G-9 奴隷の最後の反抗
跳ね飛ばされた首が転がる。
他のナイトは一切表情を曇らせない。
ジョン「しっかりと仕事をしろよ、何のためにお前たちを作ったと思っている。」
レイ「生き残り?」
レイは嫌な予感がした。
背筋を冷たい汗が通り抜けていく。
まるで、死神の鎌で背中を裂かれたように。
ジョン「じゃあ、こいつで最後か。」
ジョンは一枚の写真を見せる。
人間の死体が転がる写真。
皆、レイと同じ服を着ていた。
レイ「ママ・・・パパ・・・・・・・!!」
レイは怒りの表情でジョンへ噛みつこうとする。
しかし、手錠で引っ張られ勢いよく倒れた。
その写真には頭だけになったレイの両親が映っていた。
両親だけではない、友達も、同僚も、皆殺しにされていた。
ジョン「ゴミはゴミ同士でなれ合うのだな。俺を殴るために来たぁ?バカぬかすなこのクソガキ!!」
ジョンの蹴りがレイを吹き飛ばす。
ジョン「てめぇら!!奴隷が!!この俺に!!何を!!どうするってぇぇぇぇぇぇ!!!!」
レイの骨が折れていく。
顔は傷だらけ、内出血を起こし腫れる。
ジョン「俺の許可なく逃げて!!希望を持ちやがって!!」
ジョンの体から黒いモヤがあふれ出す。
ジョン「俺は王だ!!王なんだ!!てめぇら国民は、俺を持ち上げるだけの駒だ!!みんなみんな俺の所有物だ!!俺がお前らゴミに意味を与えたんだ!!俺はお前らの英雄なんだ!!それを感謝もせずに反抗するなんて、傲慢にもほどがある!!」
違う。
こんなの英雄なんかじゃない。
本当の英雄は、人を助けるために苦悩してた。
人を巻き添えにしたとき、哀しそうな顔をしていた、苦しそうだった。
レイ「あんたなんて英雄なんかじゃない!!ただのゴミクズ以下だ!!」
ジョン「こんんんんのクソガキャァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ジョンはレイに向かって手をかざす。
ナイトの首を跳ね飛ばした、あの攻撃だ。
しかし、レイには不安なんてなかった。
窓の外に見える景色が、夜だと教えてくれた。
逢魔時には気を付けろ。
ヤツが全てを喰らい尽くす。
バキィィィィィィィィン!!!!
勢いよく窓が割れる。
逢魔「いうじゃねぇかガキ、そうだ!!そいつは英雄じゃねぇ。」
暗い夜が世界を包み込む。
逢魔「俺が本物の英雄だ、覚えとけ!!」
神成逢魔の【逢魔之刻】だ。