142話 本音
すみません……。
アルバイト疲れで爆睡してしまい、日を跨いで投稿になってしまいました。本当にすいませんでした。
ここで來嘛羅達の出番はひとまず終了し、次回は“三妖魔”の登場となります。では、また今日のうちに投稿します。次は寝ないように頑張ります。
「それはアレか?怪都へ応援を送るということか⁉︎」
以前から計画されていた怪都への協力要請。しかし、褒姒が虚偽を來嘛羅に報告しており、それを最近まで嘘を見破れなかった。
否、完全に信用し切っていたからこその盲点だった。
身内の褒姒も『九尾狐』の端くれ。少しでも警戒していれば分かることだった。
「そういう事じゃ。守護者の地位が欲しいのじゃろ?行ってくれるな?」
そんな柔な弱点を隠し、欺く狐を演じる。
更には、天逆毎が欲する守護者を天秤に掛け、その心も容易く揺らがせる。既に幸名は説得済みで、他の三人も承諾済みである。天邪鬼も幸助に協力を妥協しない姿勢なので断る理由がない。
天逆毎は地位を欲する。故に、來嘛羅の要請に従うなら断る訳にいかない。
(やるな狐神。妾の欲するモノを手中に押さえておる。断る理由もないな。寧ろ、ここで借りを作っておき、幸助という人間を研究させて貰う手筈でも繕っておこう)
しかし、タダで請け負うのは性根に合わないのを嫌う天逆毎。來嘛羅に無理問答に押し付けられるのだけは避ける。
「いいだろう!その代わり、松下幸助と新城悟美、そこの孤娘を暫し貸して貰うのはどうだ?怪都へ赴き、奴等が来たのなら。その時は……」
内心で隠し通す理由がない。來嘛羅の前で余計な目論みは怪しまれる。堂々と自身の目的を述べる事こそが、天逆毎には都合が良い。
幸助の他に悟美と幸名を指名したのは、二人にも興味を示したからであり、その力をものとしたい為に欲する。
來嘛羅は妖艶に微笑む。
「構わぬぞ?願いは幾らでも聞き届けてやる。妾の異能が欲しいならば別に構わぬぞ?」
自信からなのか余裕があるのか、來嘛羅の笑みは恐ろしく見える。
「っ…フッ!お前の異能の数といえば飽きるぐらいあるのだろ?50年…幾ら食った?」
天逆毎は一つ質問する。
來嘛羅の秘密を彼女は知らない。この際、乗じて何か得られるかも知れないと踏み、少しばかり、來嘛羅の心に踏み込んだ。
少し溜めがあるも、來嘛羅はその驚愕の人数を明かす。
「ふむ……軽く見積もって六千人じゃったかな?いずれも、妾に向けられた刺客と罪人、秋水に奪われた者達の魂じゃ。玉藻前に比べたら安いものじゃろ?」
「その人間…何処から湧いたと思えば、玉藻前の刺客も含まれているのだな?」
血の気が引いたような悪感を抱く。
恐怖というより、平然と補食を認めた顔が妖怪らしいと思え、聞くのをやめた。
來嘛羅は幸助が思う以上に情を魅せるが、その逆も然り、無常の世の如く欲を喰らう。
感情の起伏や変化は元来より存在しない代わりに、妖怪としての強欲と言える程の醜悪を持っている。
「純粋な強欲とは恐ろしいぞ。お前の腹に収めればよかったものを…」
「なんじゃ?其方は幸助殿を取り込めと言うのかの?」
少しばかり退屈そうな顔で狐耳を動かす。
「あの男を遠目で見た。だが、今回はお前の望む結果を作れる人間とは思えなかった。早々に喰らい、お前直々に世界を束ねた方がまだ納得がいくのだがな」
善人とは思えない口説き文句。しかし、來嘛羅を知るからこその文句でもある。
來嘛羅は真顔になり、金瞳を光らせて睨む。
「なにが言いたいのじゃ?」
