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シンデレラstory恋愛教科書  作者: 甘井 美環
4/10

第4話 私がアイドル?

朝のニュースであゆがトップで出ている。



『熱愛発覚!引退説浮上!』




私は昨日のステージとは違う彼女の作り笑いを思い出していた。


この人は最期の最後に一番大切なものを捨てるんだ…


自分の恋のために…




ん?待てよ、大切な人のために大切なものを捨てる…?



あっ!



あゆは間違ってる!


私は気づいてしまった。



彼女は自分の気持ちにまだ気づいていないが、

本の言っている"一番大切なもの"とは、


歌ではなくて、選ぼうとしている恋人の方なのではないか!?



もしやと思いあの本を急いで開けてみた。




すると中には、


 "気づき行動せよ"


一行だけ記されていた。




意地悪な書き方だっが、私の不安が確信に変わった。



上着とカバンを取って急いでかけ降りた。


「お母さん、ごめん。朝ご飯いいから!いくね!」

そう言い放って玄関を飛び出した。


大通りまで出ると、

丁度待機していたタクシーがあった。

「すみません、乗せてもらえますか?」


「おはよーお嬢ちゃん、学校かい?」


「テレビ局までお願いします」


「はいよ!」


メーターのスイッチを入れた運転手さんは静かに車をだした。


「急いでいるの?」


「は、はい!」


「じゃぁ、少し飛ばすよ」

何かと気の利く運転手さんだ。


「ありがとうございます」

ミラー越しに会釈をした。


「お嬢ちゃん、出演?」


(なんでそうなるの?)

「いいえ、違います」


「そうかい、最近は女子高生アイドルが沢山いるからね」



「私が?そんな風に見えます?」

(見えるわけないか…)



「あぁ、最近の子よりあんたの方が可愛いのに、もったいないなぁ」

(私が可愛い?どうかしてるわっ)



そんなやりとりをしているうちにテレビ局の玄関前にタクシーは到着した。




扉が開くか開かないかのうちに降りようとする私に

「何かの時は電話してよ、すぐに迎えに行くから」


運転手さんの手から名刺が差し出されていた。



それを無造作に受け取ると

「運転手さん、ありがとう」

一言だけ残して入り口を目指した。



何故か警備員に留められることもなく中に入れた。


受付で、

急用なのであゆに会わせて欲しいと頼んだが、

ただのファンだと思われたのだろう簡単に断られた。


「すみません、知り合いなんです」


「アポは取っていますか?」


「アポって何ですか?」


「面会予約は?」



そのあとも色々説明したが、全く取り合ってもらえず、

とうとう警備員がやってきた。



「キミ、ちょっと一緒に来てくれるかい」

融通の利かなそうな人だ。


「わ、私は怪しいものではありません!」

「浜本さんに言付けだけでも…」

必死だった。



「では、お話はあちらのお部屋で」

両手を後ろに回され、

身動きが取れない状態のまま誘導された。


どこへ連れて行かれるのだろう。

警察行きかなぁ…



廊下の隅にある部屋の前まで来た。



無理やりその部屋に連れ込まれそうになった瞬間、

私は、大声を出した。



「たすけてー!私はなしもしていません!」


「こら、キミは不法侵入だぞ!」

警備員はそう言ったが、

私は正面玄関から何のチェックもなく普通に入ってきた。



「とにかく、放して!このエッチ!痴漢!」

男性はこの単語に弱いらしい、すぐにその手をゆるめた。


「あーん、もう!痛いなぁ」

腕をさすりながら、上目遣いで警備員をにらみつけた。



「キミが受付で騒いでいたから私は呼ばれたんだ!」

「仕事でやってるんだよ!」

警備員が必死で弁解した。


「私はただあゆに会いたかったの!」

私も弁解した。


「キミみたいな子は、年に何十人も来るんだ」

「いちいち取り合っていられないんだよ」


「だから、私は違うの!」

「浜本あゆの知り合いなの!」



「大体みんなそういうんだよなぁ」

警備員は呆れた顔をして頭をかいた。



「だから…」



「はい、はい、判ったから今日のところはお引き取りください」





「あっ!あゆ!」



丁度、エレベータを待つ彼女を見つけた!

その声に気づいたのか、

こちらに近づいてきた。


「理沙さん?」


私は小さく手を振った。


「やったー」


「ねっ。知り合いでしょ」

警備員に右目をつぶって見せた。



「しょうがないなぁ…」

私の左手をつかんでいた手を離すと、

警備員は玄関の方へ戻って行ってしまった。


「何してるの?こんなところで?」

「もしかして私に会いに?」


頷いた。


「まさか、本の事でなにか問題でも?」

「いいえ、あなたに問題が…」


「私に?」



「時間取れます?」



あゆが側にいたマネージャーに目配せをした。


マネージャーは両手をひらいて時間を表した。



「大丈夫みたい」


「じゃぁこっちに来て」



エレベータに乗り、7階で降りると、

何か雰囲気が違うフロアーに着いた。

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