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第14話 ミカヅキ班

「第三階位を一人で? やるねぇ。それなら十分射堕天の資格がありゃ」


 サングラスの男はグリーンピース抜きのチャーハンを食べ、厨房へ顔を向ける。


「おいクソババァ! チャーハンうめぇぞコラ!!」

「ありがとよクソガキ!」


 荒っぽいけど悪い人間ではなさそうだな、とランマは目の前の男を評価する。


「スウェンもボソっと言ってたけど、第三階位? ってなんすか」

「おいおいおいマジか。射堕天なろうっつーのにそんなことも知らねぇのかよ」

「堕天使が9999体いるのは知ってるよね?」


 スウェンが聞く。


「ああ」

「その堕天使には強い順に1(から)9999までの順位が振られているんだ。1~9位を第一階位、10~99位を第二階位、100~999位を第三階位、1000~9999位を第四階位って言うんだよ」

「そういや、あのバーテンダー堕天使、手の甲に998って書いてあったな。アレがもしかして」

「そう。彼の順位だ。堕天使はみんな、体のどこかに自らの順位を刻んでいる」


 ランマが戦った堕天使は998番、だから第三階位。

 ランマは故郷を襲った堕天使について思い出す。あの堕天使の頬には889と刻まれていた。


(あの堕天使は889位、アレも第三階位か)

「一桁は第一階位、二桁は第二階位という風に覚えればよろしいかと」


 チャーハンを口いっぱいに含んだフランベルが補足した。


「第三階位を倒せれば能力としては申し分ねぇ。だがお前の入隊は認められない」

「理由は?」

「推薦者がスウェンだからだ。俺はこいつの戦闘力は信用しているが、他の部分は一切信用していない」

「あっはは~、酷いなあ、ミカヅキさん」

「待ってください! 他にも推薦者は居ます! 俺の学校の校長が……あ」


 ランマは思い出す。アルヴィス校長の推薦状がスウェンによって処分されたことを。


「? どうした?」

「いえ、なんでもないっす……」


 最悪一度〈カーディナル〉に戻って改めて推薦状を貰うしかないか。とランマが考えていると、


「安心しろ。チャンスはくれてやる。つか、グッドタイミングだったな。ちょうど明日は射堕天選抜試験の日だ」

「選抜試験?」

「射堕天志望の人を集めて試験を開くんだ。今年は僕らのチームが試験担当でね」

「やっぱそういうのあんのか。チームってのはこの3人のことか?」

「うん。僕らはミカヅキさんがリーダーのミカヅキ班なんだ。射堕天は基本2~4人で動くんだよ」

「じゃあなんでお前、この前は一人で行動してたんだ?」

「わたくしたちの任務は二つあって、片方が選抜試験の実施、もう片方が貴方たちが倒した998位の堕天使の討伐だったのです。しかし堕天使の方が予定以内に片付かなくて、仕方なくスウェンさんお一人に堕天使を任せてわたくしとミカヅキさんは試験の準備に回ったのです」

「テメェは借金取りと追いかけっこしてただけだろうが! ほとんど準備は俺一人でやったんだ!」

「これからは手伝いますわ」

「当たり前だ!」


 ランマはずっと頭の中にあった違和感の答えを見つける。


「もしかして、ミカヅキさん〈カーディナル〉に来ました?」

「ああ、行ったぞ。一か月ぐらい前だったっけな。あそこの調査が終わった次の日にスウェンとは別行動になったんだ」

(あの路地裏でスウェンを呼んでいた声、やっぱこの人か)

「話戻すけどよ、明日の選抜試験にお前も参加するだろ?」

「します」

「りょーかいだ。これで今年の受験者は59人か。多いねぇ」

「試験は明日の朝ですわ。場所はこの街の近くにある地下大空洞でやります」

「内容は明日説明する。これはどの受験者も同じだ。お前に一つ言えるのは……この試験は甘くないってことだ。俺らはこの試験で3人採用できれば上出来だと思ってる」

(59人中3人、たしかに狭き門だ)


 だからと言ってビビるランマじゃない。


(そうでなくっちゃな……! あの人の隣に立つためには、それぐらいの難関越えられなきゃダメだ!)


 ランマは笑う。その笑みを見て、スウェンも微笑んだ。

 それからランマは詳しい試験の時間、実施場所を教えてもらい、夕食をご馳走になった後近くの宿に泊まった。


 夜は過ぎ、試験当日。

読んで頂きありがとうございました。

この小説を読んで、わずかでも面白いと思っていただけたら評価とブクマといいねを入れてくれると嬉しいです。とてもパワーになります。

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