表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖界放浪記  作者: 善童のぶ
放浪前記
75/265

74話 神器

数話はこの宝物庫のような場所でのやり取りが繰り広げられます。

一応大事なやり取りなので、ここで紹介した武器についても、設定で明かしていこうと思います。

戦闘描写はしばらく無いので、退屈してしまうかも知れません。一応、書くときは真剣に書きますし、こうした重要な部分は会話が多めです。

霊域と言った場所は神秘なものを感じる。

というのも、聖域のような神聖な武器や無害なものがあったが、此処はどちらかと言うと生気と邪気の両方が蔓延る空間に思える。触れても容易に取り出せないように、此処にも特殊な結界で封じられている。

霊域がどんな場所かは知らねえが、邪気に属する武器とかに触れないでおこう。


武器は聖域にあったものと比べると非常に少ないと言える。数は僅か50点程度しかなく、形状や使い方は分かり易い武器だけが置かれている。中には、武器とは程遠い道具や用品まで置かれている。

日本刀・西洋剣・鞭・棍・刀剣・短剣・斧・釘・ケペシュ・シックルソード・弓・槍・小銃・拳銃・盾・針・甲冑・旗・霊装・造花・縄・仮面マスク・鏡・勾玉・人形・木箱・瓶・壺・流星錘と俺が知る物が置かれている。

聖域に置かれていた宝物庫の物とは違い、こちらは全てが花を大事にするように飾られている。

だが、異様な光景が俺には見える。

神具と思しき武器が全部、真っ白な発光の光を帯びているのだ。

輪郭はあるが、それ以外はどんな形や色をしているのか分からず、これが神具と言われても納得できるか分からねえ。來嘛羅が神具と言うのだから、俺はそう納得する。

「やっぱ凄えな。此処に置いてある物はオリジナルってわけかよ」

一度見渡してみて、俺はそう思った。

「ほう?幸助殿は勘が鋭いの」

面白そうに話しかけてきた。俺の推測はあったみたいだ。俺はこの霊域を見て気付いた点を挙げる。

「聖域にある宝物庫は此処のコピーで、霊域はそのオリジナル。あと、あそこの空いてる場所は扇子が置いてあったんだろ?」

來嘛羅が手に持つ扇子を指す。來嘛羅は嬉々と答える。

「その通りじゃな。妾のこの扇子は唯一無二。これの前では、如何なる技も吹き荒らし無力化する。やはりお主を霊域に連れてきて正解じゃったな」

俺を連れて来ようとしたのは最初から目論んでいた様子。俺に一体何をさせるのかは分からない。ただ、來嘛羅の言葉を聞くしかない。

「念の為に聞きたいんだが、來嘛羅は俺に何をくれるんだ?」

「うむ、それを考えておるのだが…お主にぴったりな神器・・がどれかに頭を悩ましておる」

「ん?ちょっと待ってくれよ。俺には神具・・は扱えない筈だろ?妖怪が扱う武器だから、人の俺じゃあ…」

俺は來嘛羅に意見する。俺には神具を扱う資格がない。妖怪にしかそれは許されていないのは聞いたし、俺は妖怪じゃなくて人間。とてもだが、俺に扱う術はないのだと踏ん切りがついている。

「これ!お主よ否定に入るでないぞ」

俺は強く言われてしまった。

「いや、流石に否定に入っちまうだろ⁉︎」

「否定に入るのは構わぬが、己の事を知らずして否定に入ってはならぬぞ?幸助殿は妾の加護を受けた数少ない寵愛を受けし人間。妾がお主に譲り渡す物がただの駄物と思うのなら心外じゃ。此処の封印を解いたからには話してやろう」

來嘛羅がそう言うと続けて話す。

「此処に置かれる神具は、実は別の名があるのじゃ。神器と言うのじゃが、ここらに置かれている神器には、他の神具以下にはない特徴があるのじゃ?」

「特徴……か」

最初は神具と神器が同じ物だと考えた。しかし、この世界には名前を付けてはいけない“ある禁忌タブー”がある。妖怪は名を与えられると消失する。

“ある禁忌”と《名》が意外にも繋がりがある事に俺は気付いた。

直感で言いたい。もしかしたら、俺の能力を知るからこそ言ってるのかもしれない。

「何か閃いたかの?」

名は消失を意味する。だが、俺はその逆の意味を持つ。

そう言うことかよ。遠回しで言われるよりは分かり易い答えだった。

「此処にある武器に、最初から付けられるべき名前・・がないんだよな?」

俺が納得した答えを言ったのか、來嘛羅は嬉々と頷く。

「うむ、言わなくとも察したようじゃな。流石は妾が見込んだ男じゃ。妖怪が名を賜り、力を失うのは以前話したであろう?じゃが、幸助殿のように例外・・もおるのじゃよ」

「俺が能力の《名》を持っているからだろ?でも、妖怪にしか名前は付けられない。そうじゃねえのか?」

「フッフッフ、お主も己の能力を知り始めたようじゃな?じゃが、その力はお主がどう思うかは自由よ」

「思う?」

そう言うと、來嘛羅は結界内に封印される西洋剣を持つ。振り回し、それが自分の物ばかりだと俺に見せつける。

「武器とは所詮、果たされる為に生まれた創造物。妾が生まれた時には腐るほど増えておったわ。何度も神具を見てきたが、コレに勝る武器など存在せぬ。人間が己の為に作る武器、他の者の為に作る武器とはさほど大差はない。所詮は人間の手で生み出された残物。コレは妾が望むものではなかったのじゃ。名を刻まれた武器は確かに神話に存在する扱い難き武器。その反面、所有者には強力な力を与える。じゃが、それは人間が所有者を定めているから成せる伝承。妖怪又は名を残した人間には特別な物が共に伝承として引き継がれておる。それが一体何か、お主には分かるかの?」

