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ダンジョン

「ようやったの。どんな強者であっても、毒には勝てぬ。万の軍隊よりも一滴の毒の方が強力な場面はある。だが、君にそれはもう効かないということじゃな」


「ですが、老子。俺は老子に与えられた毒は食べられるようになりましてけど、それ以外の毒には耐性がないのでは?」


 これから行く異世界にはまだ見ぬ未知の毒があるかもしれない。


「大丈夫じゃよ。君の身体は既に、「毒」というよりも身体に害を及ぼすあらゆる状態異常を受け付けぬ。そういうふうに身体が出来上がってしまっているんじゃ。じゃから、毒は言うに及ばず、君には魔法などの状態異常全てが既に通じんよ」


 なんと!

 それはありがたい。

 どんなに強くてもそれでコロッと殺される可能性があるからな。

 それがなくなっただけでもこの苦行に耐えた成果はあるというものだ。


「では、そろそろサバイバル生活も慣れてきただろう。次は、ダンジョン探索の修業を始めるぞ」


「お、ダンジョンですか?」


 異世界と言えばやはりダンジョンは外せないだろう。

 俺のテンションがちょっと上がった。


 老子は手を叩くと、激しい地鳴りが響き、次に巨大な洞窟がその姿を現した。

 相変わらずとんでもない力だ。


「古典的な洞窟型のダンジョンじゃ。君にはここに潜ってもらう」


「分かりました」


「当然、中にはモンスターは要るし罠もあるからの。君はそれを倒し、躱し、最深部へと向かうんじゃ」


「はい」


 俺は刀を持つと、恐る恐るダンジョン探索を開始した。


 ダンジョンは薄暗くジメジメとしていて、いかにもダンジョンと言った感じだったが、俺は心を落ち着かせて奥へと進んだ。

 途中いくつもの罠があり、俺はそのいくつかに引っ掛かり、死ぬ思いをした。

 落とし穴からの下には槍。

 突然落ちてくる鉄球。

 転がって来る巨大な岩など、古典的であるが狭い空間での危険な罠が随所に散りばめられていた。

 足元や壁などに細心の注意を割いて進んではいるものの、そこはど素人。

 そう上手くはいかずに罠にかかってしまったが、後半は少し要領を得てきた。

 勿論、これくらいでは完ぺきとは言えないが、これからいくつものダンジョンに乗り込めば、その辺りも分かってくるだろう。


 更に奥に進むことしばし。

 何かがうごめく気配を察知した。


「ゴブリンか」


 ダンジョンと言えばやはりゴブリンが代表格。

 見た限り十体はいるな。

 しかし、慌てることはない。

 俺は既に修行でもう何千というゴブリンを倒している。

 今更たかが十体程度のゴブリンで臆するものではない。


 俺は壁に隠れて身を潜ませると、じっくりと音を立てずに近づき、ある程度距離が縮まったところで飛び出した。


「ギギ!?」


「まずは一体!」


 俺は飛び出して一体を斬りつけると返す刀で二体目を斬る。


 そのまま、三、四、五と斬ったところでようやくゴブリンも何が起こったのか分かったようで、こん棒を持って俺に襲い掛かって来た。


「遅いよ!」


 六、七、八。


 瞬時に斬って後二体。


 怯えるゴブリン目掛けて刀を振り下ろそうとした時。


 ガチンと、

 刀が壁にぶつかった。


「なっ!?」


 不味い。

 ゴブリンは俺の動きが止まった事で、好機と見たか、ニヤリと笑ってこん棒を振り回す。


「まだだ!」


 俺は左手を突き出すと、雷魔法を放ち、ゴブリンを焦がす。

 勝ち目がないと悟ったか、最後の一体は一目散に逃げだしたが、俺はそれを逃がさずに雷魔法をもう一撃放って仕留めた。


「ふぅ」


 俺は壁に刺さってしまった刀を取り出してゆっくりと鞘に納める。


「狭いから刀を振る時は気をつけないとな」


 もうこん棒程度で殴られても俺の身体には傷一つつかないだろうが、それでもゴブリン相手に決定的な隙を見せてしまったことが悔やまれる。

 狭く、複数相手だと、纏めて相手をしなくてもすむ利点もあるが、はやり広い場所と勝手が違う。

 気をつけなければ。


「異世界に行ったらこんなダンジョンに潜ることもあるだろうからな」


 俺は気を取り直してダンジョン探索を再開した。


 あれから、いくつかの罠やモンスターと戦いながらダンジョンの勝手に戸惑いつつも前に進んでいった。

 そして、これ見よがしな巨大な扉を見つけた。


「うわ。ボス部屋って感じだな」


 いかにもな扉を前に俺はブルリと武者震いを起こした。

 この奥にはきっとボスがいるに違いない。

 これまでの敵とは一線を画す相手だろう。

 ゆっくりと扉を開いて中に入ると、何かがいた。

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