G-14 美食屋
レイ「赤文字?」
ゼル「この本は格上しか書いてねぇ。だがそれも限度があるんだ。本当に戦うべきじゃねぇやつは赤色の文字で書かれてんだよ!!」
ゼルは慌てて、飯を捨てて走っていく。
ゼル「今のアイツじゃ絶対勝てねぇ!!なんでこんな近くに【美食屋】がいるんだよ!!」
逢魔「あ~むかつくぜ、ゼルのやつ。」
逢魔は一人山道を歩いていた。
逢魔「確かに俺も言い過ぎたけどよぉ・・・。」
歩くのをやめ、来た道を振り向く。
かなり歩いてきたのでゼルもレイも見えなくなっている。
逢魔「・・・戻るか?」
逢魔は歩くのを辞めて来た道を帰り始めた。
結局なんだかんだ言いながらも逢魔はゼルの便りがなければ生きていけない。
生まれてからずっと英雄の一族というだけでなんの苦労もしていなかった王族、いわば王子である逢魔にいきなり一人旅は無理であった。
逢魔「それに、ゼルの言っていた『赤文字』ってやつが出たら・・・・・・、まぁそんな奴めったに合わねぇだろうし大丈夫か!!」
その瞬間
ドスッ!!
逢魔の心臓を一本の矢がつらぬいた。
逢魔「ぐはっ!・・・おいおいまじかよ。」
矢から血が滴る。
撃たれた方向を見るがそこには誰もいない。
逢魔「やべぇ、ゼルの方に!!」
来た道を走って戻る。
しかし、いくら走っても見慣れない道が広がっていた。
逢魔「ただ迷ったわけじゃねぇ・・・、明らかに時空がねじ曲がってやがる。」
シュパッ
矢を投擲する音がかすかに聞こえた。
逢魔は音を頼りにその場を離れ、矢を回避する。
グサッ
逢魔「・・・ってぇ!!なんの冗談だよこいつは!!」
見ると、逢魔の足に矢が刺さっていた。
???「ごめんね、獲物を執拗に傷つけたいわけじゃないんだ。」
森全体に拡声器を使ったように女性の声が響く。
人の姿はない。
逢魔「てめぇが俺をここに閉じ込めたのか。」
???「そうだよ、ここは私の狩場だからね。」
森の木々が揺れ始める。
逢魔「ここ一帯、お前を隠すみたいに森が動いてやがる。」
???「一発で仕留めてあげられなくてごめんね、でも大丈夫。君もおいしくいただくから。」
森のいたるところに骨が転がっている。
獣だけではない、人の骨もだ。
逢魔「人喰ってやがんのか、この女。」
美食屋「私は美食屋、名前はないんだ。短い間だけどよろしくね、君はどんな味がするのか今から食べるのが楽しみだよ。」




