表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/87

ドルフ絶対絶命

 自分の中にこんな冷酷な面があるとは思っていなかった。

 俺って性格悪いのか?

 ステラ、引いていないだろうか?

 今から取り繕うつもりはないんだけど。

 チラっとステラを見ると、じっとドルフに睨んでいて俺の視線には気が付いていないようだ。

 ステラも被害者になりかけたからか、相当怒っているようで、俺のことは余り気にしてはいない様子だ。

 アルトスは道草が気に食わないのか、さっきからずっとムッツリしていて言葉を発しない。

 ドルフは自分の手が気になっているようで、ペースが速くなってきた。

 そして、歩くことしばし、俺達は洞窟に案内された。


「ここか?」


「ああ、ここがアジトだ」


 なんとも都合よく洞窟があったもんだな。


「仲間は他にいるのか?」


「いねえ。さっき戦った連中で全部だ」


 勿論信じちゃいない。

 この中にいて、不意打ちをしてくる可能性だって十分にある。

 だが、本当にいないのなら、既にドルフ山賊団は壊滅したことになる。


「先に歩け」


「分かったよ」


 ドルフは先に歩くと、中はそれなりに広く、人が生活できるだけのスペースは確保されていた。

 いくつかの家具もあり、枝分かれした通路の先には部屋もあるようだ。


「この先だ」


 ドルフは先に続く通路を顎でしゃくる。

 その時にチラっとステラの方を見た。

 なんだ? 今の視線はどういう意味だ?

 尋ねる前にドルフは先に行ってしまった。

 付いて行くと、そこは簡素な牢屋になっており、その中に綺麗な女性がいた。

 金髪ロングで、ステラよりも胸にボリュームのあるスタイルの良い女性で、その耳は尖っていた。

 何? エルフだと。

 さっきドルフがステラを見た理由はこれか。

 攫って来た人がエルフだと知れば、ステラの反応は人間よりも激しくなるだろうことは想像に難しくない。

 そして、やはりと言うべきか、ステラの反応は激しかった。

 いや、予想以上だったというよりも予想外だった。


「リーゼ!!」


「はっ、姫様。姫様!」


 ステラは牢の格子を掴んで叫んだ。

 中にいる女性もステラを見て、驚く。

 え、知り合い?


「知ってる人、なのか?」


「そうよ! 私の付き人の一人、リーゼ。なんで貴方がこんな所にいるの?」


「姫様を追って来たのです」


「私を? どうして?」


 問い返すステラの間に入って、会話を中断させる。


「ステラ。詳しい事情は後で聞こう。まずは彼女を出してあげないと」


「あっ、そ、そうね」


 コクコク頷いて、同意を得た俺は、ドルフに視線を向けて「開けろ」と端的に命じた。

 ドルフは壁にかかっていた鍵を使って、格子戸を開ける。

 リーゼと呼ばれたエルフは、ドルフをきつく睨みつけた後で、ステラと抱きしめ合った。


「ああ、姫様。もう会えないのではないかと思っておりました」


「良かったわ。本当に良かった。もっと顔をよく見せて頂戴」


 ステラは涙を浮かべてリーゼの顔を覗き込むと、顔を歪ませた。


「その怪我。殴られたの?」


「あ、はい。・・・すいません。お見苦しいものを」


 リーゼはさっと顔を隠し、ステラはドルフを睨みつける。


「この!」


「おー、ちょいちょい。俺は殺さないって約束だぜ」


「ああ、約束だったな」


「嫌、駄目よ。セイマそこをどいて。そいつ、許せない」


「おい、何とか言ってくれ」


 この場の主導権は俺が握っていると思っているドルフは助け舟を求めてきたが、それはとんだ勘違いと言うものだ。

 俺はゆっくりとドルフから離れた。

 ドルフにとっては思わぬ俺の行動に、焦りを見せて叫ぶ。


「おい! 俺は逃がしてくれるって約束だっただろうがよ!!」


「違うな。よく思い出せ。俺()お前を殺さないと言ったんだ。他の誰かがお前を殺そうとそれは知った事じゃない」


「なっ」


 ちょっとした言葉遊びだ。

 騙したと言ってしまえばそれまでだが、嘘は言っていない。

 元々俺はこいつを逃がすつもりなどなかったし、ステラかアルトスが殺したいというのであれば、止めるつもりは最初からなかったし、そうでなくとも警察に類する機関に突き出すつもりでいた。

 どっちにしてもこいつの命はなかったということだ。


「くそが!」


 ドルフは逃亡を図るが、俺はそれを許さない。

 足を凍らせて、逃亡を阻止した。


「姫様。私にやらせてください」


 リーゼはステラに道を開けてもらいドルフの前に立った。

 ステラも、もしドルフを殺すのならば自分よりもリーゼの方がよいと考えたようだ。


「良かったら剣を貸そうか?」


 俺が天羽々斬を差し出すと、リーゼは怪訝な顔をした。


「・・・人間?」


 ああ、そうか。

 俺も人間だから、人間というカテゴリーに入れられちゃうとこのドルフ同様に危険人物になっちゃうのか。

 困っていると、ステラがニコリと笑う。


「リーゼ。この人は私の命の恩人よ。ここに来れたのもこの人のおかげなの。信用していいわ」


「・・・姫様がそうおっしゃるのでしたら」


 リーゼは頷いて俺への警戒レベルを下げてくれた。

 おっ、この人はアルトスと違ってそんなに人間に対して敵愾心がないのか?

 捕まっていた分、人間に対する嫌悪感がありそうだけど、良かった。


「お借りします」


「どうぞ」


 天羽々斬を握ったリーゼだったが、持った瞬間に落としてしまった。


「なっ」


「え?」


 落としてしまった天羽々斬を凝視し、リーゼは信じられないといった表情で俺を見た。


「お、落としてしまって申し訳ありません。ですが、これは・・・」


読んでくださりありがとうございました。

星評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