ワルアーク公爵
「な、なんだぁ貴様は! こ、ここを何処だと思っている!!」
申し訳なさそうに股間を隠し、ワルアークは吠える。
俺は、ワルアーク、二人のエルフを見つめると眉間に皺を寄せた。
「一応確認するけど、そういうプレイってわけじゃないよな? 三人は同意の上でその、してるってことはないよな?」
俺はわずかに視線を逸らせながら訪ねる。
ワルアークは質問に答えずに質問で返してきた無礼な俺に激高し、唾を吐きながら喚いた。
「承知の上に決まって」
「そんな筈あるか!」
「無理やりです!」
ワルアークの言葉を遮ってエルフ二人が答えた。
まあ、無理やりだろうな。
ワルアークの噂は十分に聞いたし、相当の変態であることは解っていた。
二人の言質も取ったし、もう言い逃れは出来ないぞ。
「二人共。助けに来た。ここから出よう」
俺がそう言うと二人は歓喜で震えた。
逆に違う意味で震えているのはワルアークだ。
「ふ、ふざけるな貴様! 突然出てきて何を言っておる。ここがどこだか解っているのかこの無礼者が!」
「裸で何を言ってる。何か着ろよ」
裸の親父なんかと話したくもない。
俺は椅子にかけてあったバスローブに視線を移す。
ワルアークは目を充血させながらバスローブを羽織ると大声で叫んだ。
「おい! ここに曲者がいるぞ! 何をしている出てこい!!」
お抱えの兵を呼んだみたいだ。
俺はそれを聞きながら、小さくため息をついた。
「誰も来ない。全員寝ている」
「はぁ? 貴様何を言っている?」
俺は壊したドアの方に視線を向ける。
しばらく待ってみたが誰もやってはこない。
ワルアークもそれが解ったのか,訝しそうに顔を歪める。
「貴様ぁ、何をした!?」
「ちょっと寝てもらった。今起きているのはこの部屋にいる者だけだ」
「なっ、そんな馬鹿な」
ワルアークも現状を理解出来たのか、顔が蒼白になる。
俺が近づくと激しく狼狽え身構えた。
「き、貴様。何をするつもりだ。わしを誰だと思っておる! わしはワルアーク公爵だぞ!! こんなことをしてただで済むと思っておるのかぁ!!」
「それはもう聞き飽きたよ」
俺はワルアークの目の前まで来た。
こいつはエルフを奴隷にし、それ以外でも酷いことを沢山してきた。
ただでは済まさない。
まずは顔面にいっぱつ入れる。
「げふぅ!!」
ぶん殴られたワルアークは吹っ飛び、ゴロゴロと転がった。
「い、いた、痛い。こ、このわしが殴られた。誰にも殴られたことなどないのにぃ!」
「まだまだこんなものじゃ済まないぞ」
俺はワルアークに近づき襟元を掴む。
「や、やめ、止めてくれ。ど、奴隷が欲しいのか? だったらくれてやる。だからわしを殴るのはやめてくれぇ」
「二人は連れて行く。だが、お前を殴るのはやめない」
「ひ、ひぃーーーーーーーー!! うごお!!」
俺はしばらくワルアークを殴り続けた。
殴って殴ってボロボロになったワルアークを床に寝かせ、エルフ二人の前に来た。
「君達。着替えを持ってる?」
「あ、あります」
「じゃあ、それを着て。ここから出よう」
俺はそう言うと縄を切ってやる。
それと気になっていたのが首の首輪だけど。
「その首輪は?」
「ま、魔法の使用を阻害する首輪です」
なるほど。
縄で縛ってあっても魔法が使えれば抵抗できるからそれを封じたわけか。
俺は首輪を摘まみ力を加えると首輪はバキンと音を立てて壊れた。
エルフは驚いていたが、気にせずにもう一人の方も首輪を破壊しておく。
眼をぱちくりさせていたけれど、まあいい。
「さて、着替えたら出るよ。ここの兵は全て倒したと思うけど、長居はしたくないからね」
「は、はい。あの、貴方は?」
「俺? 俺は、あー、アレステラ王女知ってる? 彼女の知り合いなんだけど」
「「王女殿下の!?」」
やっぱり知ってるか。
それならば話が早い。
「彼女もこの王都にいる。連れて行ってあげるよ。さあ、準備は出来た?」
「「はい」」
「じゃあ、行こう。俺は勢馬。君達は?」
「セリーです」
「ナーサです」
「うん。二人共辛かったね。早くここから出よう」
俺たちはワルアーク邸から脱出し孤児院に向かった。
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