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1.終わりは突然に
稚拙ですがのんびりと書いていきます。
猫になりたい。
三上遥架はずっとそう思っていた。
人として生き、苦境に晒され続け、信じれる者など誰もない。
だからだろう。
唐突に訪れた自らの「死」にも恐怖を感じなかった。
辺りに響く怒声や悲鳴も何処か遠くに聞こえている。
――身体中が痛い……。熱い……。どうせ死ぬなら痛くない方が良かった……。
仰向けに倒れ指1本動かせない状態で遥架は雲ひとつない青空をぼんやりと眺めた。
――あの子は寂しがって、くれる…かな……。
そう思いつつも、遥架としては自分のことを忘れて生きて欲しいというのが正直なところだった。
心残りはないな、と思うと、急速に意識が遠のき始めていく。
「遥架……!!」
誰かが遥架の名を呼ぶが、意識が朦朧とし、視界がどんどん狭まっていく遥架にはもう分からない。
――あぁ、どうか、次は猫になれますように。人間なんて、まっぴらごめんだわ……。
そう思いながら重たくなる瞼を閉じると、遥架の意識はそのまま闇に沈んでいった。