試験
「は、はい。試験ですか」
すぐに冒険者にはしてくれないか。
「一つは筆記試験。もう一つは魔法試験。最後に試験官との模擬戦です」
「ひ、筆記!? どんな問題が出されるんですか?」
おいおい、この世界のことなんにも分からない俺に筆記試験?
勘弁してくれよ。
「ふふ、心配しなくてもそんな難しい問題は出ませんよ。あくまでも一般常識の範囲の問題です」
その一般常識が不安なんですが。
ここでもファオに遭遇したって言うか?
いや、それだとその時点で失格になりそうな気がする。
まずは試験を受けてみないことには。
あとの二つはなんとかなりそうだけど。
「筆記が駄目でも、後の二つの試験で巻き返しってできますか?」
「そうですね。総合で判断しますから、それは可能ですよ」
「あ、因みに俺は魔法を使えますけど、使えない人は冒険者になれないんですか?」
「いえ、そんなことはありませんよ。あくまでも加点されるとお考え下さい。剣士や武闘家の冒険者もたくさんいますよ」
まあ、そうだよね。
じゃあ、俺は魔法を使えて良かったと思っておこう。
使えなかったら筆記試験の巻き返しは試験官との模擬戦だけってことになるし。
「それでは、試験を受ける部屋に案内しますね。こちらです」
「はい」
お姉さんに連れられて俺は、小部屋に案内され、試験用紙を渡された。
不安だった試験の内容は、冒険者に必要な薬草などの種類、モンスターの特徴等が多かった。
老子がサバイバルの修業中、ここで取れる薬草なんかは異世界の物と一緒って言っていたから、あのサバイバルの知識がそのまま生きる。
モンスターの特徴も分かっている。
散々倒したんだからな。
(この世界で最大の冒険者ギルドのある国と街の名前? こんなの分かるか。S級冒険者は世界で何人いるかだと? 知るかこの野郎)
そもそもS級ってなんだよ。
まずはそこから説明しろ。
察するにそれが一番上のランク何だろうか?
適当に書いとけ。
それからしばらく俺は問題用紙と格闘した。
書ける問題はさらっと書けるが、書けないのはほんとに全く分からん。
うう、不安になってきたぞ。
「か、書けました」
「はい。制限時間よりもちょっと早いですが、いいですか?」
「はい。大丈夫です」
一応見直しもしたし、大丈夫だろう。
書ける所はちゃんと書いた。
「では、魔法試験を行いますね。こちらへどうぞ」
またお姉さんに連れられて、今度は野外に出た。
しばらく歩くと、そこは言ってみれば射撃場のようなところで、何人かの人間が十メートルくらい離れた的に魔法を撃ちこんでいる。
俺は隅っこの方に案内された。
「では、セイマさんには今からあの的に魔法を撃ちこんでもらいます」
「当てれば合格ですか?」
「それと威力ですね。強ければ強い程いいですよ」
「解りました」
俺は的に向かっ手を向けた。
さて、これは簡単だな。
当てるのはわけないし。
あ、いや。
強すぎると目立つよな。
多分俺って、強い筈だし。
いや、強いのかホントに俺?
地球なら間違いなく強い。
超人的に強い筈だが、この異世界の人間は一体どれくらい強いんだろうか?
特に魔法は前世の地球にはなかっただけに、物差しが分からんぞ。
強過ぎたら悪目立ちする。
弱くって試験に落ちたら本末転倒。
ど、どうすればいい?
俺は他にも訓練している人達を見た。
皆、あの的を破壊して頷いている。
破壊出来ればそれなり、なのか?
「あの、他の人達って的を壊したりしてますけど、あれは強いほうなんですかね?」
「んー、そうですね。この魔法練習場を使っている人達の中ではそれなりじゃないでしょうか」
あれくらいでいいんだ。
なんだ、なら簡単だな。
的に向かって魔力を練る。
かるーく手加減すれば・・・。
・・・ちょっと待て、手加減?
魔法でそんなことしたことないぞ。
ど、どれくらい手加減すれば丁度いいんだ!?
汗をダラダラ垂らしながら、俺はゆっくりと魔法を放った。
水弾。
圧力のある水の塊が、的をへし折って、奥の壁にぶち当たった。
壁はメキリとひびが入る。
どうだ?
この絶妙な力加減?
俺は振り返ってお姉さんの反応を伺う。
果たしてその反応は?
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