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俺の故郷の最強の料理

「セイマお兄ちゃんのご飯だ!」


「わーい」


 子供たちが賑わっている中、俺はキッチンに立った。

 既に仕込みは終わっている。


 まず豚肉を紐で縛り、フライパンで全面焼く。

 焼き目が付いたら鍋に野菜を数種類入れ、焼き豚も入れてじっくりと煮込む。


 俺は旨みのたっぷり染み出した煮汁を見つめる。

 子供たちは多いからな。

 かなりでかい鍋にいくつもの食材を投入した。

 その煮汁には旨みがたっぷり染み出している。


「お兄ちゃん。何か手伝う事はありますか?」


 クレアがひょっこりと顔を出した。

 うーん、包丁を持たせるのは危ないかな?


「包丁なら使ったことがあります」


 俺の危惧を先回りしてクレアが申告する。

 なら、任せてみるかな。


「じゃあ玉ねぎを切ってくれ。みじん切りで」


「はい!」


 俺の力になれることが嬉しいのか、クレアは笑顔で答えた。

 可愛いなぁ〜。


 よし、俺はこの煮汁を調理しよう。

 ここで遂に解禁してしまおう。

 次元収納袋から俺はある調味料を取り出した。


 それは、醤油だ。

 俺は一度ザルとボウルを使って野菜を取り出し、醤油を焼き豚が入った煮汁にドボドボと入れ、弱火で煮込む。

 さあ、醤油の旨みよ、焼き豚にうつってチャーシューとなれ!


「そして、味の染みついたチャーシューがこちらになります」


 時間がないので作っておきました。


 その間に俺は小麦粉に卵を入れてよく練る。

 練って練って、コシのある卵麺を作り上げる。

 これを細麺に太さに切って、さらにちぢれを作り、ちぢれ麺にする。


「お兄ちゃん。どんな料理が出来るの?」


「分からないだろう?」


「全然分からない」


 この世界、マカロニやニョッキ的なパスタはあるみたいだけど、いわゆるスパゲッティがないようだからな。

 想像も出来まい。


 さて、仕上げだ。

 よく練ったちぢれ麺をたっぷりの湯で茹でる。その間に、味の染み込んだチャーシューを切っていく。


「セイマお兄ちゃんーお腹減ったー」


「まーだー?」


 子供たちの腹も限界の様だ。


「もうすぐ完成だ。この深皿を並べてくれ」


「「「はーい」」」


 深皿に醤油を加えた煮汁を入れる。

 そう、チャーシューを煮た煮汁をそのままスープにするのが、このラーメンの特長だ。

 それに茹で上がった麺を入れ、チャーシューを並べて、玉ねぎのみじん切りを上からかけ、次元収納袋から秘蔵の焼き海苔とメンマをトッピング。


「さあ! 完成だ」


 俺はその料理をズラリとテーブルに並べた。


「わー、なにこれー?」


「こんな料理みたことなーい」


「真っ黒ー」


 本当は箸で食べて欲しいところだが、ここは仕方ない。フォークを並べる。


「これはフォークですくってこう、ズズズと食べるんだ」


「へー、食べよ食べよ」


 子供たちがすぐさま食べようとすると、シスターセリスが待ったをかける。


「コラ皆、お祈りを忘れてはいけませんよ!」


 おっと、ここは教会が経営する孤児院でした。

 ほんとはのびる前に食べて欲しい所だが、ここはお祈りしよう。


 お祈りを済ませて、いざ、実食。


 ズズズ〜。


「「「!!!!」」」


 さあ、どうだ!?


「うっまーい!!」


「こんなの食べたことない!」


「美味しい! 美味しいよ!」


 そうかそうか美味いか。

 正直、この世界の食文化はかなり遅れている。

 貴族もそれ程美味い物は食っていまい。

 ましてや、この子たちは堅いパンと味の薄いスープとかそんな物しか口にしていないだろう。


「さて、俺も食べるか」


 箸で麺を手繰る。

 うん、店に比べたらそりゃあ劣るけど、十分旨い。

 この子たちにしてみたら奇跡の料理の筈だ。


「セイマ! これ美味しい! 凄く美味しいわ!」


 ステラも喜んでいる。

 だろう。

 でも、店のはもっと美味しいんだ。


「お肉柔らか〜い」


「玉ねぎ生だけど、これなら食べれるー」


「この変なのなーに?」


「この黒いペラペラ食べれるの?」


 それはメンマと海苔だな。


 よかった。

 皆満足してくれたようだ。


「セイマ。この料理なんて言うの?」


「これは俺の国に伝わる料理。名をラーメンという」


「・・・ラーメン」


 ぶっちゃけ、ラーメンは日本の食経済を支えているのではなかろうか?

 あんな何処もかしこも行列を作る店、中々ないぞ。


「麺はまだ残ってるからな。おかわりが欲しい人は言ってくれる?」


「はいはーい!」


「僕も食べる!」


「俺も」


「あたしもー」


 どうやらラーメンは大成功のようだ。

 この世界の人の舌に合って良かった。


「これがセイマの故郷の味なのね」


「まあな」


 ズルズルと音をたてながらラーメンを食べる。この世界にはまだ、音をたてたらマナー違反て事はないだろ。


「セイマお兄ちゃんは棒を使って食べてるの?」


 クレアがコテリと首を傾げて尋ねて来た。

 ああ、箸ね。


「こういう麺を食べるのにとても適してるんだよ。本当は皆にもこの箸で食べて欲しいんだけど」


「ハシ? その食器ね」


「あたし、お兄ちゃんと同じので食べたいです」


 クレアが手を挙げる。

 すると何人かが手を挙げる。


「俺も」


「あたしもやってみる」


 ふっふっふ、では、布教しようではないか、箸文化を。


「よーし、じゃあ箸の使い方を教えるぞ。皆集まれー」


 子供たちが集まってくる。

 はは、俺って子供結構好きかも。

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