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第43話 エマとアムリッタ

「あ、あの……お名前はなんと言うのですか……?」

「ランマ=ヒグラシだ。もっと気楽に話してくれ。俺がお前より年上ってことはないだろうしな」

「あ、は――うん、わかった。わたしはアムリッタ=リッケンフェルト。高1だけど、君は?」

「俺も高1、15歳」

「あ、私の方がちょっとお姉さんだね。昨日で16歳になったから……」


 アムリッタは小動物のような女子だった。

 ボサついた黄緑の髪、瞳も黄緑色で、左眼は長い前髪で隠れている。大きな瞳に歳より少し下に見える童顔・低身長。腰回りは華奢だが、胸は同年代と比較して大きい方だろう。


 髪さえ整えればモテそうな外見をしている。


「……ランマ君が助けてくれて本当によかったよ」

「こういうのは先生とかに相談したら解決してくれるんじゃないのか?」

「えっと、先生に相談すると、きっとお姉ちゃんにも連絡がいっちゃうから。そうなると色々大変で……」

「あー、家族にそういうの知られるのは気まずいって感じか。俺にはよくわからない感覚だが」

「そ、そうじゃないの! わたしのお姉ちゃん、すっごく怖いから、きっとわたしがいじめられているって知ったらさっきの人たち、みんな殺されちゃう……」

「どんな姉ちゃんだよ……」

「ランマ君は召喚士クラスだよね?(さっき召喚獣使ってたし……) きっとわたしと同じクラスだよ。召喚士クラスは1つしかないから」

「そりゃラッキーだな。早速クラスメイトに友達ができたってわけだ」

「と、友達!? え、えへへ……」


 アムリッタは耳を赤くする。


「お、ここが学校か」


 銅で出来た巨大な門、そこを越えると石畳が門から玄関まで続いている。芝生が左右に広がっており、とても美しい景観だ。


「〈ロンドン〉ってホント、建造物がどれも綺麗だよな。狂気的なこだわりを感じる……」

「そうなんだ。わたし、生まれも育ちも〈ロンドン〉だから、ここが他と比べて綺麗なのかどうかとかわからないんだよね……」

「そっか。そうだよな。〈ロンドン〉ができたのは30年前だから、〈ロンドン〉生まれ〈ロンドン〉育ちが居てもおかしくないのか……」


 石畳の道をランマ達は歩く。

 校舎に着くと、


「アムリッタ、職員室ってどこにあるかわかるか? まず担任の先生に挨拶しなくちゃならなくてな」

「この道まっすぐだよ」

「サンキュ。じゃ、また後で」

「うん! またね!」


 アムリッタは健気な笑顔で手を振った。



 --- 



 ホームルーム前。

 アムリッタの席の前に、朝絡んできた不良3人が現れる。


「おいコラ、アムリッタ。後で面かせよ」

「な、なんで?」

「さっきの礼をしてやるってんだ」

「……や、やだ!」

「マジ調子のんなよテメェよぉ。あの野郎さえいなきゃテメェなんてなぁ……」


 拒否するアムリッタに不良が詰め寄ろうとした時、


「おーい、お前ら席つけ。ホームルーム始めるぞ~」


 担任教師が入ってきたことで不良たちは自分の席に向かった。


「……今日、転校生が来るらしいぞ」

「……俺の情報網によると、召喚士クラスと転生士クラスに1人ずつ入ってくるそうだ。しかも、片方は超絶美少女だってさ!」

「……もう片方は?」

「……いけてない男だって」

「……頼む! 運命の女神様よ! 女子! 女子こい!!」


「えー、今日から転校生が1名我がクラスに来る。入っていいぞ」


 転校生が入ってくると、男子生徒はため息をついた。

 そして不良たちは顔を青ざめさせ、女子たちはうんともすんとも言わない表情。唯一アムリッタだけが嬉しそうに笑う。


「どうも。転校生のランマ=ヒグラシです」

「な、ななな……!?」

「ど、どうしてアイツが……!?」

「マジかよ!?」

「ん? なんだケイネス、ベンジャミン、マグ。お前ら知り合いか? そんじゃ、お前らの近くの席にしてやるか……」

「「「いえいえいえいえ! 知り合いじゃないっす!!」」」

「? どうなんだ、ランマ」

「えーっと……? 初対面だと思います」

「「「忘れるの早すぎだろお前!!」」」

「あ、俺席選べるならあそこがいいです」


 ランマはアムリッタの後ろの空席を指さす。


「ちょうどお前と入れ替わりで転校したやつの席だな。いいぞ」


 ランマは窓際、アムリッタの後ろの席に行く。


「久しぶり、アムリッタ」

「う、うん!」


 アムリッタは後ろ髪をさすり、髪が跳ねてないか確認する。

 照れると髪を触るのが彼女の癖のようだ。


「そんじゃ出席取るぞ~」


 担任教師が生徒の名前を呼んでいく。


「んーっと、エマは……いないみたいだな」

「いま来ました」


 女子生徒が教室に入ってくる。


「おう、来たか。もう家は落ち着いたか?」

「ええ、まあ」


 艶やかな黒髪の女子生徒。角のような2本の出っ張りがある帽子を被っている。

 目つきは厳しく、刺々しいオーラがあるが、顔立ちは整っており一見して男子に人気のある女子だとわかる。

 ランマは彼女に注目する。それは彼女の容姿に惹かれたからではない。


「……」


 エマという少女はランマを一瞥すると、ランマから離れた席に着席する。

 ランマがエマを目で追っている姿を、アムリッタは見ていた。


「え、エマちゃん、かわいいよね。ランマ君が目で追うのもわかるよ……」

「あ、いや、そういうのじゃなくてな。なんか見たことある気がするんだよなー……」

「よーし、全員揃ったし授業始めるぞ」


 ランマが頭の内の疑問を解決する前に、授業が始まった。

キャラが増えてきたので一度整理


――第七師団――

ランマ:主人公。召喚士。

ステラ:ランマの同期女子。転生士。

ウノ:ランマの同期男子。結界士。


スウェン:ランマの先輩で右腕がない男子。ミカヅキ班。転生士。

ミカヅキ:サングラスをかけた先輩男子。ミカヅキ班リーダー。結界士。

フランベル:隠れマッスル系お嬢様女子。ミカヅキ班。召喚士。


ヒルス:ランマの憧れの女性。第七師団師団長。

ギネス:第七師団副師団長。紫髪の男。

ザイゼン:スキンヘッド剣士。眠ってる時に近づくと斬られる。



――クラスメイト――

アムリッタ:いじめられっ子の女子。

エマ:謎の黒髪美人

ケイネス、ベンジャミン、マグ:いじめっ子。ランマにボコされた。



――その他――

アルヴィス:ランマが通っていたアカデミーの校長。召喚士。

ガルード:ランマが通っていたアカデミーの先生。召喚士。

エディック:ランマをからかっていた同級生。ワンハンドレッドに殺された。

ゴネリス:ワンハンドレッドに眷属化された後、ランマによって倒された。

リーニャ:ワンハンドレッドに眷属化された後、ミカヅキに倒された。

ワンハンドレッド:第三階位100番。スウェンに撃退されたが逃げ延びた。なぜかランマを狙っている。

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