ドルフ山賊団
とある山奥に山賊のアジトがあった。
山賊の頭目であるドルフは、今日も山を下りては行商の人間を襲い、その金品を強奪して帰って来た。
行商の人間は、太っていて気に入らなかったので殺した。
ドルフは気分野で、自分が気に入らないと思った人間は容赦なく問答無用で殺す。
それが誰であろうと殺す。
そうやって生きてきたのだ。
「お帰りなさい頭。今日はいい物が手に入りまして」
「あー、なんだ、いい物って?」
ドルフが尋ねると、手下は鎖で繋がれた人間を引っ張って来た。
「あん? エルフか」
繋がれているのは人間だと思ったらどうやらエルフだったようだ。
それも、随分と綺麗な女だ。
胸もでかい。
「へい。中々の上玉を捕まえました。こいつは金になりますぜ」
「へぇ。よくやったじゃねえか」
ドルフは商品を見るような目つきでエルフの女を凝視した。
見た目の年齢は二十くらいか。
まあ、エルフの年齢は人間には分からないのでそれはいい。
重要なのは、このエルフに需要があるかどうかであるが、これだけの美人であればそれも問題ない。
だが、反抗的な目は減点だった。
「あー、おいお前。自分の立場わかってるか? お前はもう俺の物なんだよ。奴隷として売られるまでの間だけどな。あはははは!!」
ドルフが笑うと、エルフは蔑んだ目でドルフを見つめる。
「クズが」
気分よく笑っていたドルフは、この一言で気分を害し、眉を吊り上げた。
「あー、自分の立場が理解できていないようだ、な!」
ドゴ!
「ぐふ!」
腹に一発蹴りを見舞った。
エルフはくの字になってうめき声を上げる。
「てめえ、みてえな、プライド、ばっかり、高そうな、野郎は! こうして、調教、してやらねーとよー、駄目なんだ、オラ!」
それから一方的にドルフはエルフをリズムカルに蹴りまくった。
うめき声を上げ続けるエルフなど知ったこっちゃないとばかりに蹴りを入れ続けた。
等々倒れ伏したエルフの頭を踏みつけて、ドルフはニヤリと笑う。
「てめえの立場がこれで理解できたか? あー?」
「うっ、うぅ」
「か、頭。あまり痛めつけると売値が下がっちまいますよ」
あまりの暴力に、見ていられなくなった手下が口を挟むと、ドルフはその子分をも蹴り倒す。
「あー、なんだ、てめえ。俺に口答えするのか?」
「ひ、め、滅相もありません」
ドルフはこの山賊で最強だった。
誰もドルフには逆らえない。
逆らう者は容赦なく殺した。
それでドルフは今の地位を築いていったのだ。
そばで見ていた子分達も、ドルフを恐れて何も言わない。
気分を良くした。
「こいつを牢にぶちこんでおけ」
「へ、へい」
腹を蹴られた子分はよろよろとエルフを連れて去っていく。
ドルフは椅子にふんぞり返り、今日奪った金銭を眺めながら、舌なめずりした。
「エルフといやー、もうすぐエルフの姫がここを通るんだったか。へへ、これは楽しみだぜ」
ドルフは一人で楽しそうに酒を飲んだ。
少し前に手に入れた情報である。
なんとエルフの姫がこの街道を通るというのだ。
これはチャンスだ。
エルフの姫ならば、変態貴族が大枚を叩いてでも買ってくれるに違いない。
「まさか、大金があっちからやって来てくれるとはな、あー」
ドルフは舌なめずりして笑った。
*********
朝、俺達は店が開くくらいの時間になってから活動を開始した。
まずは旅支度だ。
必要な消耗品などを購入し、俺はキャンプ道具も買った。
問題は荷物をどうするかという点で、俺は自分の持っている次元収納袋がどの程度レアな物品であるのか分からなかったので、目立つことを恐れ、普通にバックを購入し、それにあれやこれやを詰めた。
本当に必要な素材は、次元収納袋に入れておいて、腰にぶら下げておけばいい。
日持ちする食料も買い込んだ俺達は、次に馬車を見に行った。
この世界には駅馬車というものがあって、それに乗って街から街への移動をするのが普通なのだそうだが、ステラは王族。
それらは使わずに、馬車を一台貸切ってそれを移動手段にすることに決めた。
感覚としてはタクシーをずっと貸し切りにするようなものだろうか?
道具も食料も移動手段も手に入れた。
準備を整えた俺達は、馬車に乗り込み気長な旅に出たのである。
旅に出て三日ほどは何もなかった。
まあ、たまにアルトスが俺や御者の人に突っかかって小競り合いをした。
アルトスは本当に人間が嫌いらしく、何かあれば声を荒げて、非難をした。
一度は街の中で癇癪を起こして、あわや、他の人を巻き込んでのトラブルになりそうな時もあり、本当にヒヤリとした。
ステラがアルトスに睨みを効かせ、なんとかなったが、アルトスはトラブルメーカーだということが判明。
本当に厄介な奴だ。
そんなトラブルもあったが、街や村が近くにあればそこに立ち寄って宿に泊まり、生憎と近くに何もなければ、野宿をする。
そんな生活が続いた。
そして、四日目にそれは起こったのだ。
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