契約者同士の戦い
「うーん」
皆に任せきりもなんなので、前に出てきてはみたが。
「やることないねー」
皆俺の命令を受けて、喜んで戦いに参加している。
戦況は一方的な蹂躙であり、こちらの犠牲者はゼロで、敵兵のみガンガン削られていく。
このままいけば、数はすぐにでも逆転し、俺たちは勝利するだろう。
引っ込むか・・・。
彼らが俺の望みを叶える為に戦ってくれている。
戦力は十分だ。
戻ろう。
そう思った時。
「き、貴様ー! 貴様が契約者だな!」
俺を呼び止める声が聞こえ、振り返ってみるとローブを着た男がいた。
俺が皆の主だと分かるのか?
「そうだ。あんたは誰だ?」
名のある人物と見たがどうだろうか?
「ふっ、私はサウンドマスター! 千のモンスターを操る契約者だ!」
千?
ドヤ顔だが、それは凄いことなのか?
ああ、いや凄いか。
時間が千年あるわけじゃないんだものな。
「それは凄い。大したものだ」
惜しみない称賛を浴びせる。
だが、相手は気に入らない様子で、
「ふ、ふざ、ふざけるなーー!!」
「え?」
なんだ?
なんで怒る?
「一万ものモンスターを使役するだと! 一体どんな手品を使ったーー!!」
チート使ってるからなー。
言うわけには。
「秘密だ」
「ぬっく・・・貴様のせいで私のプライドはズタズタだ! こうなれば貴様を殺して再び最強の契約者に戻るまで」
そうだったか。
なんだか申し訳ない。
だが、帝国に与している以上は俺の敵だ。
「契約者だというならモンスターを出すんだな? さあ、戦おうか!」
モンスターと複数匹戦うのは白い空間以来。
千匹は少し物足りないが、久しぶりの戦いだ。楽しもう。
「ふははは。吠え面かくなよ! いでよ、我がモンスターたちよー!」
空間が歪み出現するモンスターたち。
出てくる出てくる。
出てくるのをただ眺める。
よく考えたら、この間にこの人を倒したら終わりじゃね?
まあ、俺はやらないが、普通ならそうするんじゃないの?
この人、興奮して前に出てきたみたいだけど、後ろにいたほうが良かったんじゃないかな?
そんなことを考えていると、そろそろ揃ったようだ。
「ははは、我が千のモンスターよ。奴を殺せ!」
さあ、戦闘開始だ。
多くのモンスターが俺目掛けて波濤となって押し寄せてくる。
いつもの様に俺は真っ向から受けて立つ。
「剣神雷鳴流。雷光」
雷を帯びた俺は稲妻となって駆ける。
一閃。
ジグザグに走り、モンスターを跳ね飛ばす。
一閃、もう一閃。
その度にモンスターは何も出来ずに斬り伏せられていく。
くそ、弱いぞこいつら。
そうか、白い空間のモンスターは老師によって魔改造されていた強化個体だった。
普通のモンスターだとこんなものなのか。
これでは歯応えがない。
「はああああああーーー!!」
指先を頭上に掲げて、魔力を練る。
打ち出された落雷が、辺り一帯のモンスターを黒焦げにした。
「な、な、なぁ!? 一瞬で、数百匹以上のモンスターが!」
「脆すぎるぞ! もっと歯応えのある奴はいないのか!?」
「お、己! ふざけおって! 行け、我が最強のドラゴンよお! 奴を殺せ」
「ガアアアアアアアア!!」
おっ、ドラゴンか。
ドラゴンはブレスを吐き出すと俺を炎に包む。
サウザンドマスターは破顔した。
「きっゃはははは! やった! やったぞ!」
ドラゴンのブレスが終わり、そこにいたのは、水の結界に護られた俺。
服に焦げ目すらついていない。
「な、くそお! 契約者で、剣士で、魔法まで使うだと! なんなんだお前は!」
なんなんだと言われても困るな。
さて、このドラゴンだ。
俺は高くジャンプすると、ドラゴンの頭上にまで飛び上がり、上段から剣を振り下ろした。
斬!!
一刀の元にドラゴンを斬り伏せ、ドラゴンの血がついた刀を払う。
あれ? これで終わり?
ドラコと戦った時はそりゃーもう、熱いバトルだったんだけどな。
「なっ、そんな、馬鹿な! 我が切り札のドラゴンまでこんなあっさりと!?」
え? 切り札?
これがこいつの呼び出せる最強のモンスター?
嘘だろ?
じゃあ後は消化試合じゃないか。
がっかりだ。
「どうする? まだやる?」
「こ、ここまで私をコケにしてくれるとはなぁ〜。殺せ、殺せ!! 我らの誇りにかけてこいつを殺せー!!」
「仕方ない。やるか」
モンスター軍を壊滅させるまでさして時間はかからなかった。
うーん。弱い。
「そ、そんな。私の軍隊が、たった一人にぃー!」
「終わりだ」
こいつ、モンスターを呼び出す以外何も出来ないのか?
なら、もう脅威ではなくなったから捨てておいてもいいけど。
「く、くそー!」
サウンドマスターは走りだした。
いや、逃げ出した。
まあいい。
放っておいてもいいだろう。
さて、戦況はどうかな?
俺は辺りを見渡す。
数が多いからまだ戦ってるけど、戦意を無くした兵もパラパラ見られるね。
勝敗は決したかな。




