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妖界放浪記  作者: 善童のぶ
古都・妖狐救済編
125/281

124話 領域II

サラッと妖怪大戦争の張本人が明かされました。

時期的には日本は江戸時代で他の国などでは革命や疫病などと重なっています。今後も重要となる妖怪大戦争の詳細を明かしていくつもりです。


この詳しい会話は後に『妖界放浪記・長編』で深掘りしていきます!来年までに投稿できる事を頑張りたいと思っています!

妲己曰く、ここまでの妖怪ならば、まだ抑えられる範囲であり、各都市に住んでいる妖怪はその恐ろしい力を使用させないように、直々に“太古の妖怪”が圧を掛けている。


しかし、ここから先が本当に手の付けられない妖怪となる。


「不運に笑いたいところだが最後まで聞け。その雪女はまだ恐ろしいだけだ。真の強者は“災禍様”だ。貴様もワレという妖怪を相手にして理解出来ないわけがないだろ?」

“災禍様”。ずっと言っていたことだが、超有名な妖怪が属する妖怪を呼称し、短期間及び長年その名を人間界に知らしめた妖怪を言う。

「言われなくても……。妲己がヤバかったからな」

敬うように褒めると、妲己は嬉しそうに口元を緩めた。

「そうだろう!ワレは貴様にそう言われて嬉しく思うぞ‼︎ワレぐらいになれば、今や伝承の影響で不死に近く、神々の域にいると言って過言じゃないのだ!」

人智を超え、数多の伝承を持つ妖怪。不死性に近い能力を持ち、必ず異能を有する。

“災禍様”を制御及び支配するのは不可能。力による支配のみ、彼等は従う。

太古の妖怪と同様に崇められている事が今の世では常識となっている。その為、“災禍様”が妖怪や俺達人間に浸透しているってわけだ。


主に“災禍様”と呼ばれる妖怪は、“三妖魔”に属する『酒呑童子シュテンドウジ』・『大嶽丸オオタケマル』・『玉藻前タマモノマエ』を筆頭に、『八岐大蛇ヤマタノオロチ』・『大天狗ダイテング』・『付喪神ツクモガミ』・『天毎逆アマノザコ』・『妲己ダッキ』・『華陽夫人カヨウフジン』・『褒姒ホウジ』・『夜叉ヤシャ』・『ぬらりひょん』、“四霊神獣”である『応龍オウリュウ』・『鳳凰ホウオウ』・『麒麟キリン』・『霊亀レイキ』がこの領域にいる。

更に、現代妖怪の大半がこの域に数十年経たずで達しており、その脅威は止まる事を知らない。

人間に有効的だと言える妖怪はたかが知れる。気紛れに人間を好み、気紛れに人間や都市を襲う。一番妖怪の要素を持った脅威だと言える。

兎に角、数が多いそうだ。

最も恐ろしい領域レベルで、“妖怪”から“災禍様”に脅威が増した妖怪がいて、『ぬらりひょん』がいる事に驚いた。

そういえばこの妖怪、俺が見ていたアニメでは妖怪大将にされてたしな。分からんでもないな。


“災禍様”は神の一歩手前の存在。そして、今にもその高みへ辿り着きそうな妖怪はいるのである。


「そりゃあ良かったな。でも、その上があるんだろう?」

「クククッ。もっと褒めても良いのだぞ?」


最後に“太古の妖怪”だ。

これはさっき妲己が話してくれた通りで、“災禍様”以下の根源的妖怪に属する神なる者。本来の地位として、彼等が生まれ、その眷属として数多の妖怪が誕生したとのことだ。

紀元前より伝承ある妖怪が属し、その力は神が宿っているとされるらしい。

その中には、かの有名な中国妖怪も多く属していたとの事だ。

“四神”と祀られている『青龍セイリュウ』・『朱雀スダク』・『白虎ビャッコ』・『玄武ゲンブ』がいたのだが、彼等は“妖怪大戦争”の後、生死不明となり、今となっては消息すら掴めない。

