12.
「時にタテベよ、お前は床に就かないのか?」
「ん〜…?私はだいじょ〜ぶ〜…慣れてるからー…」
フライト開始から約4時間が立ち、座席にはリーヴィアの小さな寝息が立っていた。
「枯渇を知り得ない航路、正に終夜航行者だな。」
「しゅーや…?うぅ…むずかしいー…」
「いや良い、お前のペースで理解すれば良いのだ。」
杯とボトルは奥の景色を映し、パンは既に乾きを得ている
「しかし気になるな、なにゆえ此奴はティファレトを嫌う?」
「んん~…リーヴィアはちょっと特殊なの…」
建部の髪は重く姿を隠すほど毛量が多く、座席からはみ出している程である
「良い、長き旅路だ、聞かせろ。」
背後から響く気前の良い声、まるで玉座のように座席へ座る王は人に堕ちてから一番の笑みを見せていた。
「ええっとー…テットのイタリア支部には特殊なルールがあるの…」
時はルネサンス全盛、人文主義の栄えるイタリアにて、とある者が声を上げ台頭した。
"私こそが女皇帝ギーメルだ。"
その文明の産声は即座に全土へ伝わり、強大な力で民を従わせ、階級に等しい存在となっていた
「でもギーメルも人間だから、しんじゃって…戦争のごたごたとかで、みーんなきょーみなくなっちゃったんだよー…」
其は衰退し、戦も美も失われつつあった日、突如として新星が現れる。
「そこでやってきたのがリーヴィアなのー…たくさんがんばって、テットにとつげきかにゅー…」
古代と現代が契りを交わした石膏の遺跡を揃えし永遠の都、ローマにて、殻を破りギーメルの称号一歩手前までリーヴィアは進んだ、しかし…
「新時代とは、没落するものだ。」
「うん…そこでティファレト…キアラちゃんって言うんだけどー…」
北部の風と呼ばれ、その美貌のみで戦の女神を討った儚き恬淡な少女がキアラ•デ•コッツィ、その者は全てを翻し、変えてしまった。
「みーんな心変わりしちゃって、それからリーヴィアはキアラちゃんのこときらいなのー…」
「全くいつの世も人というのは外見に踊らされるな、まるでサハラの地のようではないか。」
「んん…でもキアラちゃんのこと見たらなんでかわかるとおもうよー…」
あれほどまでに勢力を拡大し、人望を集めたリーヴィアが刹那に没落したほどの美貌、おそらくそれは想像も付かないものだろう。
「後どれ程だ、余は眠る。」
「んー…いっぱい」
「…そうか、では引き続き励め。」
腕を組み、瞼の内側へ視界を移す…それは人間の定義する眠りではなく、魂の座標を別位相へと…
「…おい」
…どうやら、王の眠りは深く即座に無意識の底へと誘われたようだ。
「余の帰還ぞ、出迎えの一つ寄越さないとはお前も浮かれたものよ。」
…はい、申し訳もありません我が王。」
外界では有象無象が蠢き、流転していたようですが…」
「疲れは無い、それよりも…完成度が幼稚だ、少しは語り部として、余の側近として弁えろ。」
身に刺さる御言葉、感心を余儀なくされました、精進致しますのでどうかご容赦をば…」
「良い、それよりもだ、お前も見ていただろうが美を捉えた、行動に移る。」
ええ、実に喜ばしい事象でごさいます我が王、少し会話なされますか?どうやら客人も紛れ込んでいるようで…」
「客人だと?余の在する界には思念体など…」
『それがあるのさ、私の王様。』
…では引き続き、私は語り部をば、失礼…」




