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仲間モンスター

 俺の前に並ぶモンスターたち。

 その数、ざっと一万強。

 全て俺が白い空間で仲間にしたモンスターたちだ。

 何百年もかけて少しづつ仲間にした。


 皆揃うと中々圧巻だな。

 その中の一人が俺の前に来る。


「セイマ様。お声がけ下さり、恐悦至極に御座います」


「あはは、セルビー。久しぶりだね」


 こいつの名前はセルビー。

 モンスターって言うか、魔族という種族だ。

 頭にヤギのような二本の角が生えており、執事服を着ているイケメンだ。


「ああ、セイマ様に呼び出されて、夢のようです!」


「・・・大袈裟な奴だな」


 こいつだけではなく、俺の仲間になったモンスターたちは俺をなんというか、敬い過ぎなんだよ。

 もっとフレンドリーに接して欲しい。


「セイマ様。本日はどの様な?」


「ああ、皆。あっちを見て欲しい」


 俺は帝国軍を指し示す。


「帝国軍十五万。なんの罪もない平民すら虐殺する情け容赦ない奴らだ」


 俺は皆の顔を見渡す。


「数の上では劣るが、俺は全く心配していない。遠慮はいらない。蹂躙しろ!」


「「「オオオオオオオオオオオオ!!」」」


 モンスターたちが雄叫びを上げる。

 迫力あるな。


「行け!!」


 俺の掛け声で皆動きだした。

 悪いな帝国軍。

 殺戮の時間だ。


「あ、あんたは一体、何者なんだい?」


 カルラがそんな質問をしてきた。


「何者って言われても困るな。肩書きがあるとしたらD級冒険者としか言えないけど」


 神様に鍛えられたとは言えないよね。







 帝国軍軍用テント内。

 今回の作戦総指揮官に任命されたサウザー将軍は面白くなさそうな顔をしていた。


「まーだ砦は落とせんのか?」


 ここまでは順調にきたのだが、ここにきて大きく足止めされている。

 苛立ちが募る。


「はっ! どうもS級冒険者が二名いるようで、そいつらのせいでままならぬと・・・」


「くっ! S級冒険者か。忌々しい」


 サウザーは口に咥えていた葉巻を灰皿に押し付けた。

 速攻で攻め込み、王国の兵力が整わぬ内に一気に王都に進軍する予定だったのに、思わぬ足止めだ。

 このままでは敵の兵が揃ってしまう。

 急がねばならない。


「私のモンスターを動かしましょうか? くっくっく」


 サウザーの隣でほくそ笑んでいる男こそ、サウザンドマスター。

 皇帝直々の指名を受けた今作戦の虎の子である。


「そうだな。切り札にとっておきたかったが、ここで足止めされてもつまらん。考えておくか」


「ふふ、いつでもお声がけ下さい」


 まあ、勝ちは見えている。

 なんといっても数が違う。

 S級冒険者がどれだけ強かろうと所詮は人間。

 動き続けることは出来ない。


 こっちは交代で休憩を取りながら攻め続けることが出来るのだ。

 勝負は見えている。


「くくく、楽な仕事だ」


 これで国王の首を取り凱旋すれば、地位も名誉も思いのまま。

 華々しい未来が待っている。

 この時までサウザーはそれを疑っていなかった。


「ほ、報告ーー!! た、大変です将軍!!」


「なんだ? 騒々しいぞ」


 サウザーは虫を追い払うような仕草をし、兵を鬱陶しげに見つめた。


「も、モンスターが現れました!」


「モンスターだと?」


 野良モンスターでも出たか。

 これだけ人間が密集しているのに現れるとは珍しいが。


「ふん。何人か集めて討伐しろ」


 どうでもよさそうにサウザーは言い放つ。

 しかし、兵は震える唇を動かす。


「いえ、ち、違うのです。王国側に突然モンスターが出現したのです!!」


「何?」


 どういうことだ?

 流石に怪訝な表情を浮かべるサウザー。


「ほう? それはあちら側にも契約者(コントラクター)がいるということか?」


 サウンドマスターが面白そうに言った。


「お、おそらくは! 奴ら砦の前に集結し、砦を襲う素振りは見られません」


「ふっ、面白い。この私にモンスターをぶつけてくるとは。で、相手の数は何匹ですか? 十ですか? 二十ですか?」


 契約には才覚などが非常に重要。

 並の人間ならば、一匹、二匹契約するだけでも大変だ。

 こんな戦争に駆り出されるのだから、そこそこはやるのだろう。

 まあ、それでも三十はいかないだろうが。


「き、九千・・・いえ、一万を超える軍勢です!」


「・・・・・・・・・は?」


 思わず間の抜けた声を上げてしまった。

 今こいつなんと言った?


「馬鹿な。一万を超えるだと!? そんなことがある筈がない!」


「ほ、本当です。テントから出て見てもらえれば分かります」


 兵はテントの入り口を指さして騒ぐ。

 冗談ではない。

 そんなことがあるわけが!

 サウザーとサウンドマスターは焦りながら外に出た。

 そこには、


「な、なんだあれは!!」


 いる。

 本当に(おびただ)しい数のモンスターだ。

 あれと全て契約しているのか!


「馬鹿な! 王国は一体何人の契約者(コントラクター)を連れてきている!?」


 自分より優れた人間がいるなどあり得ない。

 ならば、数を揃えたのだ。

 よく考えればそれが現実的ではないことは分かっている。

 そんな数の契約者(コントラクター)を揃えるなら兵士を組み入れた方がいい。


 その時、気がついた。

 モンスターたちから光る線のようなものが見えるのを。

 これは、稀に見られる現象だ。

 契約者とモンスターの繋がりがとても強かった場合、霊視が得意な人間ならば、その線が見えるのだ。

 その線は全て一つに集約されている。

 その事実が指すものとは。


「ま、さか。一人なのか? これ程のモンスターをたった一人で契約している者がいるというのか?」


 その事実に、サウンドマスターは愕然とした。



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