お姫様を助ける
三時間ほど歩き、俺は指定された森へとやって来た。
この森の何処かにゴブリンが生息しているらしい。
薬草採取も兼ねているので、俺は下を見つつ、ゴブリンを探す。
しばらく探していると、薬草をいくつか採取することに成功した。
次元収納袋に入れて、更に奥に進む。
この辺でいいんだよな?
気配を探っていると、何かの物音が聞こえてきたので、そっとそちらに近づいてみると、いるわいるわ。ゴブリンの群れであった。
「十匹狩れば成功ってなってるけど、二十匹はいるな」
早速行動開始だ。
俺は飛びだして、ゴブリンに襲い掛かった。
ここは特に苦戦したわけでもないので中略。
ゴブリン討伐に成功し、証拠となる素材を回収した俺は、帰路につくべく森の入口へと向かって歩き出した。
すると、また何か物音が聞こえてきた。
またゴブリンか?
もう十分なんだけど、結局ゴブリンがいたならまた討伐クエストが張り出されるんだよな?
狩っちゃうか。
そう決めて、物音のする方へと進んで行くと、やはりモンスターがいた。
だが、いたのはゴブリンではなかった。
さらに上位のモンスター。
「オーガ」
そう、過去、俺の腕をぶった切ってくれたあのオーガである。
俺にとっては因縁のある相手でもあるのだが、いるのはオーガ一体だけではなかったのだ。
なんと、オーガは人を襲っていた。
一組の男女をオーガは襲い、男性が戦っていたのだ。
「アルトス! 逃げましょう!」
「だ、駄目です、姫様。ここは私のお任せください。姫様だけでも早く逃げてください!」
「そんな! 貴方まで! 嫌、一人置いていけないわ!」
助けようとした俺の足がピタリと止まる。
今、あの男の人。女の人に向かって「姫様」って言ったよな?
え? あの人ってお姫様?
うん、上等な服着てますね。
面倒な予感しかしないが、だけど、助けないって選択肢はない。
だって、このままじゃ死んじゃいそうだし。
今の俺には二人を助けるだけの力があるんだから。
「くっ、低俗な魔物め。来い。今私が成敗してくれる!」
男の人は剣を抜いて斬りかかったが、まるでなっちゃいなかった。
あっさりと、オーガの鉈で弾き飛ばされて木に激突する。
「が、はぁ!」
相当強く叩きつけられたようで、起き上がることが出来ずに蹲ってしまっている。
あっちゃあ、これはいかんな。
あの男の人が何とか出来れば、何もせずに退散するつもりだったんだけどそうもいかなくなった。
「GAAAAAAA!」
オーガは吠えると、今度はお姫様の方に向かった。
お姫様はガチガチと震えて、そのまま座り込んでしまう。
あ、駄目だ。
これは早く助けないと死ぬ。
「ひ、姫様。く、くぅう・・・」
「あ、あ、あぁ」
オーガが鉈を振り下ろしたその時、俺は割って入った。
オーガの腕を掴むとそのままぶん投げる。
オーガは木にぶつかってゴロンと転がった。
「え?」
「な、何が?」
お姫様と多分お付きの人? は、何が起こったのか分からなかったようで、目をぱちくりさせていた。
俺は油断なくオーガを見ながら、二人に告げる。
「助太刀します」
「あ、貴方は」
「冒険者です。ここは俺がなんとかしますので、今のうちに逃げてください」
「あ、ありがとうございます。あ、あれ? う・・・」
あらら、お姫様。
どうやら腰が抜けてしまったらしくて動けない様子。
あっちにいるお付きの人もダメージが抜けていないようで、匍匐前進でずるずるとこちらにやって来る。
これは俺が倒しちゃったほうが早いね。
ちょっと確かめたいこともあるし。
「GAAAAAAA!!」
オーガは立ち上がると怒声を響かせて先程自分を投げた俺に攻撃を仕掛けようとやって来る。
自慢の腕力から繰り出した鉈を真っ直ぐに俺へと振るう。
俺はそれを指先二本で挟むようにして止めた。
「なっ」
「嘘・・・」
ああ、やっぱりだ。
こいつ、それにさっきのゴブリンもだ。
俺が白い空間で戦っていた奴らよりも数段弱い。
もうかつてのような不覚は取らないけど、あの時戦ったオーガはもっと強かったぞ。
初めて戦った時よりも俺が遥かに強くなったことを加味したとしてもだ。
ゴブリンは元々弱かったから違和感程度にしか感じなかったけど、これで確信した。
修業で戦ってきたモンスターよりもこいつは酷く弱い。
種類が違うのか?
ぽいっと鉈をオーガから取り上げて、放り投げると、オーガは俺に拳をぶつけてきた。
それを指先一本で止めた俺は、剣圧を放ち、オーガを吹き飛ばす。
木々をなぎ倒し、数十メートル吹っ飛んだところでオーガは止まり、ぴくりとも動かなくなる。
弱い。
弱すぎる。
だけど、見たところ俺が今まで戦っていたオーガと判別がつかないのだけどなんでこんなに弱いんだ?
俺はそこである可能性にたどり着く。
待て、このオーガが弱いんじゃない。
俺が今まで相手にしてきたオーガ、並びにモンスターが強かったんじゃないのか?
あの白い空間に呼び出されたモンスターは老子の手によって、魔改造を施された強化個体だったのではないだろうか?
よくよく考えてみれば、既に百年は剣の修業をした俺が苦戦をするって中々ないのでは?
だって、それなら、この世界の人間だって、百年修業しないと(俺より才能のある人間はそんなに必要ないだろうが)オーガを狩れないってことになる。
オーガは強力な個体ではあるが、ドラゴン等の最強種程じゃない。
それを狩れないってなると、人間はこの世界で生息できなくなってしまう。
俺の推論(ほぼ確信している)が確かなら、俺はかつて腕を斬られてわけだが、それだって魔改造されてなければそうはならなかったわけで。
「老子ーーーーー!!」
俺は頭を上げて思わず叫んだ。
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