「お前が以前言っていた加護の人間をその手で消したのだろ?妾には記憶が抹消されていてないが、二人目が妖怪大戦争の発端になったとか…」
あまりにも、簡単に本音が漏れる。同時にこの場の空気が異様に重苦しくなる。
天逆毎の発言は地雷を踏んでしまった。
「……言うな天狗神。それ以上…な⁉︎」
來嘛羅が幸助に見せなかった冷酷な顔をして、妖艶の欠片もない低声で天逆毎を威圧する。
脅迫にも思える威圧感で、天逆毎ですら恐怖を抱く。
「ではこの話はやめよう。お前の尺度を測り損ねたのが失敬だったな」
更に無駄口を吐いてしまう天逆毎の無神経さが、來嘛羅の機嫌に触る。
「口達者のようじゃな?のう天逆毎、咎む無神経さに言い聞かせてやっても良いのじゃぞ?」
「……という事は、玉藻前の尻尾は僅かでも掴めたで間違いないのか?」
三度目はない。天逆毎は直感でそう感じて話を逸らす。
すると、何事もなかったように來嘛羅の表情が和らぎ、話の続きへと入る。
「うむ、間違いない。もう妲己達には伝えたが、玉藻前は最都の守護者を担っておる。やはりじゃが、妾の推測は的中しておった」
來嘛羅は玉藻前の行方を辿っていた。怪都まで探ったが、一切の痕跡がなかった。それどころか、玉藻前が現れたという情報が微塵も残されていなかった。
妖都から離れられる期間は少なく、容易に荒野へ赴くなど出来ない。捜索期間が少なく、大した情報を得るなど不可能。
幸助を亡夜へ送る為に妖都を一度離れたことで、外出の権利を暫く消失している。次に回復するのは5年後。
玉藻前の消息は不明だったが、來嘛羅だけはその場所を特定した。
天逆毎は難しい顔をする。
「最都か……あの都市の噂だけは聞く。現代妖怪、歪な妖怪が蔓延るのだろ?30年前に『テケテケ』が現れた時、妲己が危うく召される所を貴様が助けたではないか」
『テケテケ』の最盛期と謳われた時代、妲己は面白半分に野に放たれた現代妖怪を相手した。その結果、妲己は自分では為す術がなく、來嘛羅によって封印で片がついた。
しかし、何者かによって封印は解かれ、再び彷徨っていると聞いている。
來嘛羅は、封印を解いた者を玉藻前だと仮定した。
そこから数回探ったが、秋水という人間が妖都を支配しようとした時期と重なり、手が付けられていなかった。
秋水を討伐すれば全て片がつく。しかし、玉藻前の妖術は一人の男を完全篭絡する小細工と殲滅妖術が主な使い手。『九尾狐』としての妖怪の格が強過ぎるがあまり、過剰な戦闘力を有する。秋水を全滅させるなら、妖都は灰塵の荒野となる。
故に、守護者の地位として、他の都市に噂が広まらないように情報操作に専念していた。
「助けたの。じゃが玉藻前が解き放ったであろう。現在、数万を超える現代妖怪は脅威そのものじゃ。日本伝来の都市伝説もそうじゃが……未確認生物、架空組織、情報魔物の数々。妾ですらその者達の素性を知らぬ。寧ろ、知らぬ方が多いかも知れぬ」
來嘛羅ははっきり言った。
それに対し、天逆毎は静かに納得する。
「そうか……」
「これらを称してヤツらを“架空妖霊”としよう」
「ふざけてるのか?」
「いや何。呼び名はあった方が良かろうて?もしや、其方が名付けたかったのかの?」
「いやなに、お前が名を付けるのが趣味だったのを忘れていた。妾の記憶が間違っていなければな…」
來嘛羅の平然とした態度に溜息を吐いた。
“変化”を好む來嘛羅の奇想天外な行動は、幸助の名付けから始まったことではない。
