表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖界放浪記  作者: 善童のぶ
妖都征圧阻止編
34/267

33話 不死の悟美

思ったよりも狂った人間とだけここでは紹介します。

これで4話投稿し終わったので、また明日投稿します。

一部も後数日で終わると思うと、折角書いたものがこんな短期間で消化してしまうショックは意外とありますね。

 悟美と紗夜、烏天狗達は妖怪の無力化を行なっていた。だが、この地下の強者二人が現れる。

「随分派手にやりやがるな?俺が相手してやる」

「アンタ達!アタシ達が殺しちゃうから!しっかり待ってなさい‼︎」

 分華と九華が立ちはだかり、悟美達に挑む。

「シシシシッ!あなた達凄いわ。そんな弱さで私に挑むのかしら〜?」

 悟美は相手にならないと嗤う。九華は激怒する。

「巫山戯んなよガキが‼︎軍服女なんか流行らねえんだよ‼︎大人しく死んじまえよ‼︎」

「おい、九華落ち着け!奴は刺激しない方がいい…」

 宥める分華は悟美を恐れた。それは直感であるが、勝てないと判断したからだ。

「うっせえわ!アンタはあんな奴放っておいていいのかよ⁉︎」

 我儘を言うように九華は分華の態度に口出す。

 双子は仲が悪い。悟美達はそう思った。

「油断している!女天狗、行くぞ‼︎」

「ええ!」

 烏天狗達は空中を高速移動し、隙を突く。

 だが、それは罠だと直ぐに悟美は気付いた。仲が悪そうに話しているのは分身だった。

 地下の壁から出てきた九華ホンモノが待ち構えていたのだ。

「土遁:地殻変動‼︎」

 地下空間が揺らぎ、柱や壁が槍柱となって烏天狗達を襲撃する。

「何っ⁉︎」

「ぺしゃんこになって終わりよ!」

 地下は広い筈。だが、進むにつれ天井が低くなっていたのに誰も気付けなかった。

 逃げようとした烏天狗と女天狗を分身の分華が取り押さえる。彼も天上に隠れていたのだ。

「ヘヘっ!一緒に死んでやる。まあ、俺は分身だから分身だけ死ぬんだがな?」

「き!貴様ぁ‼︎」

 油断大敵。相手を侮ったことで不意を突かれた。

 しかし、槍柱に挟まれる直前、悟美が動いていた。二人を拘束している分華ごと三節棍で範囲外へ吹き飛ばした。

「悟美ちゃん‼︎」

 その声と同時に、悟美は槍柱に滅多刺しにされた。

 体を数十箇所貫通し、天井と地面に体が押し潰された。

「なぁ……悟美、悟美ぃー‼︎」

「あっ…ぁぁ…」

 烏天狗は吠え、女天狗は声が掠れて涙を流す。

「馬鹿だなコイツら。妖怪は死なねえっていうのが分からなかったのかな?あーあ〜残念だったなぁ?テメェーの無様な行動で女が死んじまった。どうせ好きでもない奴だろ?気にするなよ?テメェーのお陰で死んだんだからな⁉︎」

