G-12 ケジメ
逢魔「ちっ、物量が多すぎて前が視えねぇ。」
逢魔の視界は血や肉で見えなくなっていた。
無尽蔵の死体が部屋を埋め尽くす。
ジョンの人間製造は休むことを知らない。
どこからこの無尽蔵のエネルギーが生み出されているのか。
それが、エクストラスキルというものだ。
ジョン「はははははははははは!!!!このまま俺もろとも埋もれろぉぉぉ!!」
突如、ジョンの視界が90°回転する。
ジョン「は?」
ジョンが足を滑らせた。
足元には凍った地面。
視線の先にはレイがいた。
レイ「結構簡単なんだね、魔術って。」
ゼル「バケモンかよ・・・。」
レイはこの一瞬で氷の魔術を習得してしまった。
初歩の初歩だが、それが決定打となった。
逢魔の腕がジョンの腕をつかむ。
逢魔「ようやく捕まえた。」
ニタァァァァッと笑う。
ジョン「やべっ、やべてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ジョンの腕は簡単に引きちぎれた。
腕が発動条件のスキルなら、もうエクストラスキルは使えない。
のたうち回るジョンをしり目に、逢魔はレイのもとへ歩いていく。
レイ「役に立った?」
逢魔「・・・・・・ほんのちょっとだけな。」
レイ「やったー。」
逢魔「愛想のねぇやつ。」
レイは無表情のまま両腕を上げてガッツポーズをとる。
逢魔「それで、お前がトドメ指したいか?」
レイは頭を縦に振るとそのままジョンのもとへ歩いていく。
ジョン「腕・・・俺の腕ぇ・・・・・・。」
レイはジョンの口に手を当てる。
凍結が広がり、ジョンの鼻と口を完全にふさいだ。
ジョン「もごぉぉぉぉぉ!!もごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
レイ「その息苦しさは、私達奴隷が感じてたものだよ。」
ジョン「もごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!もごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
やがて両腕があがらなくなり、しばらくした後動かなくなった。
レイはしばらくジョンを眺めた後、手を合わせてお祈りをする。
レイ「みんなの恨み、ちゃんと晴らしたからね。」
その後、逢魔の元へ走っていく。
レイ「これで私も連れてってくれる?」
逢魔「・・・・・・・・・・・・・・・。」
悩んだ末、
逢魔「・・・・・・好きにしろ。」
レイ「やったー。」
ゼル「奇妙な勇者パーティだぜまったく。」
正式にレイが加わり、逢魔は再び旅路を歩き始めた。
逢魔が去ったこの国からは、もう生命の息吹を感じなかった。




