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十五万の人間対一万のモンスター

 ありえない。

 ありえる訳がない。

 これだけの数のモンスターを一人で契約する人間がいるなど、到底納得出来ない。


 サウンドマスターは五十中ば程の年齢だ。

 生涯をモンスターとの契約に捧げてきた。

 才能にも恵まれた。

 それでようやく千匹のモンスターと契約出来たのだ。


 一万匹だと?

 一体どれだけの年月をかければそれだけのモンスターと契約出来るのだ?

 百年? 二百年?

 相手はエルフか何か長寿の種族なのか?


「クソーーーーー!!」


 こんな、こんな筈があるか!


「私はサウンドマスターだ。最強の契約者(コントラクター)なんだぞ! こんな何処の馬の骨とも分からん奴に負けてたまるかー!!」


 ニィっとサウンドマスターの顔が歪む。


「モンスターは質だ。どうせ雑魚モンスターばかりなのだろう!? 大したことはない!!」






 ゴブリンが帝国兵の前で剣を構えた。

 最初は動揺していた帝国兵もゴブリンを見て落ち着いた。


「はっ、なんだ。ゴブリンかよ」


「よく見りゃ、結構ゴブリンで構成されてね? これならなんとかなるんじゃ」


 ゴブリンは最弱モンスター。

 子供でも勝てる相手だ。

 つまり、楽勝だ。


「はは、そらよ!」


 兵が剣を振るう。

 簡単に斬り捨てられる。

 そう、思っていた。


 ガキン、とゴブリンが剣で受け止めるまでは。


「え?」


 ゴブリンは剣で受け止めると、受け流し、斬り返して来たではないか!


「ぐぎゃーーー! そ、そんな、なんでゴブリンがこんな」


「おい、何やってる! こんなゴブリン程度!」


 別の兵が剣を振るうと、ゴブリンはこれを華麗なステップでひらりと躱し、上段から兵士をたたっ斬った。


「な、なんだこいつ。ただのゴブリンじゃないのか!?」


「変異種か?」


「いや、どう見てもただのゴブリンだろ!」


 兵たちは混乱して、一匹のゴブリンを囲もうとした。

 しかし、


「グギギー!!」


「はっ、べ、別の個体っ」


そう。ゴブリンは一匹だけではない。

 何匹も何百匹もいるのだ。

 一匹を相手にしてはいられない。


「こ、これ。皆こいつみたいに強いのか?」


 兵たちは絶望感に包まれた。





 一人の若い女性がナタを振るっている。

 襲いかかる何人もの兵を容赦なく斬って捨てる。


「ふん。大したことないね」


 彼女はレイサー。

 ゴブリンだ。

 どう見ても人間と変わらない女性だが、彼女はゴブリンクイーン。

 変異種である。


「ああ、全くだ」


 大きなオーガがバトルアックスで兵を薙ぎ払う。

 まるで、軽い発泡スチロールの様に軽々と人間が吹き飛んでいく。


 彼の名はガッド。

 こちらは見た目通りのオーガだが、彼も知性ある変異種である。


「やっぱりセイマの旦那が強すぎるんだよなー。あの人マジで人間なのかな?」


「セイマ様」


「あ?」


「セイマ様って呼ばないと駄目でしょ。不敬よ」


「いいんだよ。旦那から許しはもらってるんだから。大体お前らはあの人の気持ちが分かってない。あの人は対等の仲間として俺らを見てるんだぜ」


「あの方を敬う気持ちを忘れるなってことよ」


「無論。忘れてねーさ。さあ、敵さんはまだまだ来るぜぃ。数だけはいるみたいだからな」


「ふん。雑魚ばっかり」





「グアハハハ! リルよ。どちらが多くこの人間共を屠れるか、一つ競争といこうではないか」


 巨大なドラゴンが声を張り上げる。

 彼もまた知性ある、上位種である。


「ドラコ。主はそんな競争のようなことは望んでいないぞ」


 狼サイズから元の巨大なフェンリルに戻ったリルは、ドラゴンのドラコを嗜める。


「セイマ様はそんなことで気分を害したりはしないだろう。一つやってみないか?」


「お前が競争したいなら一人でやれ。我の分は勝手に数えろ」


「ガハハハ! そうか。ならば、そう、しようかぁ!!」


 ドラコの吐き出すブレスが多くの兵を丸呑みにする。


「アオーーン!」


 リルが生み出した凍てつく冷気が兵を凍りつかせた。


「弱い。まったく話にならんぞ」


 ドラコはつまらなそうに呟くのだった。







「あっははは。つまりませんね。この程度ですか?」


 セルビーが魔力球を放つ。

 何人もの兵が撃ち抜かれる。

 魔族のセルビーは魔力操作が得意で、魔法ではなく魔力そのものを打ち出すことが出来るのだ。


「な、なんだ、あいつ!」


「魔族だ!」


「な、なんで魔族がこんかところにぃー!?」


「ふっ、他愛もない。これではセイマ様の貢献になりませんよ」


 セルビーはつまらなそうに兵を駆逐していった。




「な、何をやっておるのだ。うちの兵たちは!? 相手は一万。こっちはその十五倍いるのだぞ! 何を狼狽えているか!」


 サウザーは歯軋りをして怒鳴りちらすと、兵が慌てて駆け寄ってきた。


「あ、あのも、モンスターは異常に強いです。ゴブリンでさえも五人係で相手をしなければならない始末で、しかも、上位個体が数多くいる様です」


「く、くそーー!!」


 サウザーは地団駄を踏んだ。


「サウンドマスター。どうにかならんのか!」


「手は、あります」


「おお、して、どの様な?」


「契約者を叩きましょう。そうすれば、このモンスターは消える筈」


「おお、そうなのか! ならば契約者を殺せ!」


「私がやりましょう。この、私の可愛いモンスターがね」


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