一見、“変化”を望み、可能性の種を持つ人間に加護を授けるのが來嘛羅に授けられた使命のようだと他の妖怪達は噂する。
だがその実態は、噂以上に阿呆に思えるものが多い。
完璧超人と好意を抱く幸助に過大評価されているが、天逆毎からすれば賢愚が似合うとほざく。やる事全てが予想だにしないことばかりであり、“太古の妖怪”の根源的妖怪の為す数々が常識を超えているからである。
(愛された男…さぞ松下幸助という人間は面白い玩具に選ばれたのだろう。なんと呆れ腑抜けた理由だ。妾が守護者になる望みが一気に奈落に沈んだぞ?別に放っておけばいずれは秋水も“災禍様”に始末される未来だったろうに……こんな、わざわざ)
高望みする天逆毎でも、來嘛羅の今回の件には溜息が止まらない。
普通、根源的妖怪に属する者が都市の守護者になるなど利益になる話がない。都市に拘束されるように留まり、都市に起きた出来事に自らが干渉する事自体が許されないからである。今回起きた秋水による妖都征服は看過できるものではなく、閻魔大王の鬱憤晴らしで起きた不祥事である為、來嘛羅が罪に問われることはなかった。
妲己のように古都を放任状態で見守り、好きに人間らを痛め付ける方がよっぽど常識と言えるのが妖界なのである。
人間へ過剰に加担する妖怪は、來嘛羅以上の者を除いて変わり者ぐらい。加護に感情が混じるなど調べたのは、恐らく彼女だけだと天逆毎は思う。
「で?“架空妖霊”とやらはどうなんだ?」
「そうじゃな。彼奴らは理性を失う代わりに伝承を上回る力を得ておる。とてもではないが、数十の“太古の妖怪”程度なら容易に滅ぼせるじゃろう」
「それはお前がいない場合だろう?『鵺』や『八岐大蛇』の古参をぶつければ少しは違う筈だが」
天逆毎の知識は豊富であり、現在の妖都の妖怪戦力を熟知している。特に平安以前に生まれた妖怪の脅威は、自身が身をもって経験済みなので、その強さを測れる。
しかし、天逆毎は300年も経たない新参者。故に、外の状況を知る権利がない事で経験が足りない。
來嘛羅は首を横に振り、空を見上げるように溜息を吐く。
「拍子抜けもいいところじゃよ天逆毎。その程度の伝承で滅ぼせるならば妲己が苦労する事もない。“架空妖霊”の厄介なところは、縛りある伝承じゃ。それでいて変幻自在の伝承を多く有する。知略や基本で倒せる甘味は何処にもありはしない。じゃから、怪都が滅の危機に瀕しておるのじゃ」
聞き逃せない重大な事実を軽んじて口にし、天逆毎は思わず声を荒げる。
「なんだと⁉︎狐神!お前は嘘を吐いていたのか⁉︎力さえあれば滅ぼせると‼︎そう言ったのは貴様だろうが⁉︎」
激昂する天逆毎の相手をする來嘛羅の態度は、かなり淡々としたものであった。
「心外じゃ。人間界に記された伝承の内容を追記が許されているのは人間だけじゃ。討伐、弱点、手順が記され、妖怪は淘汰され妖界に生まれ堕ちた。じゃが“架空妖霊”どもは、その伝承自体が皆無に等しいのじゃ。其方や天邪鬼、そして妾のような欠陥を持っておらぬ」
來嘛羅は常識が覆る存在を知る。“架空妖霊”が最も妖怪としての最格であることを。
「欠陥だと⁉︎」
「そうじゃ。人間は、妖怪に人間味を与える為に不死を与えなかった」
「不死?なら全員がそうであろうが!」
來嘛羅は世界の概念を知る者。その価値観は、天逆毎とはかけ離れている。
「不死じゃない生物は存在しない。不死とは名ばかりの飾りでしかないのじゃ。『ティアマト』、『レヴィアタン』が一応不死の伝承を持ったが、いずれも滅び転生しおった。転生が不死と思うのならば頭を冷やすのじゃな。そんなもの、本物の不死とは呼ばぬ」
