やり直し
いつまで待たされるのかな。
そろそろお腹も減って来た。
宿も決めなきゃいけないし、いい加減帰りたいな。
俺って合格出来るのかな?
後はテストの採点だけだと思うんだけど、それにこんな時間がかかってるのかな。
まあ、俺の試験問題だけをやってるわけじゃないだろうし、時間かかるのかもしれない。
セーラさん、宿を紹介してくれるって言ったけど、お金どうしようかな?
一応次元収納袋の中のモンスターの素材を売れば金になると思うんだけど、ギルドで取り扱ってくれるのかな?
よくよく考えてみたら俺って十年老子と戦って、そのまま転生したんだっけ。
結構疲れてるんだけど、はぁ、早く休みたい。
その時、ドアノブがガチャリと回り、三人の人間が入って来た。
セーラさんとアズルさん。
それと知らない男の人。
髪を後ろで束ねて、スーツを着ているが、中身はしっかりと鍛えているな。
事務仕事の人か?
それとも冒険者?
「君がセイマ君か。ああ、座ったままでいいよ」
「はい。勢馬です」
「私はこの支部のギルドマスター、ジョーゼス。君の審査の結果の報告を受けた」
「ギ、ギルマス?」
偉い人だった。
え、じゃあ、この人が俺の合否を言い渡すのか?
ここのギルドは毎回ギルマスが出てくるの?
「セイマ君。君の審査結果だが」
ゴクリんちょ。
「合格だ。君を今日からD級冒険者と認める」
おお。
おおおおおおおお!
やった、やった、やったぞ。
冒険者になれたんだ。
俺は思わず立ち上がって喜び、ガッツポーズを決めた。
そうかー、俺も今日からD級冒険者かー。
「D級?」
あれ?
首を捻る。
「最初はE級からでは?」
確かそう言っていた筈だけど。
「本来は、そうだね。だが、アズルが君を非常の推すのでね。S級にしろと言っているんだが、それは無理だ。前例がないし、考慮にすら入れられない。だが、B級冒険者を圧倒する君の実力を高く評価し、D級からのスタートとする。これは異例なことだよ」
「そうなんですか」
いきなりS級は無理だろ。
何考えてるんだアズルさんは。
だが、まあ良かった。
D級なら雑用みたいな仕事は余りないんじゃないかな。
正直、やりたくないし。
出来ればモンスターだけ狩ってたいしね。
「ところでセイマ君。君、魔法試験で手を抜いていたそうだね?」
「え」
え、何でばれた?
「さあ、なんのことだか」
「安心したまえ。合格は取り消さんよ。だが、君の本当の実力が知りたくてね」
むむ、どうやらバレてしまっているようだ。
こうなったら正直に言ったほうがいいだろうか。
「すいません。あまり、目立ちたくなくて」
「やはりな」
あ、この人カマかけてやがったな。
うう、騙された!?
「君の本当の実力が知りたい。もう一度魔法訓練所で力を見せてもらえんか?」
「・・・ええぇ。まあ、いいですけど」
困ったな。
まさか実力を出すわけにはいかないよな。
本気を出したらえらいことになる。
「本当に本気じゃなかったんですね」
セーラさんが感心したように俺を見ている。
「ごめんなさい」
「いいえ、いいですよ。目立ちたくないって人いますからね」
この人、いい人や。
感動していると横からアズルさんがずずっとやって来た。
「おい、セイマ。お前、剣の師匠はいるのか?」
「はい? 何でですか?」
「その歳であれ程の剣を使えるんだ。さぞや名のある師の元にいた筈だ。誰だ、誰に教えを受けた!?」
えええ~。
まさか神様とは言えないぞ。
こ、こんな時は。
「じ、実は俺、ファオに遭遇しまして」
「ああん。ファオだと?」
「はい。その時のショックで記憶のあちこちが抜け落ちてるんですよね。だから、誰に剣を習っていたとか、何処から来たのかとかがさっぱり思い出せなくて」
「・・・マジかよ」
アズルさんはがっくりと肩を落とした。
「ふむ。それならば一般常識の問題が解けなかったのも頷ける。全く覚えていないのかね?」
「は、はい。モンスターとかの知識は何故か覚えているんですけど、この世界の常識とかはさっぱり」
「ふうむ。なるほどな」
やっぱり記憶喪失ってことにしておいてよかったな。
これなら皆納得せざるを得ないだろう。
アズルさんはどうしても老子に会いたかったらしく、かなり落ち込んでいる。
「お前、それも嘘じゃないだろうな?」
「いや、違いますけど」
俺はしれっと大嘘をついた。
「まあいいだろう。では、訓練場に行こうか?」
「はい」
こうして俺達は再び魔法訓練場へと向かった。
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