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希望  作者: 於田縫紀
第4話 最後まで君が愛しい
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2 街区の義務を果たすのだ

 この街区では結婚と繁殖は義務だ。義務を履行しない男女はセンター送り。

 義務を履行しないとみなされるのは独男独女だけではない。結婚後2年子供が出来ないとやはり義務履行違反でセンター送りだ。


 さて結婚の手続きはというと、実に簡単。センター支所に2人で出頭して審査を受ければいい。審査と言っても指から一滴程度の血を採るだけ。


 判定にかかる時間は10分程度。ここでペアの遺伝子的適性を判断され、不適合とされると結婚出来ない。

 その場合私は独女コースほぼ決定だ。解体されてみんなのために資材化バンザイ。今の幸せ気分からそこに落とされるか、まさに運命を決める審査である。流石に今となってはちょっと怖い。


「大丈夫、大丈夫ですよ」


 健気にもまーくんは私の手を握りしめてくれていたりする。思わず抱きしめて頬ずりしたくなるけれどそこは我慢だ。万が一審査に落ちた場合、まーくんにトラウマ残してはまずいしね。


 その場合は独りで潔く逝こう。かっこよく大人の女としてまーくんを振ってやるんだ。内心でボロボロに泣きながら。


 と妄想モードに突入した所でチャイムが鳴る。判定終了の掲示に私達の受付番号が表示される。網膜認証で結果印字を受け取る。


「見るよ、いい」


 まーくんが頷いたのを確認し、印字面を表にする。結果は合格。繁殖指定人数3人。


「やった、合格よ」


 思わずのふりしてまーくんを思い切り抱きしめる。うんうん、私は猛烈に幸せ気分だぞ。

 事務端末で新居指定の用紙も貰って手続き終了。


「さてカナお姉さん、引っ越しはどうします」

「その前に、ひとつお願いしていいかな」


 まーくんは私の方を見る。


「カナお姉さんの頼みなら何でも」


「結婚したんだから、カナお姉さんって呼び方はやめて。カナって呼んで、いい」


 あ、まーくんの顔が真っ赤になった。本当に愛いやつじゃ。この場で食べたくなってしまうぞ。本当にやったら痴女だがな。


「わかりました。カナ」

「よく出来ました」


 ぎゅっと抱き寄せて唇を奪う。ついでにちょっと舌も入れて絡ませる。これくらいはいいよね。結婚したのだし。


 唇を離してちょっと垂れたおよだをハンカチで拭く。ちょっとふらっとしたまーくんをもう一度抱きしめてから離れる。どうもごちそうさまでした。まあ今後食べ放題なんだけどさ。美味しいものは何度でも味わいたいのだよ。


「私は荷物は少ないから、頼めばすぐに引っ越せるけれど」

「ぼ、僕も今日中には終わる程度だ」


 まーくん、さっきのダメージがまだ残っているようだ。よしよし、お姉さんがきっちり鍛えてあげるからね。今夜からベッドで特訓だ!


「じゃあ急いで手配して。今夜には泊まれるように」


 引っ越しも手続きは簡単。個人ブロックである程度荷物をまとめて自室の端末で申請するだけ。申請終了後速やかに引っ越し用の運送ロボがすぐ回収に来てくれる。

 なので2~3時間もあれば引っ越しは可能だ。


「結婚したんだから、今日は初夜だよね」


 まーくんの顔がまた紅潮。この照れ具合がたまらんぞ。今夜はごちそう確定だ。


◇◇◇

 

 という訳で当日の夜。結婚後用の夫婦ブロック。個室2つとリビングと寝室のある、単なる個人ブロックと比べ格段に広い部屋。

 引っ越しは全て完了し、二人だけのささやかなお祝いを兼ねた夕食も終わった。


 ちなみに密かに精力増強メニューだったの、まーくんは気づいたかな。亜鉛たっぷりカキフライとか色々あったのだけど。


 さて、シャワーを浴びて私は風呂を出る。バスタオル1枚という格好も考えたのだが初日からそれは飛ばし過ぎだろう。色々考えた私の服装は、パジャマの下はパンツだけという微妙な破廉恥仕様。初心者のまーくんに配慮した脱がしやすさ重視だ。


 ブラはやっぱり初心者の男の子は外しにくいよね。お気に入りのブラの形を壊されてもこまるしさ。あれが無いと結構胸が疲れるのだよ。なかなか配給で来てくれないしさ。


「ごめんね、待った」


 とお約束の言葉をかけ、ベッド上のまーくんの隣に。そしてまーくんにお願い。


「電気を消して」


 流石に初めてなので、明るいと恥ずかしい。それに実は、私もこんな状況全く経験は無いし。

 でも女の子は基本的に耳年増なのだよ。ましてや独女寸前だったんで大年増だよ。


 そんな訳で年上として断固としてリードしてあげる。正直この機会を今か今かと待っていたしね。


「脱がしてあげる。そのかわり、脱がせて」


 さあ、義務と称したエロエロな世界突入だ!

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