転生は妖怪の死と再生の繰り返し。他の妖怪はそれを不死と信じてやまないが、“太古の妖怪”は転生を不死と断固として認めない。
なぜなら、一度でも死ねば“太古の妖怪”という領域に辿り着けなくなるからである。
來嘛羅や『精霊』は今ある生を手放さず、どんな手段を用いてでも生き延びようとする老獪さを持つ。現に、來嘛羅は幸助による“変化”を謳歌し、『精霊』はカナの肉体に憑依している。
実を言えば、根源的妖怪の全ては死を経験したことがなく、死は記憶での経験でしか認知したことがない。
「不死の妖怪は貴様であろうが⁉︎1000年…いや、数万年前から歴史なき文明以前より生まれた貴様ら根源的妖怪は現に生きる大妖怪と決まっていることだ‼︎」
「天逆毎、確かに一度も、この身で死を得たことはない。じゃが、死は終始を打つ選択じゃと思っておる。妾は遥か昔、地球が生まれし頃に陰の妖気から誕生した。決して、伝承に記されているからではない。はじめから、妾が地球に生まれ、その後、人間界を巡ったのちに妖界へ降り立った。更には、妲己や褒姒、玉藻前の皮を被った悪狐を産んだ。そこで考えが至ったのじゃ」
來嘛羅の真剣な言霊に、天逆毎は息を呑む。
「で、貴様が行き着いた極論を聞かせろ!」
來嘛羅は素直に答えることにした。
「誕生したすべてが、何故死を得られない不死が与えられるだろうか?妾は永遠の問いを探しておった。結果、人間に不可能なことを伝承で記したところで、妾は不死などではないと開いたのじゃよ」
しかし、死なぬ存在ではないことも証明されてしまっている。
ある根源的妖怪である一人は、死を引き換えにこの世界を救い、永久に妖界に生まれ落ちる権利を失った。それにより、來嘛羅の世界への探究は終わりを告げた。
天逆毎は納得しない。納得すれば、妖怪の存在意義に疑念を抱いてしまう。ぬぐい払うように声を荒げる。
「何を馬鹿なことを言う狐神‼︎我ら妖怪は未知の存在であるから力を与えられた‼︎人間共が恐怖し、恐怖を生物として宿らせた存在が妖怪だ!ではなんだ⁉︎『不死鳥』が不死ではないと言っているようなものだぞ⁉︎それを納得させられる事を言えなければ、貴様の戯言にキレて投げ飛ばしてやろう‼︎」
袖を殴り掴み、今にも殴り飛ばそうと息を荒くする。
それでも、來嘛羅は至って普通だった。
「ではひとつ問おう。其方は混妖の特性を知らぬか?」
「はぁ?混妖だと…?何を今更」
「彼奴らは妖怪の中で唯一、魂が肉体と共鳴しておる種族じゃ。純妖と成ろうとも、人間のように力を発せる者も数は少ないがおるのじゃ」
研究した事実を述べる。その真実は、まさに來嘛羅の人生の大成でもあるもの。
「確かにいるな。あの『雪女』がそうだったな」
「雪女の伝承を知っているなら分かると思うんじゃが。明確には、雪女を祓う伝承が記されている基文はないのじゃ。どころか、自らが死神のような立ち位置にいる珍しき“自然妖怪”と“人間妖怪”の領域を併せ持っておった。現代にまで純妖に進化しておれば、紛うなき“災禍様”の知名度を高められたであろう。じゃが、400年前にある男によって、この世界で死を遂げた。この意味が解るか?」
解らんと表情を顰める天逆毎。
「何が言いたい?」
「不死鳥が死なぬで、何故、死神が死ぬのか?死を司る妖怪が死を被るとは、可笑しな話しと思わぬか?」
來嘛羅から手が離れる。
怒りは完全に呆れに変わり、もはや相手にしようとしない。
