのじゃな?。』



『そうで御座います。

貴方が都を旅立たれる。時に


東風吹かば

匂いおこせよ梅の花主なきとて春な忘れそ

と詠んでいたたき…

矢も盾も堪らず

一夜にして

貴方の元へと…

飛んで参った。

梅の精で御座います。



お願いで御座います。

どうか…お怒りを

お鎮め下さいませ。』



『道真公…

貴方の政敵時平は

今…地獄で永遠に雷に撃たれ続けて

います。

人を呪わば穴二つ

彼の魂は転生を赦されず永遠に苦しみの中でもがいています。』



それは本当なのか?』


『ええ…悪魔には

嘘は許されてはいないのです。


ですから…

真実を教えない事は有ります

が…

嘘はつきません。




『そうか…もう…怨霊の私の存在理由は既に無いと言うことか…

私はどうしたら良い…


『貴方のお仕えした宇多天皇の元に…

飛梅の精霊と共に

お送りしましょう。』


『宇多天皇の魂は輪廻転生をして無いのか?』


『天皇とは…

天の皇命すめらみことです。


神の位を持つ方は

輪廻転生をしません今は浄土にて安息されている事でしょう。』




『そうか…

カモメ…私をソコへ送ってくれるか…

飛梅一緒に参ろう』


『はい…道真公』


段々と禍々しい

気配は薄れ

それと共に道真の姿も薄れて行った。



『相手が道真公で助かった。

彼ならまだ話が通じる。』『何とかなりましたね。後は玉藻とカラスがあの二人を呼んで来るのが間に合えば…』


と上総が呟いた瞬間カモメの体か大きく弾かれ、地面に叩きつけられた。



『いきなりの

挨拶としては少々

手荒ですね。…



早良親王…』







その頃玉藻は

京都土御門家の門の前にいた。


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