G-16 飢えない世界
一人の女性が倒れていた。
彼女は飢えていた。
税の徴収により、数か月貯蔵していた食料をすべて奪われた。
同じ村の人間は飢えて死んでいった。
仲の良かった友達も、家族も、何もかも。
しまいには村人同士がお互いを喰らい始め、その村には何もなくなった。
村民のいなくなった村は資材を奪われ、土地の権利は国が治めることになった。
彼女は全てを奪われた。
そんな時、ある声が聞こえました。
『望みが叶うなら何をしたい?』
彼女は答えた。
美食屋「もう、何も奪われたくない。飢えない生活がしたい・・・。」
全てを奪われた彼女を終焉が襲った。
そしてそれ以降、彼女は奪われる側から奪う側、捕食者となったのでした。
数分前
ゼル「おい本当にここであってんのか?」
レイ「うん、逢魔の匂いがする。」
ゼル「ったくいきなり探査魔術が使えるとはな・・・、魔術の天才かよこいつは。どっかのクソガキを思い出すぜ。」
レイ「クソガキじゃないよ。」
ゼル「へいへいそうだな。」
ゼルとレイは逢魔を捜しに森の中に入ってきていた。
レイの探査魔術で居場所は特定したが、肝心の逢魔がいない。
レイ「敵らしい匂いもしないよ?」
ゼル「見る限り逢魔の姿もねぇし敵もいねぇ・・・次元干渉系の力か?」
辺りには矢の痕跡も、逢魔の残滓も何も検知されなかった。
ゼル「今の状況から推測するに自分の居場所は絶対に探知させない、そして別の次元に相手を引き込み一方的に攻撃を加える力か。フェーズ1にしては強すぎる力だ。」
だが、ゼルはニヤリと笑う。
ゼル「だが、俺達の敵じゃねぇな。」
レイ「ゼルさん何するの?」
エクストラスキル【虐殺目録】を取り出した。
ゼル「俺様の力の前に隠密は無力だってこと教えてやるよ。」
ゼルのエクストラスキル【虐殺目録】は格上の敵をサーチする能力だ。
その効果は相手の通り名とその強さ、居場所を判明させる。
そう、居場所を判明させる力があるのだ。
ゼル「まぁ、いろいろ制約はあるしこういう使い方すんのは初めてだけどよ。上手くいって良かったぜ、『ピン表示機能』!!」
逢魔「ありがとよ、ゼル。これで、心置きなくぶっ殺せる!!」
美食屋「痛い!痛い!痛いぃぃぃぃぃ!!」
逢魔「安心しろよ。」
逢魔の腕が肥大化を始める。
【逢魔之刻】が始まったのだ。
逢魔「一撃で仕留めてやるから、な。」




