G-4 逢魔之刻(ギャクサツノジカン)
騎士団「ひ、ひるむな!!もう一度詠唱を開始しろ!!」
騎士団は再び魔術を再展開し、魔力弾を放つ。
しかし、逢魔の鱗の生えた腕がそれらすべてを打ち消した。
騎士団「ば、バカな!!」
逢魔「俺のこの腕はあらゆる効果を打ち消す、魔術なんてきかねぇよ。」
騎士団「そ、そんなの・・・・・・。神話上の怪物じゃないか!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
逃げ出す騎士団の男をゼルが魔術で打ち抜く。
頭を高純度の魔力で打ち抜かれた男はピクリとも動かなくなった。
ゼル「おいボケッとすんなよガキ、早くぶちのめして次の獲物に行こうぜ。」
逢魔「それもそうだな・・・・・・、ってことで悪いな。こっからは虐殺の時間だ・・・・・・ってさっきも言ったかこのセリフ。」
女奴隷は離れて、息を殺してその戦いを見ていた。
戦いというにはあまりにも残酷すぎるその光景に思わず嘔吐してしまう。
蟻の軍団をドラゴンが踏みつぶしているようなものだ。
騎士団の攻撃は届かず、逢魔が腕を一振りするたびに騎士団も奴隷も関係なく消し飛んでいく。
人殺しなんて生ぬるいものではない、虐殺だ。
女奴隷は逢魔の虐殺をおびえながらもじっと見ていた。
外の世界を知らない女奴隷にとって、逢魔は英雄のようだった。
地下がぶっ壊れ、苦しい鉱山の仕事から解放されることを何度夢見ていたか。
数分で逢魔は騎士団を壊滅させ、雇い主に拳を振り上げていた。
雇い主「ま、待ってくれ!!金ならある、国に渡す金を全部お前に渡す!!だから見逃してくれ!!私には帰りを待っている妻と子供が」
メキョッ
雇い主の頭は拳の一撃で地面にたたきつけられた。
逢魔「けっ、どうせ横領した金だろ。俺は金が欲しいんじゃねぇ、人助けができればいいだけだ。」
ゼル「こんだけ殺しといてよく言うぜ。」
逢魔「これでこの地下で不当な労働をする奴隷は居なくなった、これを人助けと言わずになんて言うんだよ。」
ゼル「無責任って言うんだよ。」
逢魔は血まみれの拳を舐め、地上へ続く階段を昇っていく。
運よく逃げ切れた奴隷たちは歓喜し、会談へ走っていった。
奴隷「やったぞ、これで地上へ帰れる!!」
奴隷「英雄様、ありがとう!!ありがとう!!」
逢魔「ほらな、あいつらは俺のこと英雄だって言ってくれてるぜ。」
ゼル「・・・・・・、サイコパスともいうな。」
逢魔とゼルは笑いながら地上へ出る。
地上の門番たちは既に殺されており、やったのは逢魔だ。
血まみれの英雄は地上の空気を思いっきり吸い込み、深呼吸をする。
逢魔「はぁ~、今日もいいことしたな。」
この男は、人間として大切なものをどこかへ堕としてしまったのかもしれない。
運命が違えばただの殺人犯だった逢魔は、ノワール王国の道を何食わぬ顔で歩いていった。