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プロローグ

お待たせしました。

連載再開します。

 エルフの里に向けて出発した俺たち。

 なんだけど、なんと俺たちは王都に戻っていた。

 これには勿論理由がある。

 それは多分に俺の私情が関わっており、ステラ達はそれに巻き込まれた形だ。


 さて、なぜこんな事になったのかと言うと、そもそもの原因は七日前に遡る。




 遡る事七日前。

 俺たちは俺が初めて訪れた街アストロに来ていた。

 戻ってきた。

 ここを拠点にしようと考えていた時もあったので、なんだか懐かしい感じさえする。

 まあ、ここにも大して長くいた訳ではないのだが。


「まずは物資の補充をしようか」


 エルフの里まではまだ長いらしい。

 それならば、ここでしっかりと補充をしておかなければならないだろう。

 俺には次元収納袋があり、この中にはあの白い空間にいた時に老師からもらった食料がたんまりと入っているのだが、まだこの袋の事は内緒なので、ステラ達に言いふらす訳にはいかない。

 この袋なんとこの中では時間の流れを自在に操れるようで、時を止めて中に入っているものを永久的に保存できたり、また逆に時を進めるなんてことも出来るのだ。

 異世界ものによくあるチートテンプレアイテムであるが、本当に便利である。

 これで、収納限界も大きさも関係ないというのだから、正しくチートだ。


 さて、物資、主に食料を買っておくとしますか。

 あと水も。


 俺たちは市にやって来た。

 ここでなら大抵のものは揃う。

 長期保存できる食料を買い求めよう。

 しかし、そういったものは大体堅いんだよな。

 柔らかいものが食べたい。

 収納袋を解禁してしまいたい衝動に駆られる。

 ステラ達になら秘密を共有してもいい気がするし、いつまで俺が我慢できるか分からない。

 実はだ。

 老師は結構なグルメであり、白い空間にいた時に食べていた食材は結構良いものだった。


 次元収納袋には品質の良い食材が入っており、それを食べたいという欲求が俺を支配している。

 数もたくさんあるので、ステラ達に振る舞ってやりたいし、どうしようか?

 解禁しちゃうか?

 次元収納袋を。


 だけどな、アルトスがいるしな。

 他の二人は何も言わないだろうけど、俺に不信感をバリバリに抱いているアルトスに知られると何を言われるか分からないぞ。

 もう少し我慢するか。


「王都ほどじゃないけど、活気があるわね」


「そうだね」


 なんとなくいいな。

 この活気。

 以前の俺は引きこもりだったから、この活気に当てられると多分家に帰りたいと思ってしまっただろうけど、それを考えると俺は本当に変わったんだなと実感する。


 そんな風に俺たちがのんびり買い物をしていると、バシンと鞭で何かを叩く音が響いた。

 何だろうと思ってそっちに視線を向けて見ると、なんと大人の男が小さな女の子、幼女をいってもいいくらいの子を鞭で叩いているではないか。


「この愚図が! せっかく買った食料を落としてしまうとは何事だ!」


「すいません、すいませんご主人様」


「全くなんという愚図だ。貴様の様な役立たずはこうしてやる!」


 再び男が鞭で女の子を叩こうとしている。

 俺は思わず割って入ろうとした所で。


「やめなさい!!」


 隣で見ていたステラが声を張り上げた。


 男は何だといった様子で俺たちを見つめると、一旦、持っている鞭を下げた。


「何だ? あんたら」


「何だじゃないわ!」


 ステラはズンズンと歩いて行き、女の子を庇うように男の前に立ち塞がった。


「あなたね。大の男が、こんな小さい子を鞭で叩くなんてどういうつもりよ!」


 ステラの剣幕に押された男は身を引いたが、舌打ちをした後に気を取り直して、ステラを睨みつけた。


「こいつは俺の奴隷だ。俺が何をしようと自由だ!」


「ど、奴隷・・・」


 ステラも俺も唖然としてその言葉を聞いた。

 奴隷。

 マジか、奴隷ってこんな扱いをされるのか。

 何をしても自由って、じゃあ最悪殺してもいいってことじゃないだろうな?


「ど、奴隷と言ったってやっていい事といけない事の区別もつかないの!?」


「うるせいや! 奴隷なんてな、生かすも殺すも、ご主人様の気分次第なんだよ。こいつはせっかく買った物を落としやがったんだ。しっかり教育してやらねーとな!」


 落としたって・・・。


 落ちているのは主に食べ物。

 しかも、かなり数が多い。

 こんなの大人の男でも持つのは大変な筈だ。

 こんな小さい子に持たせる量ではそもそもない。


 だというのに、この男は女の子が悪いと決めつけて、鞭を振るった。


「やめて!」


 咄嗟に庇うようにステラは女の子を抱きしめて、アルトスらは驚いて、ステラに駆け寄ろうとする。

 しかし、それよりも早く俺は動いていた。


 鞭を掴み取り、男からもぎ取ると、そのまま男の腕を掴んで捻りあげる。

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