指名手配
ワルアークからセリーとナーサを助け出した俺はそのまま孤児院へと向かった。
そこで待っていたステラは二人を諸手を挙げて迎え入れた。
「セイマ。よくやってくれたわ! 二人とも辛かったでしょう。もう安心よ」
「姫様。リッドの娘セリーです」
「クジューの娘ナーサです」
「よろしく二人とも」
「セイマ殿感謝します」
ステラもリーゼも喜んでくれたな。
よかった。
さて、エルフ同士で話もあるだろう。
俺は席を外そう。
「ワルアーク公爵邸が襲われたと報告が入りました」
「・・・そうか」
とうとうやった!
必ずやるとわかっていたが、遂にやった。
国王は目尻に指を当て、渋面を作る。
しかし、よりにもよって公爵を狙うとは。
ワルアークは悪評も高く、いずれは粛清しなければならないと思ってはいた。
中々証拠が揃わず難儀していたが、こんなことになるならもっと早く手を打つべきであった。
「犯人はやはり」
「セイマであろうな」
ニルデラートファミリーを壊滅させたとの報告は受けている。
悪人を叩く分には黙認していたが、今回手を出したのは貴族、しかも公爵。
何もしないわけにはいかない。
いかないのだが・・・。
「憲兵を出動させます。ワルアーク卿も私兵を出すとのことでございます」
「そう、か」
それであの男がどうなるとも思えないが。
(悩みが尽きんな)
アルバレスは、首を振った。
セリーとナーサ、エルフの二人はしばらく孤児院で子供たちの世話をすることになった。
子供たちも増えてきたし丁度いい。
ただ、俺たちもずっとここにいるわけではない。
エルフの里に行く際にはこの二人も連れていくだろうし。
「主」
「どうした?」
ニンデストが近くまでやって来た。
孤児院の皆には姿を見せない様に伝えていた筈だが、余程のことが起こったか。
「憲兵がこちらにやって来ています」
「憲兵?」
ワルアークの件か。
俺が犯人であると目星を付けたわけだな。
とはいえ孤児院で暴れるわけにはいかない。
「わかった。移動しよう。お前はここの警護を頼む」
「御意」
さて、憲兵との戦いか。
俺もいよいよ犯罪者の仲間入りだな。
覚悟を決めていこうか。
「貴様がセイマだな!?」
憲兵の気配を察知し、見つかりやすく、且つ広い場所で姿を見せた。
ここでなら存分に戦うことが出来るだろう。
さて、数はざっと三十くらいか。
少ないが、憲兵なのだから鍛えているだろう。
悪くない。
「貴様がワルアーク公爵を襲撃したのだと分かっている。大人しく捕縛されろ!!」
ふむ。
あそこで口上を述べているのが隊長かな?
「ワルアークを襲ったのは俺です。ですが、捕まる気はありません」
「な、なんだとお!?」
どぉっ、と憲兵たちがざわめきだした。
「なんという奴! 抵抗するというなら力づくで捕縛する!」
「どうぞ。お相手します!」
「な、舐めおって! 全員抜剣せよ!!」
憲兵全員が剣を抜き、戦闘態勢に入った。
お、いよいよか。
「かかれぇ!」
わぁっと一斉に憲兵が襲いかかって来た。
俺は刀を抜き、何人かを峰打ちにする。
何も悪くない憲兵の人をまさか斬るわけにもいくまい。
隊長は驚いて目を剥いた。
「な、なんだと!? くっ、囲め! 後ろからもかかれ!」
憲兵たちは前後左右から攻撃を仕掛けて来た。
まあ、予想通り。
こんなのはマフィアもやってきた。
「剣神雷鳴流烈波」
俺は技を使い、周囲全てを薙ぎ払う。
何人もの憲兵が宙に舞う。
「なっ、馬鹿なぁ!」
隊長が戦き、二の足を踏む。
その間にも俺は次々に憲兵を倒していく。
まあ、チンピラよりはマシかな。こんなものか。
遂に最後の一人を倒し、後は隊長一人となった。
「ぐぬぬぬ。おのれぇ!」
「さあ、最後は貴方一人です。かかってきてください!」
「ふ、ふざけるな! これは稽古などではないぞ!」
隊長は激昂し、剣を振り上げ叩きつけてきた。
「ふむ。ライアスさん程ではないが、中々の打ち込み。ではこちらも」
隊長の剣を弾き、腹に峰打ちを叩き込む。
「ぼふぅ!」
まだ消化不足だが、こんなものか。
「くっ、こ、今度こそは・・・」
「なら、またお手合わせしましょう。では」
そう言って俺はその場を後にした。
これから憲兵は益々俺を捕まえにくるだろう。
どうせならもっともっと来て欲しい。
こいつには敵わない。
もう捕まえに来ても意味がないって思えるくらいに。
「質はイマイチだったから、せめて数は揃えて欲しいよね」
白い空間では一日数万と戦っていたからね。
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