表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思い付き  作者: Blue_lobster
5/13

5.

消えゆく意識の中、引きずり込む深淵の底で、あなたは何を見る?


玉座を降りたあなたは、何を感じている?


「…何者だ。」


ああ、そのお声、幸甚の至りでごさいます


「二度だ、そこにいる貴様は何奴だ?」


「………申し訳ありません、我が王。」


「マルクト…成程、理解した」


「誠に勝手ながら、視察していました、そして現実を紡ぎ…」


「もう良い、余に何が起こっている?ここは…」


失礼、側に居られるのは少々難しく…こちらから語らせてもらいます。


「見渡す限りの宵闇、そうか、余は意識を失っているのか。」


御名答であります我が王、人間という種に堕ちた時に魂と肉体が泣き別れをしてしまったのです


「成程…ではここは深層意識や自我の現れ、と?」


はい、現在貴方様の御身体は物質界に、魂は…ええ、アストラル界、とでも言いましょうか…そこに転送されていますが故、こうして僭越ながら対話が可能になっております。


「…いつ戻る、余は一刻でも早く我が財物を軽々しく使用する愚者を駆逐せねばならん」


…申し上げにくいのですが


「良い、話せ。」


現在、薬物投与により地球時間で約20時間、こちらの時間で2時間は待たないと戻れません…


「…そうか、座を用意しろ、この程度で騒ぐほど憤怒に侵されていない。」


「提案なのですが我が王、少し…外界の様子でもどうでしょうか?差し出がましいのは重々承知しております」


「良い、語り部は引き続き貴様に任せる。」


___________


冷たい白衣の灯の下、静寂は儀礼の如く満ちている。

ガラス張りの部屋で拘束されている王は古の兵器のよう


「んむ…む…んー…」


「あの、さっきからずっと悩んでますけど…聞いた方が良い感じですか?雨眠室長…」


椅子に行儀悪く座り、暇潰しとしてくるくる回る女史は能戸雨眠、先程から物憂げに王を観察している


「はー全く!レディの意思をやっと組んだか相原くん…」


対して姿勢正しく背筋を伸ばし、緊張を解けないままの男は相原剣、王を拘束した張本人である。


「え、えぇ…?これは僕が悪いのでしょうか…?」


「んに、なー事はないよ、剣君。」


低い駆動音を鳴らす開いたドアから現れるは帰還時、閃光弾により意識を失っていた猫塚古見…


「あ、あなたは…こっ古見副隊長!」


「あぁ、やっと来たか…丁度君の話をしようと思っていてねぇ…」


「はいな、ヘット部隊が副隊長猫塚古見、戻りました。」


多少のバイタルチェックを終え、佐都の代役として今情報提供の場に舞い降りる。


「本来であれば佐都くんに来てほしかったんだが…全く難儀だよ、彼。」


「佐都さんは仕事あるからね〜…んにゃ、なで剣君がここに?」


相原剣、性格はその名の通り実直…技術部に所属してはいるが、雨眠との関わりは薄い…古見が疑問に思うのも無理はない。


「あっはい!えと、自分は…」


「護衛さ、どうせ暇だろうから私をこの君が持ち帰ったオブジェクトから守らせる役に着いてもらっている」


「え…!?あの、僕暇じゃ…」


「…大変だぁね、剣君…」


嘆きは憂いで返され、揃った三者は論を交わす。


「でだ、猫塚古見くん、当オブジェクトについて…ぁー…名前を決めたいな…」


「んな、名前なんてどうでもいいでしょー」


「でっでもオブジェクトだけでは呼びづらいですよね!あの、提案なのですが…!」


「じゃ神秘思想に基づきケテルと名付けよう、彼も自身を王と名乗っていたし丁度良いだろうね。」


「えっでもケテルと名付けるのは少し問題があるのでは…」


「あそう、でこのケテルくんについて古見くん、事情聴取をだね…」


尽く相原は無下にされ、古見ですら無言を貫くという事態。


しかしケテルという名はそれだけ脅威となるからこその名付け、がしかしテットの祖となった魔術結社である黄金の夜明け団の規律に基づけば、それはそれは複雑な事になるのは明白である。


「んーに、そりゃほんとに良いの?イプシッシムの名を与えちゃってさぁ?」


「いぷ…?あぁ、そんな物もあったねそう言えば、どうでも良いさ…どうせほぼ機能していないだろう?」


「なっ…あ、あなた!マギスターテンプリの階位に付いていながらどうでもいいなんて…!」


「あーもううるさいなぁ君は…その装備は言っておくけど私がアイデアを出したんだぞ?」


装備という語句に反応し

相原の服が飛び跳ねるかの如く脈打つ。


「わ、着てたの剣君…びっくりしちった。」


「それは…すみません、先程鎮圧に使いまして…」


「はぁ…そうだ、どうせ起動したんだからそこのマグカップ取ってくれ、ほらはーやーく!」


急かされた相原は身体をひねる

その瞬間制服の内から伸びる、機械的なアーム。


「ナノテクを取り入れた科学の粋…微細結晶適応型ユニット、M.A.U…いつ見ても惚れ惚れするが、いかんせん操縦者がなぁ…」


「なんか、すみません…」


アームはまるで生命かのように伸縮し、鉤爪の形状へ緩やかに変形、その機敏さを活かし目的を達成…


「ど、どうぞ…」


「では、本題に入ろうか。」


薬剤投与から12時間、日付が変わる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