「あの女が愚かにも不意を突かれたに過ぎない結果だ。でなければ、あそこで死ぬ事などなかったに違いない」
自分で矛盾を言っていることに疑問を抱かない。それどころか、矛盾である事すら気付いていない素振りである。
來嘛羅は妖しく笑う。
「真実は奇なりじゃ。じゃからこそ、雪姫へと変えた幸助殿に妾は興が湧いたのじゃ。不死ならば、妖怪を新たな種族へ変えられぬからな。不変は死を拒む逃げ道に過ぎない」
「お前にしては、あの男に拘る理由をまともに言えたものだな」
「転生、これは呪いじゃ。名を持つ限り、その妖怪はこの世界に縛られ、“ある禁忌”を犯せば地獄に魂が囚われる。玉藻前が自ら最都に君臨するにも、そういう呪いを終わらせたい願望があるからじゃろう。日本の世を混乱に貶めようとした九尾狐が、今更何に怒りを抱いておるのか、この妾の『千里眼』ですら心は見通せぬ。…これほど眷属を知るのが怖い己が恐ろしいの」
何処か、同族意識を感じさせ、憐れんでいる眼差しを見せる。
玉藻前の眷属でありながら、彼女の心は何ひとつ得られない。望むべき願望、憎悪を抱く理由、妖都へ来ない訳、すべてが謎なのである。
本来ならば、妖都へ堕ちる『玉藻前』が荒野に放たれてしまったのか?その解明も進めるも、何も手掛かりがない。
何故、最都:新来を築き、現代妖怪らを従え守護者となったのか?
人間への憎悪なのか、妖怪への憎悪なのかすら検討が付かない。
これほど同種族を理解してあげられない自身に、僅かばかり残る感情が表情筋を刺激する。
「あの“三妖魔”の中でも大罪を背負っている狐に同情するか⁉︎別にお前の支配下になれば分かるものだろ?地獄へ招かれる結果は見えている妖怪に同情しても無駄だろ」
『玉藻前』は閻魔大王によって指名手配を受けている。いずれ捕まれば、純妖である彼女も地獄へ招かれる。
妖怪のごく少数の間でしか知られていないが、“三妖魔”全員が妖都に招かれたら、地獄行きが確定している。
それを知る天逆毎は、來嘛羅を煽るように嘲笑する。
しかし、來嘛羅には玉藻前を救いたいという感情があった。それも、來嘛羅の胸中に留めていたものである。
「妾は未来が視えると言ったじゃろ?幸助殿は必ずや果たし、その徼幸をもたらしてくれよう。玉藻前も、幸助殿を欲しておるのは間違いないじゃろう」
自信を誇示する來嘛羅の態度は、心の余裕が生まれ、調子が付く。
「何故、お前はあの男で“三妖魔”を捕えさせる?妖怪でもない人間如きに成せるとは思えんがな」
人間が妖怪に勝てるわけがない。それは明らかに人間を見下している。幸い、寝ている幸名以外はこの場におらず、この発言に否定する者はいない。
來嘛羅の発言は偶然起こる結果ではないにしても、それを否定する。
「人間は可能性の塊じゃ。世の妖を祓ってきたのはすべてが人間の仕業じゃ。本当の意味で、“三妖魔”の魂を救おうと全力を尽くしてくれよう」
「ふん!流石、お前の未来が楽観視し過ぎて恐ろしい」
「なんとでもいうが良い。幸助殿の異能はさぞ欲するに違いない。其方が申したように、妾が喰らえば世界を支配出来る力を有しておるからの」
「やはりか……あの男の異能は支配をもたらす異業種だったか?」
「違うの」
來嘛羅には確信がある。
「じゃあなんだ?」
憶測や仮説などの意見でもない。ましてや、縋る思いで嘘を吐くのでもない。
未来を視たからこその絶対的自信を口にする。
「妖界全土を救済する救世主の大器じゃ!」




