#失敗世界のやり直し(美風慶伍の場合)
「もう一度言ってくれるかな」
俺はあっけにとられて聞き返してしまった。
「ですから、私と一緒に世界創造のお手伝いをして頂きたいんです」
彼女は消え入りそうな声でぼそぼそと喋る。
「ごめん、さすがに俺も状況が飲み込めなくてかなり混乱してるんだけど、もう1回聞かせてもらっていいかな?」
俺の目の前で所在なさげに佇んでいる小さい女の子は『私は神様です』と申し訳なさそうに呟いていた子だった。
背丈は130センチくらい、色白で髪はプラチナブロンド。純白のローブに杖を持っている。神様というよりはどう見ても魔法少女見習いにしか見えない。
「君、名前は?」
「イブと言います」
「それで俺に何をして欲しいのかな?」
「その――、世界を創るお手伝いをして欲しいんです」
あまりの内容の突拍子の無さに呆れ返るより他はなかった。
「世界を創るって……」
さすがに俺も状況を受け入れ整理するので頭がいっぱいだった。でも、この手のシチュエーションにはとてつもなく弱い。
「お願いします。次で失敗したら神様から降格させられちゃうんです」
「あー、つまり次がラストチャンス?」
「はい」
そう語るイブの目には大粒の涙が溢れていた。
「これ断って帰ったらどう考えても後味悪いよなあ」
そりゃそうだ。若い女の子が自分の苦境を乗り越えようと必死になって頑張るお話を書いてる身の上としては、これを無視して帰るのは自分自身のポリシーにも反する。
第一、ルストやフィールやローラに申し訳が立たない。
「だいいちなんで俺なんか選んだの?」
「それは――」
イブは申し訳なさそうに答えた。
「――たくさんの世界をお作りになられてるし、その――、お話し聞いてくれそうだったので」
そう、確かに俺はたくさんの世界を作っている。しかしそれは空想上の話だ。二次元の文字の上の話であり現実の世界を生み出しているわけじゃない。
イブはさらに言葉を続けた。
「他にも何人かお願いしてみたのですが、忙しいとか、無理とか、訳が分からないとか言われてお帰りになられてしまいました。私には無理にお引き留めする力はないのでその方の善意におすがりするしかないんです」
その言葉でピンと来たことがある。
「つまり君は神様としては駆け出し、もしくは見習いってこと?」
「かなりの落ちこぼれですけど。もう20回世界を作ることに失敗してます」
「それで次に失敗したら神様じゃなくなるわけだ」
「はい。他の神様候補の召使いとして一生こき使われます」
あーなんとなく光景が想像つく。神様なりそこないの落ちこぼれとかレッテルを貼られてイビられまくるに違いない。神様という肩書きがついても、聖人君子だとは限らない。
「神様にもゲスいのはいるからなあ……」
「分かるのですか?」
「まあね。物語を作ってると神話とか伝説とかは、必須みたいなものだから。例えばギリシャ神話のヘラなんか嫉妬の塊でどれだけ周りの神様や人間を血祭りにあげたかわからない。神様見習いって言葉だけでも君がどれだけ大変な毎日を送っているかよく分かるよ」
そう語りながら俺はイブの頭をそっと撫でてやった。
「いいよ手伝ってあげるよ。それに君を泣かせたままここから立ち去るのはあまりにも気分が悪い」
「本当ですか?」
「あぁ、その代わりいくつか確認させてくれ。僕はここを手伝ってる間の時間経過は元の世界に帰ったらどうなるんだい?」
「それは問題ありません。こちらに召喚したその時点にお帰しします」
「よしそれならオッケー。それじゃあどうやって世界を作るのかそこから教えてくれないか?」
「はい!」
こうしてドジっ子の神様見習いと、50過ぎの小説家なり損ないの共同作業が始まった――
俺はまずイブに世界創造の基本原理を聞くことから始めた。
「――なるほど。世界の創造にも段階があるんだ」
「はい。まずは第一段階の小世界を作ることから始めます。無限の広さの大世界の中で、その神様が自分の認識力で理解可能な範囲を小世界として作り上げます」
「そしてその小世界がより集まったのが大世界」
