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妖界放浪記  作者: 善童のぶ
妖都征圧阻止編
15/265

14話 征服を目論む人間

お久しぶりです‼︎

今日は特別3話投稿します‼︎

時間は空けての投稿となりますのでご了承ください。

かなり展開が早いので、分からないことがあればコメントの方お願いします!答えられる分には答えますので!

 妖怪達が住まう妖都に闇が潜む。人間の世界と同じように、妖界にも存在する。

 妖怪の立場などなく、妖怪は人間に支配されていた。

 栄えている妖都・夜城とは違い、薄暗く、目を覆いたくなるような悲惨な光景が見られる地下が存在した。その場所は異能や地下に入れる能力を有していなければ、出入りすらできない。

 そんな地下で、妖怪を支配する人間達が拠点にしていた。地下に広がる空間は妖都と匹敵し、数百の殆どの妖怪は微動だする事を許されていない。

 ある異能を持つ人間によって、全ては支配されている。

 一人の男、山崎秋水やまざきしゅうすいという者を筆頭に、他四名の人間が妖怪を支配する。

 首にかかるぐらいの黒髪を持ち、美醜に無頓着で好まない性格。身だしなみは不清潔極まりなく、身軽な軽装で気品がない。長身で目付きは鋭く、何を見ているかが判らない。

 座り方も雑で、他人にこれでもかと注意される態度の悪さが滲み出ている。周りを囲う妖怪は心の中で彼を蔑む。

 秋水の元に、行動が許された妖怪が頭を下げ、膝をついて報告する。

 膝をついて顰め面をするのは、天邪鬼だ。

「報告……します」

「なんだ天邪鬼?俺様が探している奴を見つけたのか?」

「…儂を滑稽にした雪女とその小僧が妖都に侵入を確認。儂等に気付き、殺意を放っておった」

 天邪鬼は嫌そうな表情で報告する。そんな態度を秋水は気に入らない。

「ケッ!テメェ…まだそんな態度を取るか?身の程を弁えろ」

 秋水の手に青い炎ような塊が揺らめく。それを見て、天邪鬼は恐怖に震える。

「く、くそっ‼︎」

「何度も躾をしないとテメェらは聞かないんだろ?何度も教えてやるぜ」

 その塊を握り潰すと天邪鬼はのた打ち回る。

「あぐっ⁉︎グフ、グアアアアアアアーーー‼︎」

 その様子を見た妖怪は目を背ける者、怒りで更に殺意を激らせる者で分かれた。

 踠き苦しむ天邪鬼を見て、秋水は嘲笑う。

「フハハハ!良い踊りを披露しやがる!もっと見させてくれよ。なぁっ!」

 塊を握り潰すこの行為は、秋水の持つ能力のほんの一部。その力の前に、妖怪も逆らえない。

「ねぇ秋水様。それぐらいにしてあげたら?それ以上、踊らせると死んじゃうわ」

 秋水の背中から、豊満な胸を押し付け耳元で囁く。身長は低く、中学生と認識するぐらい幼く見えるが、中身は50歳を裕に超えている。

 女の名は秋山名妓あきやまめいぎ

「妖怪は死なねーんだよ。それはテメェが知り尽くしてる筈だと思うが、テメェが言うなら構わないぜ?」

 秋水は機嫌良く手に持つ塊を消し、ニヤリと笑う。

「なぁ秋水や。日本者にほんものの一本釣りは順調か?」

 武士のような格好の男は、獰猛な顔付きで現状を問う。

 男の名は、佐藤貞信さとうさだのぶ

「問題ねえぜ?この妖怪世界にいる人間達は大半は回収している。まだ四十人程だが、いい奴らで良かったぞ?躾のしがいがあって」

「そうか。なら、もう狼煙時か?」

 彼等はある事を目論んでいる。

「秋水殿。ワシは主殿に従うが、本当に功を成せるものか?本当に…」

 獰猛な顔付きは、秋水を強く睨む。

