文字
少し前に書いたお話です。
かなり短いですので気軽に読んでください~。
テスト勉強中。
ノートに文字を書きながらふと思った。
私の字は硬筆を習っていたからそれなりにキレイである。
よくまわりの友達からも言ってもらえる。
だけど、その字体は書く時によってよく変わり、バランスが悪いと私は思っている。
だから褒められた時に必ず
「そんなことない。汚いよ、私の字!」
と言い返す。
皆は謙遜だと思っているに違いない。
私は本心で言っているのだけれど・・・。
そんな私が思い出したのは母の書く字だった。
決してキレイではない。むしろ上手くはない方である。
それでも私はその字を綺麗だと感じる。
字は一定の大きさで、いつ・どこで書いても変わらない。
芯のある字だ。
私が物心ついた頃から見てきた字。
何か人に見せるようなものを書く時、決まって母は私に書いてと頼んできた。
自分の字は汚いから、と。
そんなことはないと思いつつも、いつも私が字を書く。
仕事をし、家庭を持てば、私にもあんな字が書けるようになるのだろうか?
私には自信がないからあんな字が書けないのだろうか?
「自分」が安定してないから?
それとも・・・
母は自分だけでなく私たち家族も支えてきた。
そんな母の書く字は誰よりも美しく、力強く、綺麗である。
そんなことを思って、私は再びテスト勉強を開始したのだった。