「はい、小世界を作ることに成功したら、同じような作業を何回か繰り返します。そして技術を磨いて位階をあげたら大世界の創造が許されます」
「つまり、大世界が神様の数だけあるって事か?」
「はい」
ちょっと待てそれ、どっかで聞いた概念だぞ。確かそれって――
「マルチバースの概念に似てるなぁ」
「マルチバース?」
「うん、宇宙は無限の広さがあって、その中で物理的に観測可能な限界が一つの世界――ユニバースと言う。そのユニバースが無数に隣り合っているのが、レベル1マルチバース」
「へぇ」
イブは落ち着いて俺の話に耳を傾けていた。
「そしてそのレベル1マルチバースが、たくさん並んでいるのがレベル2マルチバースってわけだ。さらにはその上のレベル3があると言われてるけどそこまで行くと人間には検証できないから概念でしかないけどね」
俺の話にイブは必死になって首を縦に振っていた。
「さてそれでは本題だけど、世界創造ってどうやるんだい?」
「はい」
イブはそう答えながら歩き出す。
「こちらに来てください」
イブと向かった先には漆黒の何もない空間が広がっていた。
「これが想像空間です。ここに〝光〟を灯すことで世界が始まります。最初は小さな種だった光の粒が急速に広がっていって星々が散りばめられた宇宙へと育ちます。そしてその宇宙の中に生命が宿る惑星が生み出されます」
「俺の知ってる〝インフレーション宇宙〟の概念と全く同じだな」
「あ、それは聞いたことがあります」
「そうか、それでもう一つズバリ聞くけど〝どこで失敗してるの?〟」
そのものズバリの質問にさすがのイブも答えに窮していた。少し沈黙していたが勇気を出して答えを口にする。
「その――〝生命〟が産まれないんです」
「ふむ」
「惑星を作り上げるところまではたどり着くのですが、生命が発露しないか、発露しても途中で死に絶えてしまいます。設定条件がどこか間違っているのかとは思いますが誰かに聞くわけにもいかないので」
「相談役とか教官とかいないの?」
俺の質問にイブは顔を横に振る。
「神様役になるには全部独学です。見習いとして他の神様の手伝いをしながら〝見て覚える〟んです」
これまた悪趣味な話だ。
「随分無茶ぶりするんだなあ。と言うか効率悪すぎだろそれ」
このぶんだと相当な数の神様見習いが心を折られてやめているような気がする。(どっかのWEB小説界みたいだ)
「ハビタブルゾーンだな」
「え? 何ですかそれ?」
ひとつわかった。この子の失敗の原因は〝基礎知識の無さ〟だ。
「ハビタブルゾーンと言ってね。宇宙の中で命が生まれるにはいくつかの設定条件がある。惑星は光を生み出す恒星の周りを回っているけど、初期条件として考慮すべきパラメーターがあるんだ」
イブは真剣な顔で俺の言葉を聞いていた。
「まず一つが『恒星の大きさ』だ」
「恒星って光を生み出す〝星〟ですよね?」
「そう、恒星の大きさは重力に関係する。星が重すぎるとその星の周りを回る惑星はバランスが悪くなる。極端に大きな惑星が生まれたり、逆に惑星が恒星から離れていったりする。ちょうどいい重さであることが重要なんだ。光の星々を生み出す時にそこまで計算して作ってる?」
当然ながらイブは顔を左右に振った。
「気づきませんでしたそういう事」
「そこが一番重要なんだけどね、星の周りを回る惑星が理想的な形でバランスよく配置されないと、さっき言った〝ハビタブルゾーン〟に惑星が来ないんだよ」
「惑星の配置? つまり――」
そこでイブは自分の頭で考え始めた。
「恒星から遠すぎても近すぎてもダメということですね?」
「その通り。近すぎると熱くて沸騰してしまうし、遠過ぎれば凍結してしまう。ちょうどいいバランスに安定した軌道で惑星が配置されることが重要なんだ」
「そうか」
「その他にもあるよ」
「例えば?」
「惑星の周りを回る〝月〟の存在だよ。惑星っていうのはお月様がないことには安定しないんだ」
一番重要な部分だから丁寧に説明した。