 秋水は余裕そうに答える。

「ああ、全く問題ない。オレ様の力さえあれば、妖怪など恐るに足らない弱者だ。人間の力を見せつけてやらねえと」

「主殿は新参者なのによく恐れないのだな。ワシでも、そんな無謀をするつもりはなかったんだが」

 貞信は500年程前の武士の端くれである。戦国の世に生まれ、僅か30歳という若さで戦で命を落とし転生者。異能により肉体の劣化はなく、若い肉体を保ちながら今日こんにちまで生きてきた。

「私も驚きものですわ。秋水様はお若いのに、その行動力は尊敬ものですわ」

 愛想よく笑う名妓。

 名妓は昭和初期に生まれたのだが、14歳の頃に患った天然痘が原因を生み、無惨な死を遂げた転生者。妖怪の加護を受けた事で生きる事が出来ている。

「ハハハ、謙遜はよせよ。テメェらの方が十分に尊敬してんだぜ?なんせ、オレ様よりも永く生きているんだからな」

 秋水はそう二人を褒め称えるが、内心はなんとも思っていない。

 他人に興味がない。単に、集めた人間が使えるから使っているに過ぎないと考えている。秋水の異能の糧として生かしているに過ぎない。

 人間関係よりも他者を支配する欲求が強く、妖界に迷い込んだ頃からずっと胸に秘めている目的があった。その目的は……。

「ところで秋水様?残りの二人は何処へ?」

 まだ幹部らしき人間がいるのだが、この地下にはいない。

「あーアイツらか、半年前に雪女に名をやった奴を捕まえに行かせてるぜ。偶々、妖都に出張ってきたみたいだし、天邪鬼では荷が重過ぎたな」

 秋水はすでに手を打っている事を打ち明ける。

「なるほどですわ!それでしたら、もうその彼も捕まりになるのもそろそろ、と言うわけですね?」

 嬉しそうに名妓は納得する。

「アイツらなら捕まえる。雪女は都市伝説では強えみたいだが、妖怪である限り、あの二人になら容易い」

「彼等も新参者だろ?少し、雪女を甘く見過ぎではないか?」

 貞信は気に掛ける。だが、秋水は問題ないと言い切る。

「オレ様の超能力、舐めるなよ?願望強え奴を舐めたら痛い目をみる。テメェは身をもって知っただろ?」

「……」

 貞信は面白くない顔をした。

 貞信は秋水に殺されかけたのだ。それを思い返す度に、秋水への恐怖と怒りが掘り返される。

 貞信もまた、秋水に忠誠というものはなく、目の敵にしているに近しい感情を向けている。

 従っているのは、秋水に敗れた己を恥じ、従っているに過ぎない。

 所謂、武士道精神に忠実というわけなのだ。

「俺様に従えば、命は保障してやるよ。俺様が妖怪世界の王になった暁には、好きな町や村でもくれてやる。自由に過ごしていいのはそれからだがな」

 秋水は不敵に笑った。

 秋水の目的は、妖界の王になることなのだ。

 その為に、多くの人間や妖怪を支配下に置いているのである。

 人間が特殊能力を獲得するのを知り、それを利用する為に妖界に来た人間を支配した妖怪に捕まえさせ、自分の手駒に加えている。

 特殊能力である異能を持つ人間だけでも数十人存在し、妖怪は数百人である。

 秋水は人間達を一ヶ所に集めており、妖都:夜城の地下には潜ませていない。別の拠点に隠れ潜ませ、誰にも知られないように隠蔽している。妖怪は地下と別の拠点に分かれている。

 既に20年も計画を進めており、秋水達の総戦力だけで都市壊滅出来る程だ。

 秋水の欲望は、達成されるまで満たされない。

 一度決行した事を止める事を知らない秋水は、もの凄い勢いで妖都を侵食していく……。

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