 分華は烏天狗達を笑い飛ばす。

 烏天狗達は起きた出来事に思考が錯乱する。自分達が育てた悟美が押し潰されたのを見て、正気でいられる筈がないのだ。

「小僧が‼︎我が子を殺した仇、取ってくれるわぁーーー‼︎」

「くっははは、吠える吠える!妖怪は餌が死ぬと吠えるなぁ⁉︎そんなに美味そうな人間だったか?笑える話だな!くっははは‼︎」

 分華は嘲笑う。烏天狗の怒りが沸点に達しようとしていた。

「また私のために悲しんでくれるのね?シシシシッ、嬉しいわ‼︎」

 しかし、あり得ない声が聞こえ、地面が割れた。

 悟美が地中から自力で這い上がってきたのだ。肉体は槍柱が刺さり、痛々しいほどの重傷を受けている。それなのに悟美は狂喜に笑い、痛みになんの興味を示さない。

 押し潰されたのではなく、地面に穴を開けて地中に逃げたのだ。

 平然と立っている姿に誰もが驚きを隠さないでいた。

 何か恐ろしい存在だと感じた二人の行動は速かった。

「テメェ…まだ生きてやがったのか⁉︎」

 分華と九華は次の一手に動く。分華は分身十体で悟美を拘束し、九華は封印術を発動する。

「死になさいよ!禁術:双方相殺そうほうそうさつ‼︎」

 九華は分華の分身を生贄に、確実に仕留める死術を躊躇わず発動した。

 しかし、死んだのは何故か分身達だった。悟美の姿が何処にも見当たらない。

「アッハハハハハ‼︎分身って良い殺し道具だわ!ねぇ?もっと出せないのかしら〜?」

 本体である分華の背後に、子供のように強請る悟美がいた。

「うっ⁉︎うわあああっ‼︎」

「シシシッ、驚かなくていいわ。貴方は殺さないから。ちょっと遊んでくれるだけで良いのよ〜?」

 狼狽える分華にゆっくり血だらけで寄る悟美。まるで、悟美は楽しんでいるように接している。

「嘘っ⁉︎なんで死なないの⁉︎アタシの禁術で殺した筈……あっ⁉︎アンタが全員殺しやがったな‼︎」

 発動する条件は一人の死を生贄にしなければならなかった。だが、分身全員が殺されたとなれば、効果は発動しない。

「おい九華!コイツを早く殺っちまおう!俺の手では—ぎゃあああああああっっ‼︎」 

 突然の絶叫。その正体は、悟美によるものだと瞬時に理解する。

 分華が助けを求めた瞬間、悟美が彼が退屈だと思い、分華の両腕を容赦なくへし折ったのだ。

 悟美は異様な嗤いを見せる。

「つまんないわ。楽しんでくれてないから腕折っちゃった。ねぇ?次は何処折られたい?」

 無邪気に振る舞う悟美が可笑しいのだと分華達は発狂する。

「俺の腕がぁーーー‼︎」

 無様に泣き散らかす分華。地面に這いつくばり、折れた痛みに涎と涙、鼻水が汚く混じり滴れる。

 同時に九華はある事に気付く。

「アンタ…傷が治ってる⁉︎」

 悟美の肉体の損傷は瞬時に癒え、穴が空いた体や折れた骨はすっかり元通りになった。『超再生』を持つ異能だからこそ、悟美は躊躇いなく怪我を負える。

「シシシッ!貴女も生かしてとは言われたけど、殺しちゃっても良いかしら?」

「さ、悟美ちゃん?流石に…駄目だよ⁉︎あの人も生け捕りにしないと…」

「冗談よ?私、ちょっと武士の人と遊んでくるから。この男とあの女は紗夜に任せたわ」

 玩具を求めるように、悟美は貞信のいるであろう先へ向かった。

「あ…悟美ちゃん…」

 紗夜は悟美の気ままな笑みに思わずうっとりする。

 恐怖で萎縮していた九華は罵声を吐いた。

「あんな女、消えちゃえば良かったのよ!分華が気を失っちまったしよ!アタシがアンタ達を一人で殺してやる‼︎覚悟しやがれ妖怪共が‼︎」

 戦意が喪失しなかったのは果たして幸運と呼べるのだろうか?もしかとすると、九華は最悪な選択をしたのかもしれない……。

 紗夜は震えながら宣言する。

「あ、あの!殺さないので、半殺しなら…その、いいですか⁉︎」

「おどおど喋ってんじゃねえよ!アンタなんかに殺せるわけがねえよ!」

 九華は口悪く言いつつ、印を結んで《忍法》を行使する。

「灰となって死ね!火遁:火炎龍かえんりゅう‼︎」

 口から火龍が吐き出され、紗夜に対して放たれた。

 気を取り戻した烏天狗達が立ちはだかる。

「紗夜ちゃん伏せてて。ここはワタクシ達が!」

「行くぞ女天狗!我ら妖怪の力、見せてやるぞ‼︎」

 烏天狗達は互いに圧倒的な力を発揮した。烏天狗は羽団扇を手に取り、女天狗は常軌を逸脱する空中攻撃を繰り出す。

 互いの突出した台風の如くの風水が吹き荒れ、火龍は風の前に掻き消された。

 天狗の強さは侮ってはならない。

 大天狗に及ばなくとも、烏天狗と女天狗の強さは雪女と同じく異彩を放つ。日本の伝承に色濃く存在感を放ち、天狗の中にはかの有名な牛若丸を修行をつけたと伝説を残す。

「紗夜大丈夫か?」

 烏天狗は優しく問う。

「あ…ありがとうございます‼︎」

「無事で何よりだ。二度も心を痛めたくないのが本心だ。さっさと不埒者を取り押さえるぞ!」

「ええ!悟美ちゃんに助けられたからには恩は果たさないとです。妖怪としての威厳が損なわれてしまいますから!」

 肝が据わるように落ち着き、互いに標的に対して的確に狙いを定めて攻撃を再開する。

「巫山戯んなよ‼︎妖怪が協力するなんて聞いてねえよ‼︎」

 と、九華は愚痴を溢す。親切に女天狗が答える。

「ワタクシ達は人間に友好な存在。人間を保護し、育成することこそが天狗に求められる道徳。危害を加える者には準じた天罰を御与えします!」

「口だけだったら誰でも言えるんだよ‼︎アタシが汚ねえ汚物を掘り出してやるよ!」

 血気盛んに九華が吠える。殺意剥き出しに烏天狗達の猛攻についていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