「惑星は単独ではふらふらと激しく揺れながら回転する。止まりかけのコマがふらふらと暴れるようにね。かといって軌道が安定するほど激しく回転させてしまうと惑星の表面は安定しない。生命を目指すところじゃなくなる。ところがここに大きい月が一つできるとお互いが引っ張り合うことで回転が安定する。そうすることにより惑星表面の気候が安定しやすくなるんだ」
「ふんふん」
イブはどこからかノートのようなものを取り出すと俺の話を細かに書き留め始めた。根は真面目で熱心なようだ。
「その他にも、大気中の水分量や、惑星表面重力を決定する惑星の大きさとかが絡んでくる。そういう細かな設定条件はかなりの量になる。本当だったら君は今までの見習い人生の中でそういったものを身につけてくるべきだったんだ」
俺がそこまで言った時だった。
「それは、私も必要性を感じてましたでも――」
そこから先はイブが味わった苦労そのものだった。
「――私のお師匠様はとても気難しい人で、気が散るからといって私に何も見せてはくれませんでした。そうこうしているうちに見習い期間が終わってしまい。私は強引に初級神様として放り出されました」
なんともまあ無責任な神様もいたものだ。
「ひどい話だ。でそいつは今どうしてるんだ?」
「わかりません。会ってもくれませんから」
教えてもらうことも教えてもらえずに、この子は一方的に放り出されたのだ。それで神様失格になってしまったら立つ瀬がないだろう。
「ごめん、余計なことを聞いた」
「いいえ、聞いて頂けただけでも心が軽くなります」
「そうか。それじゃ頑張ってやってみようか。今度こそ成功させよう」
「はい!」
こうして俺とイブの世界創造が始まった。
彼女の手際を見ているとビッグバンから始まってインフレーション宇宙を経て、恒星が生まれて輝き出すまでは何も問題はなかった。むしろその手際は見事だという他はなかった。
決して、技術がないというわけではなさそうなのだ。
「恒星は今どれくらいできている?」
「数千億です」
「その中で星の重量が俺が教えた基準に合致しているものは?」
俺は彼女に、太陽系の太陽の質量を基準値として教えてあげた。
「1万個くらいです」
「よしそれじゃあ次」
「はい」
「さっき教えた〝ハビタブルゾーン〟に惑星がある星系は?」
「えっと、かなり減りました。2000ほどです」
「よし次、惑星の質量だな。惑星表面の重力が1G前後になる物は?」
さすがにこれはそれぞれの惑星の固有情報を個別に調べなければならないので手間取っていた。でも彼女は確実に答えを導き出した。
「えっと約1000」
「よしいいぞ」
「そうなんですか?」
「うん、もっと少なくなるかもと思ったからね。ここまででいいとこ10個ぐらいだと思ったから」
「そうなんですか、よかった――」
想定したよりも良好な成績にイブの顔が綻んでいた。わけもわからず世界創造やらされて、今までは相当失敗を重ねていたのだろう。初めて成功へと近づいた手応えにイブは安堵していた。
「それじゃあ次お願いします」
彼女の声はやる気に満ちていた。
それから次々に惑星の必要条件を選び出す。
安定気温、大気中水分濃度、磁場の発生、惑星深部の温度、一つ一つ必要条件をチェックして行き最終的に残ったのが50ほどの惑星だった。
生命発生に必要な最終条件を確認する。
「残った50の惑星だけど、大気成分濃度はどうなってる?」
「えっと、生命はまだ未発生ですが大気の量は十分です。構成成分は大半が窒素、残りが二酸化炭素です」
「よしそれでいい。後は生命が発生して、植物に相当するものは光合成を行うようになれば自然に酸素が増えていくからね」
「はい」
「後は、いよいよ生命発生の工程だ。惑星に外から彗星や小隕石を落として。有機物発生のトリガーにする」
「はい。先生」
彼女が漏らした言葉に俺はつい問い返してしまった。
「先生?」
「ダメですか?」
「いやだめじゃないけど」
「じゃあ先生で」
そう言うイブの顔は嬉しそうだ。彼女も自分の師匠となるべき人との間でこういう信頼関係を結びたかったのではないだろうか?