他の妖怪も転生をしているが、“太古の妖怪”からの格下げとして“災禍様”、もしくは“妖怪”か“人間妖怪”として生きているという。

“太古の妖怪”は、その姿を拝む事は神秘とも災禍とも言われ、俺が単に幸運に恵まれていたに過ぎないのだ。

恐らく、この旅で出会う事も難しいとされている。


全て揃えると数は多い。

“妖生”・“無妖”・“害妖”・“妖怪”・“人間妖怪”・“自然妖怪”・“怪奇妖怪”・“怨妖”・“厄災”・“災禍様”・“太古の妖怪”と領域レベルがある。

一度死ねば一時的といえども強さは激減し、格が下がると言う。

復活した際の妖力の大量消費による弱体化が主な原因だとされている。しかし、伝承が消えなければ、再度返り咲きは可能である。

これが、本来あるべき強さの均衡であったのだ。


「いやまぁ、それも良いんだが。それより、俺は聞きたいことがあったんだ。平安時代のオン—」

興味津々になり、俺は思わず聞いてはいけない禁忌・・に触れていた。

妲己が血相変え、口元を強引に抑えつけられた。

「馬鹿者!口にするな貴様‼︎その先の言葉を吐くならば喉笛を掻き切ってやろう!今後、同じ事を吐くようならばワレが食らってやる…良いな?」

もはや脅迫だった。

その態度があからさまに異常だと察し、俺は頷くしか出来なかった。

「わ、分かった……口にしねえよ」

「なら良い。貴様の命が危うくなるからな。次はないぞ?」

しかし、これより上位の存在がいるとされている。奇しくも、“災禍様”と同等に肩を並べる領域レベルが。

俺は神かと思ったが、どうやら違うようだ。

聞こうしたが、口にしてはならないと念押しで言われてしまう。それどころか、今後口にするなと言われてしまった。

口から手が離れ、緊張感から解放された。

「ふぅ……。教えてくれてありがとな。妖怪の強さって感じがなんとなく理解出来た…気がするし」

「まあこんなもんだろう。妖怪にはくれぐれも気を付けろ。でなければ、領域レベルを見間違えば一殺されるからな」

お礼を言うと、妲己はまた冗談を……いや、今のは本気で言ったんだろうな。

妖界の禁忌に触れ過ぎると不味いな。これで地獄行きがよく言い渡されないものだ。

そもそも、この世界での罪の捉え方がいまいち認識出来ていない。

そんな事を考えても無駄なのにな。


一旦、領域レベルについて説明を受けたが、“災厄”以上は不用意に近付いてはいけない。

かと思ったのだが、妲己がその事に触れた。

「貴様が会っておるあの女は確かに“太古の妖怪”だが、常に姿を眩ましている。根源自体が公の場に出てみろ、ヤツを殺さんと刺客や他の妖怪が動く」

そんなことはないと思ったが、來嘛羅の行動を考えると妙に納得する。

「來嘛羅を殺すって……そりゃあ物騒で怒りたいな…!」

無性に腹が立つ。

「だろ?貴様のような欲情者はあの女を崇めるが、他の“災禍様”は殺したくて堪らんだろうな」

「はあ?なんでだよ⁉︎」

俺が不満をみせると妲己は面白くない顔で訳を話す。

「九尾という高位種族は妖怪の上級階級に君臨するのだ。その眷属はチヤホヤされ、閻魔のジジィの優先交渉を持つ。大抵の無茶を押し通せる守護者よりも幾分か有権を所有しておる。そんな妖怪が滅んだとなれば…この世はどうなると思う?」

九尾狐キュウビキツネ』がさっきの話だとすれば、相当な領域レベルに君臨する神。その眷属である『妲己ダッキ』や『褒姒ホウジ』が狙われるのは必然なのだろうか。

現に妲己は守護者の地位に居座り、その地位で自由に殺しを嗜んでいた。


それが何かの一変で崩れたとなれば……。


「九尾狐の誰かが死ぬと、妖界が安定しなくなる…ってことだろ?」

間違いなく“妖怪大戦争”に発展した理由がそれなのであると、妲己の今日の話をまとめてみた。


妲己の顔が豹変する。何処を見ているのか分からない怒りを宿した瞳が渦巻く。

「間違いなくな。他の“太古の妖怪”があまりに公然と姿を見せないものだから、古きより崇められる“災禍様”を太古の妖怪と仕立て上げたのだよ。人間だった…あのクソジジィはワレも含めた“災禍様”を太古の妖怪に格上げしてしまった。そして、それを閻魔のクソジジィが承諾したのだ…‼︎」

感情を剥き出し、閻魔大王が起こした醜態に怒りを吐く。

閻魔大王に対する怒りは凄まじく、美の仮面が剥がれたような形相をする妲己。

閻魔大王は本当に身勝手な奴だと思った。

自分が地獄から出ない事をいい事に、勝手な承諾をし、妖界世界を滅茶苦茶にしてやがる。

地獄と言ったら妖怪は一人だからな。地位を奪われない最強の椅子ばしょなんだろ。


あーあ、閻魔大王に失望しちまったぜ。


そう軽く思おうとしたが、事態は俺が思っている以上のものだった。

「不運にも事件は起きてしまった。褒姒と華陽夫人が二人して佐藤貞信に殺されたのだ‼︎伝承が弱い九尾だった当時の二人はほぼ無力な力しか持たず、ワレの留守中に命を奪われた。ちょうど、閻魔大王が承諾してしまったすぐにだ。あの時はワレは全力で隠そうとした。……だが無駄だったのだ」

悲劇は止められなかった。

妲己の行動は意味を成さず、そのまま噂で妖界全土に拡散され、多くの妖怪が動き出した。


それが、“妖怪大戦争”の勃発だった。


それも、西洋妖怪が活発化した300年前のことだった。

「中世を越え、妖怪が安定を図っていた頃、西洋妖怪が始祖を中心とした怪都:天霧を都市としての機能を確立した。千年掛かっての大作に、最初は誰も疑うことなく黙認したが、褒姒と華陽夫人が死んだと知れば堰を切って古都に攻め込んできたのだ。その際、多くの妖怪が消えた」

生まれて間もない怪都かいと:天霧あまぎりに恐ろしい妖怪が集い、西洋妖怪の守護者であった『吸血鬼ヴァンパイア』の始祖が仕掛けてきたらしい。

古都と怪都で勃発し、終息手段として投入した妖都の妖怪達も巻き添えにした。

多くの命が潰し合い、多くの妖怪がその地位から引き摺り下ろされ、今の世は不安定になった。

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