助けたけれど
ここまで厳しくしなくともいいんじゃないですかねー!
はぁ、じゃあ俺が戦ってきたモンスターはこの世界のモンスターよりも何倍も、もしくは何十倍も強かったってことか。
ゴブリンでも集まればドラゴンに勝てるんじゃないのかそれ?
俺はなんだかやるせない気持ちになって下を向く。
「あ、あの」
「あ」
女性の声がしたので顔を上げた。
そうだった。
俺は、このお姫様を助けたんだったな、忘れてた。
「怪我はないですか?」
「は、はい。貴方のおかげよ。貴方のお名前は?」
「俺は勢馬って言います」
「セイマさん」
「貴方のお名前は?」
「私はーー」
「答える必要はありませぬ!!」
俺とお姫様が会話をしていると、男が俺達の間に割って入って来た。
先程やられたお付きの人だ。
まだ、完全に回復していないのだろう。
足を引きずりながら、お姫様を手で隠すようにして俺を睨みつける。
「ア、アルトス」
「むやみに人間と口をきいてはなりませぬ」
アルトスと言われたお付きの人は、すっぱりそう言うと親の仇でも見るような目で俺を見据えた。
え、なんで俺こんなに睨まれてんの?
一応俺命の恩人・・・。
「何者だ、人間!?」
「や、だから冒険者だって、人間て」
変な呼び方だな。
自分だって人間じゃないか。
そう言ってやろうとしたのだが、ある部分に注意が向いた。
それは耳。
明らかに俺とは耳の形が違う。
先端が細く尖っている。
それはファンタジー世界ではよく目にした耳だ。
まさか、こんな所でお目にかかれるとは。
「エルフ!?」
ああ、エルフか。
だから、俺を人間て呼んだのか。
エルフって人間と敵対している設定多いもんな。
ご多分に漏れず、この世界の人間とエルフの関係も良好とは言い難いようである。
とすると、このアルトスの警戒心、敵愾心もあながち分からなくはないが。
「アルトス、止めなさい」
「姫様!」
お姫様はアルトスを制すると、立ち上がって俺に一礼した。
「助けていただきありがとうございます。私はアレステラ=ファーナルっていうの。ステラって呼んで」
「ステラさんですか」
「さんはいらないわ」
「え、でも・・・」
お姫様じゃないのかこの人。
「姫様、何をお考えなのですか!」
アルトスは目くじらを立てて吠える。
「人間に愛称で呼ばせるなど言語道断です」
「あら、この人は命の恩人よ?」
「何か裏があるに決まっています!」
くるりと振り返り、アルトスはまたも俺を睨む。
「貴様、何が狙いだ?」
流石に気分が良くないな。
助けたのに何故ここまで嫌われなければならないのか。
色々と事情があるんだろうけどさ。
「何もない。殺されそうになっていたから助けた。誰だって助けるだろそんなの。それ以上の意味はない」
「あのオーガを仕掛けたのは貴様の差し金か?」
ああん?
何を言ってるんだこいつは・・・。
「意味が分からない。なんで俺がオーガをけしかける? それに、もしそうならけしかけたオーガを俺が倒さなくちゃいけないんだ?」
「そうやって恩を売ろうという魂胆だろう? 騙されんぞ?」
ああ、そういうこと。
参ったね、ここまで猜疑心が強くっちゃ何をやっても信じてもらえないぞ。
「何をどう思おうと自由だけど、裏も何もないよ。それよりもなんでエルフのお姫様がこんな森にいるの?」
この辺りにエルフの隠れ里でもあるんだろうか?
アストロの街で見せてもらった地図にはそれらしいのは載っていなかったけど、遠くから来たってことだろうか?
「実は、この国の王と会談があるのだけど、そこに行く道中でモンスターに襲われて、なんとか逃げ延びてここまでやってきたの・・・でも」
「あのオーガに追いつかれたってことか」
コクリとステラは頷いた。
なるほどね。
「姫様。こんな男に内情を話す必要など」
「あら、別にいいじゃない。助けてくれたのだし」
「それが、怪しいと言っているのです。こんな所にいるなんて出来過ぎています。何かあるとしか思えません」
俺は嘆息して目を瞑った。
「分かった。別に礼を求めているわけでもない。後は好きにしろ。俺は本当にたまたま通りかかっただけだ。何もしやしないよ」
さっさと帰ってギルドに報告しよう。
ああ、なんか人助けしたのに気分悪い。
俺はすたすたと歩き出した。
「あ、待って。待ってセイマ!」
ステラが慌てて俺を呼び止める。
面倒くさいが無視するのも後味が悪いので、俺はしぶしぶ振り返った。
「何?」
「ねえ、私達、これからこの国の王都まで行かなければならないの。セイマ、護衛になってくれないかしら?」
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