表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世では苦労したので現世では幸せになります  作者: ケントマイルド
1章 傷だらけの小学生編
5/22

3話 『私の計画』

 



 side:乙見来羽




「え、呼び方を変えるの?」



「そうだね、いい加減『来羽ちゃん』呼びは卒業しようね。もうすぐ小学5年生だし」



 学校から帰って、いつものように私の部屋で宿題を終わらせたあと、呼び方について提案した。



「うん、わかったよ、来羽ちゃ……じゃあなんて呼ぼうか?……乙見さん?」



「こらこら、いきなり心の距離感が遠くになってビックリだよ。呼び方はねぇ、『来羽』で!」



「え、呼び捨てだけど……いいの?」



「いいのいいの。だってこの方が男らしくてねぇ、それに……『来羽は俺のモノ』って感じがして……エヘヘへへ」



「……?うん、わかったよ、僕、今日から来羽ちゃんのこと呼び捨てにするよ」



「よろしい。それと自分のことも『僕』はやめて『俺』にしようか」



「え、お、俺?なんかちょっと言いにくいよ。それに……」



「うん、なに?」



「いきなり『僕』から『俺』に急に変えるなんて、なんか粋がっているみたいで恥ずかしい」



「粋がってって……そっか、恥ずかしいかぁ。まぁ『僕』も可愛いから今すぐ無理に変えなくていいか。それと私も今日から『春樹君』呼びはやめて『ハル』って呼ぶね」



「『ハル』?……別にいいけど……でもいきなり呼び方を変えてどうしたの?・・・来羽」



「ちょっと待って!」



「え、どうしたの?」



「もう一度呼んで……ハル」



「……来羽?」



「……ハル」



「……来羽」



「ハル!!!」



「え、ら、来羽」



「ウォーーーーーーー!!!」



 クッションに顔を埋めたまま床をバンバン叩く私。ナニコレ!ただハルに呼び捨てされただけなのに凄くテンションが上がる!嬉し恥ずかし超楽しい!



「え、大丈夫?来羽」



 やめて~~!心臓が馬鹿みたいに騒いでいるよ!もうキュン死(?)しそうだよ!






 今、私達は何をしているかというと幼なじみから一歩先の関係になるための『再教育』を実行中。



 私とハルは生まれたときからずっと一緒の仲良し幼なじみ(前世の関係はおいといて)。多分他の幼なじみ達と比べてもかなり珍しいくらいに仲が良いと言っていい。まぁ近い将来には私とハルはラブラブになるから当然なんだけど。



 幼稚園の頃に交わした婚約は良い想い出として記憶に保存するとして、ようは幼なじみだけの関係から脱却するための準備である。



 いつまでも『来羽ちゃん』、『春樹君』呼びでは幼なじみ感だけが印象的になってしまう。かといって今すぐ付き合うのもやっぱり違う。



 私の計画としては付き合うなら高校生から。



 さすがに小学生から恋人関係になるのはよろしくない。



 オママゴトの延長と思われてしまうから。



 同じ理由で中学生で付き合うのもありえない。



 なぜなら若さゆえの好奇心と思われてしまうから。



 なのでやっぱり付き合うのならしっかりとした高校生になってから。そして卒業後にプロポーズをしてもらいそのまま結婚へ。前世で私達が死んだのも年齢的にその頃だったからね。



 高校生になるまであと5年ほど。それまでに私に惚れさせなければ。



 でもその前に……



「ねぇハル、もう一度名前を呼んでみて」



「……来羽」



 うにゃ~~~!悶絶死してしまいそう!!



 あれ?



 嬉しさのあまり悶え苦しむ私の姿を見るハルの目が、ジト目で無愛想だった頃のハルシオンの目にだんだん似てきていた。




 その目は似なくていいんだよ。ハル。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