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シンデレラstory恋愛教科書  作者: 甘井 美環
8/10

第8話 バイトがばれた

仕事とはいっても所詮はバイト。


毎朝、学校へ行く事は変わらない




その朝も、いつものように恭子が迎えに来てくれた。


「理沙ーおはよー」


恭子は玄関からリビングに上がってきた。

勝手知ったる他人の我が家だ。



「おばさん、おはようございます」

まだ朝食中の私を無視して、早速お母さんと話し出している。


「恭子ちゃん、その荷物すごいわねぇ」


「はい、カメラ機材が入ってます!」


「まぁ、すっかりカメラマンじゃないの」


恭子は少し照れた様子だが、まんざらでもなさそうだ。


「それに比べて理沙はね〜」


「あら、おばさん、聞いてないんですか?」


「恭子!」

彼女を制すように声を上げた。



「理沙、私のスタジオでモデルのアルバイトしてるんですよ」


「あら!そうなの?」

お母さんは、あまり驚いた様子はなかった。



「そんなに困ってらっしゃるの?」


「そうじゃなくて、理沙の魅力が気に入られて…」

彼女がそう言い掛けると、


「そうなの?」

「あんたいつからやってるの?」

少し言葉に棘{とげ}がある。


「まぁ、そんな生やさしいものじゃないからどうせすぐに辞めるんでしょ」


「あんた飽き症だからね」




「おばさん!」

「理沙、最近綺麗になったと思わない?」

恭子が一生懸命に言ってくれているが、


母は、

「そうかしら…」と

そっけない。


「そう言えば、あんたちょっと痩せた?」

お母さんは私の体をジロジロ見ながらそう返してきた。



「うん。なんだか3キロくらい痩せたみたい」


「変な病気じゃないでしょうね」

そう来たか…



「おばさん、大丈夫だよ」


「モデルさんって見られるとどんどん綺麗になっていくの」

「理沙にはその才能があるって先生も言ってた。」



「へーこの子がねー」


「私に似てそんなに器量は良くないと思ってたのにね」



「おばさんは、綺麗ですよ」

彼女は年配キラーだ。

この手のほめ言葉は、カメラマン向けなのかもしれない。


「恭子ちゃんまた旨いわね〜」

「さすが、カメラマン」


「じゃぁ私も撮ってもらおうかしら」



「おかーさん!」

調子に乗るお母さんに少し呆れていた。



「いいですよ」

「駆け出しカメラマンでよろしければ」


「なんだったら、ヌードでもokですよ」



「恭子!」

「調子に乗りすぎ!」



「あら、そうなの?」

お母さんは、平然と答えた。


「でも、ヌードは死んだお父さんに叱られちゃうからヤメとくわ」

ハハハ



「もーっ!お母さんったら〜」

本気かと思った私がバカみたいだった。





「じゃぁ、もう行くね」


「はい、いってらっしゃい」

「今日も部活遅いの?」



「あ、部活辞めたの」

しまったと思った。



「じゃぁ今まで遅かったのは、そのバイトだったの!?」


「あんたいつからそんな不良になったのよ!」

「お母さんを騙すなんて!」

怒られていると思って下を向いていると、


「さーて、何買って貰おうかしら?」




「おばさん、ナイス!」

恭子の合いの手だ。



「もーっ、お母さんったら…」

父が亡くなってから、私は叱られたことはない。


それだけに、心配もお金もかけたくなかったし

なにより、信頼してもらえている実感があった。


早く楽をさせてあげたい。

いつもそう思っていた。




「いってきまーすっ!」

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