化け物
二人のS級は目配りをした。
「どっちからやる?」
「譲るわ」
どうやらどっちが先にセイマと戦うか決めている様だった。
セイマは不満気に唇を尖らせる。
「二人同時じゃないのか?」
それを聞いて二人のS級は笑った。
「慌てるな。まずはお前の力を試してからだ」
そう言ってゴラムは笑う。
この時まだ二人は思っていた。
自分たちは試す側の人間だと。
ゴラムは巨大な戦斧を肩にかけ、堂々とセイマの近くまでやってくる。
「じゃあいくぞ。簡単に死ぬなよ?」
「期待には応えるさ」
ゴラムは巨大な戦斧を片手で軽々と持ち上げると、勢いよく振り下ろした。
セイマは刀を抜き、それを片手で受け止める。
ガキン!! という金属の衝突音が木霊した。
ゴラムは目を見開く。
「はっ! これを片手で受け止めるかよ!」
「・・・」
セイマは無言。
ただゴラムを見つめている。
「なら、こいつはどうだ!!」
ゴラムは両手で戦斧を握る。
メキリと筋肉が膨張した。
その強大な一撃をセイマに叩き込む!
ガキーーーーーン!!!! 先ほどよりも遥かに激しい音が鳴り響いた。
が、結果は先程と変わらなかった。
ゴラムの一撃をセイマは受け止めていた。
片手で。
「むう!?」
今度こそ、ゴラムは驚愕する。
馬鹿な!
両手を使った全力の一撃をこんな細腕一本で受け止めるなどあり得ない。
先程までの余裕は無くなっていた。
「うおおおおおおおおーー!!」
それからゴラムはがむしゃらに戦斧を振るった。
縦だけでなく右、左、下からも。
あらゆる角度からセイマを攻撃した。
しかし、セイマは揺らがない。
微動だにしない。
如何なる角度からくる攻撃も的確に受け止めている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
しばらくして無酸素運動を繰り返していたゴラムは息が上がり手を止めていた。
気がつくとカルラが側にいて、肩に手を置いている。
「代わるよ」
「・・・おう」
今度はカルラの番らしく、腰に差した小刀を抜く。
「一緒にかかってきたらどうだ?」
「力があるのは認める。だけど、この速さについて来れるかい!?」
次の瞬間カルラがかき消えた。
そして、セイマの目の前に迫り、小刀を振るう。
一瞬の交差。
カルラは振り返ると、そこには刀を構えたセイマがいた。
「防いだか」
カルラの高速の一撃をセイマは見事に防ぎきった。
見事な動体視力と動きである。
「だが、これからだ。まだまだいくよ!」
再びカルラがかき消えた。
高速で移動しつつ、すれ違いざまに小刀を振るう。
キイン、キインと、金属音だけが響く。
金属音が響くということは、セイマの刀とカルラの小刀がぶつかっているということだ。
カルラの攻撃を全てセイマは防いでいる。
その事実にカルラは目を見張る。
「なら、もっとスピードを上げるよ!!」
カルラは更に速度を上げる。
ゴラムには本当に姿が追えなくなってきた。
それ程の速度だった。
カルラは油断しない。
このセイマという男は尋常じゃない。
後ろから斬りつけさせてもらう。
カルラはセイマの後ろに回り込み、斬りつけようとした時。
(とった!)
ぐるりと、セイマの首が動き、確かにカルラを捉えた。
「ーーっつ!?」
カルラは思わず急停止した。
見えていた?
あの速度についてきた?
そんな馬鹿な!?
頬に伝う汗を拭い、カルラは息を吐いた。
「お、おい。カルラ?」
今の一瞬の攻防が見えていなかったゴラムは心配になってカルラに声をかけた。
「二人でいくよ」
「お、おう」
「こいつは化け物だ。全力でいきな!」
カルラが突進する。
ゴラムも合わせて突進してきた。
同時攻撃。
セイマは宙を舞い、空に逃げると、風の刃を下に振るう。
二人は慌てて、横に飛んだ。
セイマが着地すると同時にゴラムがジャンプしていた。
大柄な体格の重量を合わせた一撃をセイマにぶつける。
「スキル剛力発動! 喰らえ、岩砕崩断!!」
ゴラムのスキルを込めた一撃がセイマにぶつかる。
セイマは目を見開いて両手で受け止めた。
衝突時、地面が陥没し、巨大なクレーターが出来上がった。
それほどの威力。
「素晴らしい」
「う、受け止めたっていうのか! 俺の必殺技を!?」
ドラゴンですら両断する一撃だった。
それを生身の人間が受け止めた。
信じられない。
すると、今度はセイマが力を込めてきた。
斧は押され、徐々にゴラムが後退する。
「お、お、おぉ!?」
セイマは上から力を込め始める。
それに押されて、ゴラムは沈む。
とうとう片膝をついて耐えるだけとなった。
「こ、この俺が力で負けるだと!?」
屈辱で顔が歪む。
その時、カルラが助け舟を出してくれた。
「これを喰らいな!」
星評価、ブックマーク登録よろしくお願いします。




