王の依頼
今日の昼はラーメンだ。
俺は作ったラーメンをテーブルに並べる。
「今日はラーメン!?」
「でも、前の時とちがーう」
「白ーい」
「濁ってる?」
ふっふっふ。
そう、前の醤油ラーメンとは違うのだよ。
「今回のは味噌ラーメンだ!」
市で手に入れた味噌を使った味噌ラーメン。
試食してみたら十分美味しかった。
これなら使える。
十分な出汁を取ったスープに味噌を加えた味噌ラーメン。
具材はもやしとチャーシューとバターだ。
堪能して欲しい。
「では、お祈りしましょう」
お祈りをして、実食。
皆ラーメンに手をつけた。
使っている食器は全員箸。
皆上手くなったもんだ。
「なんか麺がちがーう」
「ちぢれてない」
「ふとーい」
そう! 醤油ラーメンでは麺がスープによく絡むようにちぢれた細麺だったが、濃厚な味噌ラーメンでは必要以上に麺がスープに絡まないように、太麺のストレート麺にしているのだ。
麺をすする子供たち、さあ、どうだ?
「旨い!」
「美味しい!」
っしぃ!
俺はテーブルの下で拳を握った。
さて、子供たちも満足してくれたようだし、俺も自分の作るか。
そう思って台所に戻ったところで、知っている気配が現れた。
これは・・・。
孤児院からそっと抜け出して、記憶にある気配を辿る。
程なくしてその人物と遭遇した。
「ライアスさん」
「やあ、セイマ君」
知っている気配の正体はライアスさんだった。
なんか憔悴している。
やはり、剣が折れたことが原因か?
やり過ぎたかな?
俺の氣を纏った肉体が果たしてスキルに通用するのか試したかったのと、俺に喧嘩売ると怖いぞという牽制をかねての行動だったが。
やはり、奴隷絡みで来たのだろうか?
また、再戦か?
決着は既についているし、再戦するにはまだ早いと思うのだが。
「ああ、勘違いしないでほしいのだが、戦いにきたんじゃないよ」
そうなのか。
では、何しに?
「陛下の使いでね。君を連れてくるように頼まれたんだ」
王様の使い?
あの人が俺に用があると?
あ、もしかして、俺の活動が実ったのか?
奴隷制度を廃止にしてくれるのか?
「多分、君の思っていることじゃないよ」
なんだ、違うのか。
「だが、君に無関係じゃない。君のいる孤児院にもね」
孤児院に関係がある?
それは聞き捨てならない。
「頼む。陛下の頼みを聞いてくれ。この国の平和の為に」
この国の為。
なるほど、話が見えてきたな。
「分かりました。行きましょう」
俺の通された謁見の間には多くの人で溢れていた。
物々しい雰囲気で全員俺を見ている。
皆思い詰めた顔をしているな。
まあ、戦争の真っ最中だから、無理もないけど。
王様は玉座に座り、俺はその前に立つ。
膝はつかないぞ。
今、喧嘩中だから。
何人かは不満がありそうな顔をしていたけど、何かを言ってくることはない。
俺の機嫌を損ねないようにしているのだろう。
「よく来てくれたセイマ。早速だが、話を聞いて欲しい」
うん。
前置きはいらない。
「察するに、戦争の話ですか?」
「話が早くて助かるな。そうだ。我が国は窮地に立たされている」
王様がいうには相手の数が圧倒的で動きも早く、こちらの兵が集まるまで時間が足りない。
集まっても数で負けている。
敗色濃厚とのことだった。
かなり切羽詰まった状況だな。
周りのお偉いさんが俺を見ても何も言わないわけだ。
もう藁にも縋りたい気持ちなんだろう。
「そこで、セイマよ。この国の未来の為、戦場に赴き、敵兵を排除して欲しい」
・・・このまま敵が王都まで迫ってきたら、孤児院の子供たちも巻き込まれる。
それは断じて看過出来ない。
だから、王様の願いを聞き届けるのはやぶさかではない。
まあ、それはそれとして、ここはこっちの条件を突きつけさせて貰おう。
「代わりにお願いがあります」
「奴隷制度だな。お前が見事帝国軍を打ち倒したならば、願いを聞き入れよう」
よし、やった!
これで奴隷制度は廃止させる。
周りは苦々しい顔をしている人はいるが、文句は出ない。
そこまで追い詰められているということか。
まあ、国が無くなったら奴隷も何もないしな。
「それと、奴隷制度がなくなれば、路頭に迷う孤児は沢山いると思います。孤児院をもっと増やして下さい。あと支援金も増やして下さい。孤児院は常にギリギリで運営されています」
「分かった」
「それと」
「まだあるのか?」
「はい。大人の奴隷も職を失います。彼らに職を斡旋してあげて下さい。職業訓練校なんかを作るのもいいかも知れません」
王様は面白そうな顔をして、顎髭をいじる。
「職業訓練校。面白いな。ふむ、宰相。企画案を立てろ」
「はっ」
「それらを叶えてくれるなら、俺が必ず帝国を倒します」
どおおぉと、周りの貴族たちが沸いた。
彼らは待っていたのだ、その言葉を。
「あ、一応書面にして下さい」
念には念だ。
「今更お前を謀る気など微塵もないがよかろう。しっかりと書面にして残そう」
この後、しっかりと書面にしたためられ、二つの書面の片方を貰った。
「それじゃあ、早速行ってきます」
さっき地図で場所と確認した。
俺ならすぐだ。
俺は風魔法を使って宙に舞う。
どうぅと、周りが驚く。
「それは、どういう原理で飛んでいるのだ?」
王様が訪ねてきて俺は首を傾げた。
うん? 皆飛べない?
「風魔法を使って飛んでいます」
「そんな風魔法聞いたことがない」
「宮廷魔導士はなにをしていたのだ」
「あの技術、欲しい」
なんか周りが騒いでいる。
やっぱり飛ぶ方法はないっぽいね。
「じゃあ、行ってきます!」
「うむ。よろしく頼んだぞ」
俺は空を飛び、音速で飛行を開始した。
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