初めてのクエスト
「ふー、いい湯だった」
ベットに倒れ、そのまま大きく伸びをした俺は、見知らぬ天井を眺めて呟く。
「明日から、頑張ろう」
そう時間をかけずに俺は眠りについた。
*********
早朝。
まだ、日が昇らないうちから目を覚ました俺は、身支度をすませると、そっと宿を出た。
そのままランニングを開始。
これまで身に着けてきた習慣はそう変えられるものではないし、老子に極力変えないように言われているというのもあるし、自分でも変えないように心がける。
走ってみるとまだ早いうちから起きている人はちらほらいるようで、家から明かりが漏れている。
「ああ、この世界の人達は早起きなんだな」
機械がないから何をやるにも時間がかかるのだろう。
大変だ。
俺もいつかは家を持つのだろうか?
そうしたら朝の支度とか時間がかかるかもしれないな。
そんなことを考えながら、街を走っていく。
ランニングする人間が珍しいのか何人かが振り返って俺を見る。
あまり、遠くに行きすぎると迷子になってしまうと思ったので、大通りを途中で引き返して、何度も往復することにした。
余計に目立った。
宿に戻ったら筋トレを始める。
それが終わったら剣の素振りだ。
もう老子と戦いことも、モンスターと戦い続けることも出来ないが、基本的なことはこれまで通り続けていきたい。
修業が終わる頃には日は完全に昇っており、お腹も減って来た。
朝風呂に入って、食事を取ると、軽く休憩をし、そのままギルドへと向かうことにする。
「いい天気だな」
この辺は雨があまり降らない気候なのだろうか?
たまたまか?
あんな大浴場があるくらいなんだから水で困ってはいない筈だ。
益体もないことを考えながら歩き、ギルドへと到着。
そのまま中に入り、先ずはセーラさんを探した。
昨日と同じ受付にセーラさんがいたので、そちらに向かうと途中で俺に気が付いたセーラさんがニコリと笑って出迎えてくれた。
「おはようございますセイマさん。ごめんなさい。まだお金は用意できていないんです」
「ああ、いいですよ。急がなくても、まだありますからね」
なんかその言葉だけ聞くと俺が借金取りみたいだな。
にこやかに笑うと、俺は用件を切り出す。
「今日はクエストを受けに来ました」
「はい。それではあそこに張り出されている掲示板からクエストをお選び下さい。受けられるのはD級とE級のクエストです」
「分かりました」
掲示板の元まで行き、いくつか張り出されているクエストの中からいいのを選ぶ。
「ふむふむ。お使いクエストに、行商の護衛。ドブ浚い? こんなのもあるのか。後はいくつかのモンスター討伐、か」
俺は見繕ってゴブリン討伐のクエストを受けることにした。
「はやり、基本は押さえておかねば」
その下に、薬草の採取もあり、どうやらゴブリン発生地の森と、場所が同じだったのでこれも一緒に受けることにした。
二枚クエストの紙を剥がすと、セーラさんの所に持っていく。
「この二つにします」
「はいはい。ゴブリン討伐と薬草の採取ですね」
セーラさんは頷くとハンコをパコンと押して承認してくれた。
「セイマさんには簡単なクエストになっちゃいますね。でも、焦らないで下さいよ。セイマさんならすぐに上級冒険者になりますから」
「はは、まあ、地道にやりますよ。あ、地図はありますか?」
「はい。こちらです」
セーラさんも慣れたもので、簡単に地図を出してくれた。
「ここがアストロの街で、セイマさんがこれから行くカズノの森がこちらになりますね」
「ふーむ」
アバウトな地図だなあ。
凄い大雑把。
まあ、前世の精密な地図と比べちゃいけないな。
ざっくりとは分かったし。
「分かりました。行ってきます」
「セイマさんには必要ないかもしれませんが、気を付けてくださいね。冒険には何があるのか分かりませんから」
「そうですね。肝に銘じておきます」
俺は手を振りながらギルドを後にした。
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