「いや、俺には分かんねえ…」

俺には理解できない。

來嘛羅は呆れたように言う。

「やれやれ、お主は己の異能の名を知っておる筈じゃろうて」

「《名》なのは知ってるぜ。でも、名前のない神器に名前を付けるのは人間じゃなくても可能だろ?」

西洋剣を元に戻し、他の神器に触れ、各々が持つ武器の用途に見合う動きと扱いを見せつける來嘛羅。その動きはどんな武人も魅了する動きだった。

しかし、來嘛羅が触れた武器が発光したまま。朧げな形は分かるが、全く詳細が掴めない。

「甘い考えじゃな。じゃが、それも悪くない筈じゃった。人間とは手で作る以外にも別に概念を持ち合わせておる。不思議じゃが、妾にはそれが出来ぬ。人間にしか出来ぬ芸当故に妖怪にそれは許されず、決して超えられぬ壁…それがあるから此処の神器は存在しておる。名を持つ妖怪…災禍様、そして太古の妖怪であろうとその壁は超えられぬ。悔しいと何度祟ったじゃろうか?じゃが、祟るのが嫌となるほど面白かったぞ?」

様々な感性で見ているように思える。その上で行き着いた結論も楽しげに語る。

人間の可能性を押し続けて評価しているようだった。

來嘛羅は人間が好きなんだなと思えた。

「人間のような強欲な生き物は知らぬ。知らぬとは恐怖というが、妾にはコレが堪らなく快楽じゃった。人間のみが、全てのものにを付けようとする。人間は名を他に与え、その名を呼称する。知性ある者が新たに誕生したものに名を付けるのも、ごく自然なこととして誰もが名に違和感を覚えぬ。たとえ異彩を放つものに対してもじゃ。名が存在しないものなど存在しない。それが堪らなく妾にとって、酔いしれる悦楽なのじゃ。特に、お主に隠れ潜む強欲が妾には胸を弾かれたような衝撃を与えてくれたのじゃ。よい刺激をくれ、妾の退屈を祓ってくれたお主と無名とやらには感謝しておる」

無名ムメイ』。俺はその妖怪を知っている。俺の希望を助けてくれた恩人。今はどうしているのかが頭の隅で常に心配している。俺の転生後、少女の行方が全く分からないからだ。

でも、今更気付いたが、そんな妖怪は俺の記憶にはいなかった。


『無名』という妖怪は伝承の何処にも存在しない。少女は自分で名乗っていた。

なのに、少女は自分に名に教えた。

無名ムメイ』という妖怪の伝承は一欠片も見つからない。


だが、來嘛羅は俺の背後から尻尾で俺の体を覆い尽くす。しっとり気の感触けざわりに包まれ、俺は來嘛羅の話に意識を改めて向ける。

「お主を助けた妖怪、恐らくは名を持たぬ下位の妖怪じゃ。下位の妖怪、つまりは名のない妖怪じゃった。その者達は力は微弱であるが、名を持たぬ妖怪の中に、稀に生まれる優れた妖術を持つ妖怪が生まれる。人間ひとの望んだ願望をはらみ、その願望を忠実に与えるという妖怪の噂を耳にしたことがある。もしや、その妖怪こそがお主が知る『無名』なのでは?」

俺は來嘛羅の言う言葉を素直に信じた。

俺に能力を与えてくれた無名は確かに妖怪だった。そして、來嘛羅が口にする話とも噛み合っている。噂にされている妖怪とやらも間違いないんだろうな。

「……多分、そう言うならそうなんだろうな」

しかし、俺はこの話をされた途端、やるせない気持ちが込み上げるように思い出した。

理由に心当たりがある。俺は好きな妖怪の告白を断ったんだ。

「うむ?何故なにゆえ、お主はそんな悲しげな表情をしおる?」

「分かってんだ。ただ無名に…ごめんとしか思えねえんだ」

「気難しく答えるのは…ほう、そういう訳じゃな?」

「察したならよしてくれ…。俺だって妖怪と知った時は嬉しかった。あいつは俺に希望を見せてくれた恩人なんだ。妖怪が存在すると、そう信じさせてくれた少女なんだ」

妖怪からの初の告白が紛れもなく少女なんだ。俺にとっては、振ってしまったという罪悪感があるんだ。


そんな俺の心を読んでか、來嘛羅が面白く笑みを溢す。

「ンフフフ!その程度の罪を意識するとは面白うの〜。妾は振られた経験はなくとも、その気持ちは欲しいものじゃな。一度、妾からの告白を断ってみるかの?」

「っっ⁉︎」

俺は突然の來嘛羅の告白に、全力で首を横に振る。

「何言ってんだよ⁉︎そんな冗談、好きな人にできるかよ‼︎」

「フッフッフ、冗談じゃ。お主が本気で拒否するというのならばやめておこう。じゃが面白かったぞ?今の可愛い反応は」

「っ…揶揄わないでくれ!」

俺は來嘛羅を振る事はない。だって、一番好きな妖怪だからな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