「惑星外から生命発生要因を投入します」
彼女の操作で、惑星に彗星や小惑星が投入されていく。それと同時に惑星の表面は荒れ、稲妻が走り、惑星表面では火山が噴火して行く。
その光景はまさに【神のフラスコ】
「始まった――残り50のうち反応が起きているのは?」
「現状50すべてに反応が起きています!」
「よしそれじゃあ時間スケールを進めて。慎重にね」
「はい先生!」
俺たちは残り50の惑星の表面を慎重に見守り続けた。そして――
「何かできています」
「拡大して見せて」
「はい!」
それぞれの惑星の海の表面を見つめる。するとそこには油の塊のようなものが溶けて広がっていた。
「先生、これは?」
「やったぞ、コアセルベートだ」
「コアセルベート?」
俺はイブに噛み砕いて教えてあげた。
「先ほどの反応で合成された有機物から生まれた〝生命の素〟だ。別名〝命のスープ〟とも言われている」
「それじゃあ!」
「ここからより高度な生命へと少しずつ進化させていくことが可能だ」
そして俺はイブの頭をそっと撫でてやった。
「成功だ。まずは最初のステップだけどね」
「やったぁ!」
とりあえずは50の惑星全てで〝命のスープ〟の発生が確認できたのだ。ここから後は生命進化の途中でいくつか起こるだろう全滅の危機をいかに回避するか? に集中すればいいことになる。
そして知的生命の足がかりが発生すればそれを順次見守って行けばいいことになる。
「ここからまたさらに乗り越えなければならないステップがあるけど」
「大丈夫です!乗り越えてみせます」
俺とイブがそんな言葉をやりとりしていただけだった。
「イブ――、これは何の真似だ」
俺たちの背後からかけられる声があった。
「お、お師匠様?」
「なに?」
俺たちの驚くのも無視してそいつは一方的に話し始めた。
「師匠である私を差し置いて、外部のものを連れ込むとは何のつもりだ」
そしてそいつは最低の言葉を吐き出した。
「私の顔を潰すつもりか」
「そんな、私は――」
イブが怯えながらも反応しようとしている。だがその言葉を遮って俺は言い放つ。
「ちょっと待てよ」
「なに?」
「いまさらなに師匠ヅラしてんだお前?」
「人間風情がな――」
「やかましい!」
俺は大声を上げるとそいつの言葉を遮った。
「師匠なら師匠らしく、弟子に基本くらいはしっかり教えろよ。教えるどころか、気が散るとか言って仕事場から追い出してたんだろう?」
「誰に聞いたそれを」
「答える義理はねぇよ」
その時、イブが袖にすがって俺を止めようとしていた。
「駄目です! それ以上逆らったら消されてしまいます!」
それがなんだ。育てるべきものを育てないで自分勝手に振る舞うやつだけは絶対に許せない。消せるもんなら、消してもらおうじゃないか。
「大丈夫だイブ」
「だって」
俺の身を案じて不安に怯えるイブを抱き寄せながら、俺はイヴの師匠を名乗る男を睨みつけた。
「その目、気に食わん」
「だからなんだ」
「消してやる。全ての世界からいなかったことにしてやろう」
俺は奴のその言葉にピンと来るものがあった。
「あーそうか、つまりは〝イブが師匠であるあんたを超える〟と言う現実を最初から無かったことにしたいってわけだ」
「え?」
「戯れ言を言うな!」
「戯れ言じゃねーよ! お前は最初からイブを育てるつもりがなかった! そればかりか彼女に優れた素質を見出したお前はイブを潰す行動に出たんだ! 自分を超えられることを恐れてな!」
「ええ?」
この言葉にはさすがのイブも驚いている。
