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バレた

「えっ!?」


 突然そんなことを言って来た。

 え、何でそんなこと聞くんだ?

 バレた?

 何でバレたんだ?

 落ち着け、取り合えずとぼけるんだ。


「なんのことだ? どうしてそんな風に思ったんだよ」


「だって、前に山賊に襲われた時、複数人相手に「ずっとこんなことばかり続けていた」みたいなこと言ってたでしょ?」


 そんなこと言ったっけ?


「他にもちらほら、昔のこと覚えてるんじゃないかって思えること言ってたし、リルのことだって、忘れてたら呼び出せないでしょ」


「あ、あれはたまたま覚えてて」


 うわわあああ、俺って馬鹿じゃん。

 いっぱいボロだしまくってんじゃん。

 やば、汗出てきた。

 バレる。

 このままじゃバレる。


「分かりやすいなー。セイマは嘘つけないね」


 駄目だ、これは確信を持たれている。

 今更どれだけ取り繕うと無理な気がする。

 自ら墓穴を掘る形で、記憶喪失設定は見破られてしまった。

 これは、仕方ないか。


「・・・事情があるんだ」


「言えない事情?」


「まあ、そうだな。言っても信じられないって事情だ」


「ふーん。そっか」


 呟いたきり、ステラは何も喋らなくなった。

 何を考えてるんだろう?

 信用できないから解雇?

 さっき帰りも護衛の依頼を引き受けたばかりでそれはないか。

 あー、だけどこんなにも簡単にバレるなんて。

 口は禍の元だな。

 俺が軽はずみに喋らなければバレなかったのに、でも、リルを呼び出したのはしょうがないよな。

 あれは必要なことだった。

 何もなくて取り越し苦労だったけど、それは結果だ。

 あの時は必要なことだったんだ。

 あれでバレてしまったのなら仕方がない。


「それは、セイマの強さの秘密にも繋がっていること?」


「まあ、そうだな」


「あのリルって神獣とも?」


「うん」


 じっと見つめられ、俺はドギマギしてしまった。

 またどんなことを聞かれるのかハラハラする。


「うん。分かった。何か理由があるんだね。いいよ。無理には聞かない」


「いいのか?」


「ん。もしかしたらいつか話してくれるかもしれないしね。待つよ」


「そうか、助かる。信用できないからさっきの護衛の話はなしになるかと思った」


「そんなこと考えてたの? ないない」


「はは、そっか」


 目を丸くするステラは苦笑して否定してくれた。

 まあ、もしここで護衛の話がなしになっても勝手に護衛していたんだけどね。

 ステラは立ち上がる。


「そろそろ寝るね」


「ああ、お休み」


 ステラに続いて俺も立ち上がろうとした時、ステラの顔がドンドン近づいてきて、俺の額に唇をくっつけた。


 チュ。


「へ?」


 何が一体起こったのか分からずに、完全フリーズしている俺を置き去りに、ステラは馬車に戻っていく。


「あはは、今のは帰りの護衛料の前払いだよ」


 早口でそう言うと、ステラは馬車の中に引っ込んで行ってしまった。

 俺はしばらく思考できずに、呆然と立ち尽くしていた。

 今もし襲撃があったら果たして俺は対処できていたのだろうか?

 カチンコチンに固まったまま、時間だけが経っていった。


*********


「失敗しただと!!」


 男は雇った密偵の報告を聞いて激怒した。

 一度ならず二度までも!

 何故だ。

 何故上手くいかない!!


「くそぉ! 山賊に情報を流してやったのに失敗し、今回は直接仕留めに行ったのにまた失敗したというのか!?」


 怒り狂った男は手に持っていたワイングラスを床に叩きつけた。

 息を荒くし、どうして上手くいかないのか検討する。

 まずは失敗した状況だ。

 それを知らないことには改善も出来ない。


「何故、失敗した?」


 密偵に尋ねると、密偵は機械的に答えた。


「とてつもなく強い冒険者を雇ったようです。山賊もあっさり撃退し、雇った暗殺者も手も足も出ずに毒を飲みました」


 あの山賊は有名な一団ではなかったのか?

 せっかく情報を流してやったというのに、何という様だ。

 それに暗殺者も暗殺者だ。

 凄腕という評判を聞いたから雇ったというのに、手も足も出来ずに自害とは情けないにも程がある。

 こっちは高い金を払ったというのに。

 それにしても、とてつもなく強い冒険者だと?


「・・・もしや、S級か?」


 世界に十一人しかいない人外の冒険者。その強さは世界トップクラスであり、人類最高峰と言われている。

 確かに、そんなのが出てきては山賊などでは荷が重いだろうが。


「いえ、S級ではなかったです。彼らは有名なので見ればわかります」


「そうか。違うのか」


 まずは安心だ。

 S級などに出てこられては打つ手がない。


「くそ。王都に着く前に始末したかったが・・・」


 王との会談前になんとかしたかった。

 だが、手駒がまだ揃っていないのだ。


「くそが。まあいい。あいつさえ戻ってくればそんな冒険者など。くくく」


 男は笑う。

 まだ間に合う。

 なんとしてもあのエルフの姫を始末するのだ。

 そうしなければ色々と不味いことになる。

 必ず始末すると、男は意気込んだのだった。

読んでくださりありがとうございました。

星評価よろしくお願いします。

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