3.
景色流れる窓を、小さき王は怪訝に見つめる
「…この様な鉄で出来た死の棺桶を移動手段だと?そう申すのだな、」
「ん?ああ、そうだが…」
テット御用達の車を古見が運転し、後部座席には佐都と王の気まずい空気、古見が換気を回すも遅く更に空気は悪くなっていく
「…まぁ良い、魚が地上では歩けないように、貴様らが海では泳げないように得意不得意はある。」
「…馬鹿にしてるのか?」
「違う、断定だ。」
「…………」
「…………」
一触即発、刹那の後に紅が飛び散りそうな雰囲気に再度、稲妻が如きゆるい声が入る。
「んなんなそこまで、喧嘩しないでよさ〜…」
「………」
「………」
「全く男の子ってやんちゃんだね、佐都さん?ちょいプライド傷付いたんは同情するけど大人なんだから事を荒げないの。」
それはまるで、喧嘩をする兄弟を鎮める姉のような、とても20代とは思えない精神の成熟。
「王様も、んにゃ下民に怒らないのが筋じゃないんですかな?」
「………やはり良い、気難しい暴れ馬すら鎮める、コミ、お前が我が配下であればどれほど良かったか…」
「自分の事暴れ馬って言ってないかそれ…」
「然り!」
「…然っちゃったよ。」
古見の実力凄まじく、二度も導火線を消し二人の頭は冷やされる
「…はいな、着きましたーで、ちょい待っててく…だ…え?」
しかし忠告遅く…
「は!つまらん城壁だ!」
乱流纏う空気の層を身に王は日の丸の旗掲げるテット本部、その外壁を意図も容易く歩行のみで瓦礫と化していく
「ちょちょちょっ!」
「空力剣ベート!我が進路に在する障壁をその不可視からなる―――」
―――Attack on base confirmed, interception system activated
小型の触手型ロボットから流れる音声の後、王の視神経を焼き尽くすまでの閃光と鼓膜を揺るがす音の爆弾が投げられる
「…ぁ」
「っ古見…!」
"Logical thinking error occurred, connecting to an operator..."
触手型のロボットは変形し、少しのノイズを響かせ放送機器へと変化していく…
「んー…!ふあぁ…もぉしもーし…?」
その場の全員が閃光に怯んでいる中入り込む、緩くやる気の一片すら感じられない声。
「んん…んー…?うぉわ、猫塚ちゃん…と佐都…どーしてここに…?」
「…あー、佐都健丸、並びに猫塚古見、任務終了により帰還しました…」
閃光の残影が視界に残る中、佐都は尽力を尽くして報告をするも、古見は気絶、王はその場で白目を剥くと、悲惨な状況が広がっていた
「…そこの子供は…?」
「特異オブジェクトです、敵対存在が残した物ではないんですけど…」
「ふぅ…んん…!連れてこれてるなら危険性はあんまないんだねぇ…?じゃ、扉開けるよぉ…」
欠伸数回、何かから転げ落ちる音数回の後、吹き飛ばされた瓦礫の横、正門が哀愁を漂わせ中へと誘う…
「っしょ…おい古見、起きて…はないか。」
「うぅ…」
古見を肩に抱き、王は適当に引きずり…佐都は本部へ疲労を残し、帰還。