「彼女に色々と教えていてわかった。彼女は馬鹿でもドジでもない。きちんと物事を教えて指導してやれば、とてつもなく伸びる才能だったんだ。だがお前は自分を超える存在が生まれるという現実が〝悔しくて仕方がなかった〟だから彼女に何も教えなかったんだ!」
「くっ!」
俺の指摘に反論もせず苛立ちだけを顔に表している。元師匠のそんな振る舞いにさすがのイブも目を覚ましたようだ。
「本当なんですか?」
「嘘だ!」
元師匠の否定にイブはきっぱりと言った。
「信じられません」
「イブ、貴様まで俺を否定するのか。ならば消してやろう。お前が先生と呼んだその男ごとな」
イブの元師匠の右手が動こうとした――
その時だ。
「そこまで」
力強い声が響く。迫力もさることながら何物よりも強い威厳に満ちていた。俺たちはその声のした方を思わず振り向いた。
イブの声が漏れる。
「大主神様!」
「え?」
「大世界のさらに上! 因果世界を統べる最高位を極められたお方です!」
イブの言葉にそのお方は頷いた。
「さよう、その神様見習いの言うとおりだ」
俺はあっけにとられて何も言えなかった。
「お主には話したいことがあるが、その先にやっておくことがある。待っておれ」
そう語る言葉には労りと優しさが滲んでいた。そしてそれと打って変わった声でイブの元師匠に冷酷に告げた。
「上級神カインよ。お前の神としての資格を剥奪する」
「な、何をおっしゃいます!」
「弁解はいらん。お前が今まで成してきた功績のほぼ全てが、他のものの成した行為を、上級神の地位をたてにして我が物としていたことが分かった。お前が本来の弟子であるイブを適正に育成しなかったのは、そもそも教えられるような技量をお主が持っていなかったからだ」
突きつけられた現実に元師匠は膝をついて地面に突っ伏した。
「すでに事実関係は把握は終了している。この場において処断する。上級神の資格を剥奪し、この全ての世界から追放処分とする。どこへともなく消え失せるがいい!」
神の言葉は力、大主神の言葉によりカインはこの世界のすべてに存在することを禁じられた。瞬く間にその姿は消え失せたのだ。
その状況を驚きと怯えを持って見守っていれば、大主神は俺たちの方へと静かに歩み寄る。
「お前たちに告げる」
一言区切りを入れると大主神は穏やかな声で告げた。
「知的生命の誕生と高度文明の発生確認の段階までともに作業を継続しなさい。そしてこの神見習いの少女が独り立ちしても大丈夫だと判断すれば、そなたを元の世界へと無事に帰還させよう」
「本当ですか?」
「うむ、お前の本当の才能が明らかになったようだからな」
そして大主神は俺を見つめながらこう言い残した。
「それでは頼むぞ。美風慶伍先生」
あっけにとられて何も答えられなかった俺を尻目に大主神は一切の痕跡も残さずに俺たちの目の前から姿を消したのだった。
「は、はは――」
あっけにとられた俺はへなへなとその場にしゃがみこんでしまう。
「先生?」
「い、いや。あまりの迫力に驚いてしまって」
そう言いながら立ち上がろうとする俺をイブは支えようとしてくれている。
「でも先生の滞在が許されて本当に良かったです」
「だな。大主神様が心の広いお方でよかった」
「本当にそうですね」
でも図らずも、これでこの神々の世界での最高位者により俺はイブの〝先生〟として認められてしまったことになる。
「それに〝イブが独り立ちするまで〟一緒にいなきゃいけないようだしな」
「はい! よろしくお願いします」
「あぁ、よろしくな」
そして俺はイヴの手を取り歩き出す。
「それじゃあ世界創造の続きだ。まずは安定した多細胞生物の発生を目指そうか」
「はい!」
こうして俺は可愛い生徒と一緒に誰も知らないところで世界を創っていた。
そうこれは、誰も知らない話だ。