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1件目:トカゲ爺の小倅ルショーノ

第二話です

 広がった光から、気づいたとき、俺はベッドの上に転がっていた。

そして五秒と経たないうちに俺の中に多くの記憶と情報が湧き出してくる。


 俺の名はルショーノ。苗字は無い。強いて言うならトカゲ爺こと

山師マルチアーノの息子ルショーノだからルショーノ・マルチアーノとなり、

ジョン・ジャックみたいな変な名前っぽくなる。

 性別は勿論男。股間にちゃんと一本ぶらさがってるのが証拠だ。

顔はこの辺じゃ珍しいほうの平たい顔だ。だから俺は本当にマルチアーノと

血が繋がってるのか妙に思う。

 何しろ父マルチアーノは掘りも深く鼻も高い。っていうかワシ鼻だ。

髭もモッサリで60超えてるとは思えないくらい筋骨隆々。

これで背が低かったら鉱脈族ドワーフだし、さらに毛深かったら炭鉱族コボルトだが、

190センチ近い身長があるのでそれ以上のバケモノと見間違われた事もあったとか。


「何だ、もう起きたのかルショーノ。そんなに成人式が楽しみだったのか?」


 こちらに顔を向けはしなかったが、暖炉の前でまた何かしている巨漢爺こそ

俺の父マルチアーノ。普段は俺らの暮らすアンジェリーナ山の麓町、

チッタ・ディ・モンターニャ…通称チッタ村(規模は町だが、一見すると

村にしか見えないくらいに散居なせいでそう呼ばれる)近くの山に出入りしては

山の獲物を狩ってくる。狩ってきて肉をチッタ村に卸すのは

色々と町人たちも有難いだろうが、魔物を含めたトカゲ類ばかり狩ってくるので

トカゲ爺と呼ばれているのだ。


「………まさか」


 ちなみに俺は頭の中じゃ色々喋れるんだが、昔からどうにも人と話すのが苦手で

言葉数は少ない。そんな性分+トカゲ爺の息子らしく体格は良いので

チッタ村で生まれ育って16年…町の連中とは一部を除き、仲良くなれていない。


「…まぁ、お前がはしゃぐ姿を見たのは数えるくらいだしな」

「…そうだったかな?」

「…そうだったんだよ」


 俺は親父マルチアーノの背中を伺いながら小さく"日本語"で呟く。


「……ステータス」


----------------------------------

名:ルショーノ 姓:ルテヌリンカーネ

隠し名:ショウ・ヤマナシ 忌み名:ノイエンパラーヴムターティオ

年齢:16(51) 性別:男(男・今も前も童貞魔法使い)


格:1

命:121/121

魔:96442/96442


心:5

技:7

体:6


<技能>

インシネレートロッドLv:Ⅶ、ヴァイスヴァリアントガンLv:Ⅴ

オメガウェーブLv:Ⅱ、ワールドAtoZウィキLv:MMMCMXCIX

斥候スカウトLv1、弓術Lv1、体術Lv3、料理Lv2


<称号>

異界転生者 魅入られる者 古大邪神の眷属候補 い子の味方

むっつりド助平スケベ皇帝 数奇者 古今東西南北八百万の女好き

おっぱい星人 自覚の足りない変態 犯罪者予備軍 導かれるしかない者

大霊山師マルチアーノ・ユピテリスの息子 山師見習い

----------------------------------


 ……本当に俺は転生したんだな。最初の記憶の奔流には目を回したが…。

あのトカゲ爺さん相手にどもらず喋れたことに何の疑問も感じなかった。

あと称号の不名誉な多くは気にしないでおくことにした。


「……親父、今は朝か?」

「夜が明けたばかりで鶏が鳴いたかどうかも定かじゃない時間だ」

「…そうか」


 俺はベッドから出て、近くに掛けてあった布性の普段着に着替える。

ベッドの傍にあった山刀マチェットと狩猟弓のセットも忘れず装備する。


「気の早いヤツだな。成人式は昼前だぞ」

「外の空気が吸いたい」


 そうか…好きにしろ…と言って暖炉前の作業を再開する親父を尻目に

俺は家の外に出た。目の前にはファンタジー感モリモリな牧歌的な村の風景。


「………空気が旨い」


 深呼吸をすれば、爽やかな緑の香りが鼻を抜けていく。


「…空気は美味しいけど、少し寂しげだよね」


「!?」


 ビクッとして声のする方…屋根の上を見れば、そこには線が細めだが

かなり女受けしそうな見た目の美少年村人剣士が

座りながら此方を見下ろしていた。


「…マイスか」

「おはようルシオ。今日は…まだ良い天気とは言い難いね」

「夜が明けたばかりだからな」


 危なげなく屋根から飛び降りて此方に歩み寄ってくるこの美少年村人剣士は

マイサロンことマイス。幼馴染だ。ちなみにルシオとは俺の愛称だ。

だがこいつに愛称で呼ばれると何か薄ら寒いのでイヤなのだが、

数少ない友人なので愛称で呼ばれるのは我慢している。


「随分と早いな」

「最初で最後の成人式だからね。興奮して寝付けなかったんだよ」

「そうか」


 俺はマイスを前にボクシングスタイルで身構える。するとマイスも

薄く笑って似たような型で構えてくる。


「せいッ!」

「ぬんッ!」


 構えあって即座にお互いが拳と拳をぶつけ合わせる。チッタ村での生活は

野良仕事等の親の手伝い以外でやることは少ない。要するに娯楽が無いので

俺はマイスとこんな感じで顔を合わすたびに戦闘訓練をするのが日課だ。


「はっ! てやっ! どぉりゃああ!!」

「ぬっ! ぐっ! 無駄無駄無駄ぁ!!」


 体格差は大きいが、やはり毎回手合わせしているから優劣の差は少ない。


「…ふー…」

「…ふむ…」


 十分近く打ち合ったが、やはり今回も引き分けだった。

 昔は俺の勝ち越しが続いていたのだが、最近は体術では

こいつに勝てる気がしない。固有スキルを使えば…いや、それは反則チートだ。

持つ者は持たざる者をせめておもんぱかってやる義務がある。


「さて、次は何をしようか?」

「朝飯と言いたい所だが…」

「ははは、ごめんよ。僕には母さんと姉さんと妹がいるんだ」

「(リア充め…)そうだったな」


 マイスには美人の母と姉と妹がいる。しかも血が繋がってない。

爆発すればいいのに。


「…何てね。今日はさっさと済ましてきたよ。ほら、君の分」

「…悪いな」


 マイスは色々とイケメンだ。現に頼んでもいないのに

俺が朝早く起きると知っててコッペパンサンドを渡してくる。

中身の具は魚のソテーと野菜のマリネだ。何かムカつくので速攻で食った。

やわい。うま。


「美味しいかい? それ妹の手作りなんだ」

「…ああ」


 何か最高にムカついた。美少女な義妹の手作りご飯とか何なの。

俺がゾンビだったらこいつを「すごいりあじゅなんで ころし うまかっ です」

してやりたいくらいムカついた。


「さてと…じゃあいつもの所に行こうか?」

「…ああ」


 俺はマイスと共にいつもの所…

滝の傍にある大きな木の上の秘密基地ツリーハウスへと足を運んだ。


Next…2件目:ご大層なお歴々由来の美少女達+周回勇者マイサロン

次の投稿は20時頃を予定しております。

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