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愛されるということ  作者: 宇多川ルキ
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元カレ

私は、一週間ほど好きな人に誘われて男子バスケ部のマネージャーをしていた。しかし、男子のマネージャーだからなのかプレーヤーの先輩たちから冷たい扱いをされた。その後、辞めてボランティアなどをする部活に入り、バスケ部のメンバーからは距離をおいていた。そんな中、どうしても好きな人から情報を聞き出したかった私は好きな人と同じバスケ部の男子に聞いてもらい、ある日……

夏休みがもうすぐ終わりを告げようとした頃、私のひとときの幸せも終わりを向かえた。


それは、今でいう元カレの話。

私は、もともと誰かと話すことが苦手で元カレとは初め、友達として何度もラインを送っていた。しかし、七月の始めに告白され、断わることが苦手な私はよい返事をしていた。

それからというもの、私たちの関係はカレカノらしくなかった。もともと、元カレも話すことが苦手らしく滅多にラインをしてこない。かといって部活で忙しいことを知っているのに返事を急かすような真似はしたくない。それに友達として接してはいけない。私は、遠慮がちな日々を過ごしていた。


夏休み中、仲を縮められたらと思い、『積極的になってほしい』というラインを送った。元カレは、『始めよくわからない』という返事だったが、最終的に花火大会に行くことになった。胸の高鳴りを抑えながら、その日を待ち望んでいたが、なかなか詳しいことが書かれない。何度も元カレのライン履歴を読みながら待っていた。前日だっただろうか。『四時頃がいい』とのライン。私は、『もっと早くがいい』と甘える内容を書いたが譲ってくれなかった。

当日、どんな格好で来るのか楽しみにしていたが全身黒。だが、あのときの私はかっこいいと思っていた。人が多くて戸惑ったが、駅から運行しているシャトルバスは、ギリギリ乗ることができた。しかし、二人用の席が空いていなかった。二人で座りたかったのだが、

「空いているとこに座ったら?俺は、後ろに行くから」

その時、何かが違うことに気がついた。確かに私たちはお互い初めてのカレカノであって慣れてはいなかったが、その扱いはまるでただの友達のような。

花火を見るまでの時間もスマホを何度も見ていたり、つまらなそうにしていたりと、正直あまりいいものとは言えなかった。初デートが花火大会……言いたくもなかった。

元カレは、親戚のお見舞いかなにかですぐに帰ることになってしまった。確かに花火を二人で見たが一時間しか見ていない。何をしに来たのかというレベルだ。

「来年も一緒に見ようね」

元カレは、最後にそう私に言ったが、それが私と交わした最後の言葉だった。




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