G-15 狩猟の箱庭
木々が重なる音が聞こえる。
この木々を移動しているのだろうか。
この森全体が美食屋の思うがままである。
逢魔「魔術じゃねぇ、それに森全体からかすかに終焉の残滓を感じる・・・。おまえもか!!」
美食屋「あぁ、この力には本当に感謝しているよ。私はもう誰にも奪われない、奪わせない、私が奪う側なんだ!!」
さらに二射、音が聞こえる。
今度は別々の方向からだ。
逢魔「さっきので分かった、必中なんだろ?この森の中ではよぉ!!」
逢魔の腕が肥大化し、矢をはじき返す。
逢魔「ってことは弾いちまえば問題ねぇな!!」
エクストラスキル【逢魔之刻】が発動する。
美食屋「君も同族なのか!!同族を食べるのは初めてだよ!!どんな味がするのかな・・・、甘い?辛い?苦い?なんでも大歓迎だよ!!」
弾かれた矢は失速し、地面に落ちる。
だが、再び再加速し逢魔の体に突き刺さった。
今度は心臓に二発だ。
逢魔「ぐぁぁぁぁ!!」
美食屋「なんで死なないの?普通心臓に矢が三発も刺されば人は死ぬはずだよ?」
逢魔「知らねぇよ・・・、タフな家系だからか?」
美食屋「大丈夫だよ、固い肉でも私は大歓迎だから!!」
逢魔「話が通じねぇな・・・、終焉化した奴はみんなこうなのか?」
美食屋「私の【狩猟の箱庭】からは逃げられない。さぁさぁお腹の中へおはいりなさいな!!!」
逢魔は血を流し、膝をつく。
体力が限界に近付いたことにより、エクストラスキルが自動的に解除された。
逢魔「くそが・・・。」
逢魔は不意に思ってしまった。
ゼルがいればその観察眼により相手の弱点がつけたのではないか。
だが、それを自分から突き放した逢魔に助けを請う資格はない。
その瞬間、地面に白いモヤが現れた。
美食屋「な、なに!?」
一番驚いているのは美食屋だった。
逢魔「・・・くっくっく、ありがとよゼル!!」
逢魔は力を振り絞り、エクストラスキルを再顕現させる。
そしてその白いモヤを思いっきりえぐり取った。
美食屋「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
美食屋の叫び声と血が滴る。
美食屋は最初から地面の中に隠れていたのだ。
逢魔「ありがとよゼル、これは貸し1だな!!」




