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太陽の寿命と人間の狂気

作者: 高ノ宮 数麻(たかのみや かずま)

 宇宙科学研究所から太陽の寿命が発表されてから3日がたった。

あと1年程で太陽は寿命を迎え大爆発するらしい。もちろんその時こそ地球の寿命が尽きる時でもある。


 「なあ、かあさん。あと1年で太陽は爆発するらしい。そうなったら地球も駄目になるよねえ。私らはもう年寄りだから構わないけど、若い人たちはちょっと気の毒だねえ」


 「そんなことありませんよ、おとうさん。今の世の中、まともな仕事らしい仕事なんかありゃしませんし、食べる物を手に入れる事もままならない毎日なんですよ。結婚して子どもを産む人も居やしない。こんな世の中じゃいっそ無くなった方がマシですよ」


 「そうかねえ、そんなもんかねえ」


 「そうですよ、そんなもんですよ」


 今から10年前、西の大国の馬鹿な大統領と、東の大国の間抜けな指導者が、互いの国に大量の爆弾を落とし合って互いの国が滅びた。あれから世界は変わり果て、地球はまるで肥溜めのようになってしまった。


 死の灰で覆われた大地からは作物が生まれなくなり、人々は残ったわずかな食料を求めて争い、殺しあった。確かにこんな世の中じゃ無くなった方がマシかもしれない。


 「でもなあ、かあさん。本当はね、わたしはまだ死にたくないんだ。もうちょっとだけ人生を楽しみたいんだ」


 「何言ってるの、おとうさん。もとはと言えばアンタがミサイルのスイッチを押したことから始まったのよ。あんな間抜け野郎の挑発に乗っかったアンタのせいで世界は肥溜めになってしまった」


 「でも皮肉ね。本当なら今ごろ世界は絶望の嘆きでいっぱいのはずなのに、アンタが先に世界を絶望させてくれたおかげで、人々は嘆きどころか喜んで終末を受け入れているわ」


 1年後、世界中の人々は笑顔で終末を迎えた。

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